労基署の臨検対応 その14

どこの何を見るのか調べるのか②

●時間外手当・休日出勤手当・深夜勤務手当(割増賃金)

賃金不払い残業(未払い残業代はないか)

⇒以下の要素で判断

1.定額残業手当の時間を超過する時間外労働についての不払い

   → 臨検では定額残業手当の運用は必ず細かく見られる項目

2.勤怠帳票と実際の労働時間との乖離時間についての不払い

3.早出、研修時間等、労働時間としていなかった時間についての不払い

4.計算方法の誤り(基礎額の誤認)、変形制の誤認など誤った運用による不払い

5.管理監督者とはみなされない者(課長など)に対する不払い

   → 近年目立ってきた指導

●就業規則、各種協定書、管理帳票の整備状況

1.就業規則等が作成・届出されているか

2.就業規則等は実態と合っているか

3.労基法等に基づく協定(賃金控除協定等)は締結されているか

4.就業規則・各種協定は従業員に事業場ごとに周知されているか、周知方法は適法か

5.労働条件は雇用契約書などの書面で明示しているか、記載事項は適法か

6.労働者名簿、賃金台帳、出勤簿等の管理帳票は整備されているか

7.賃金台帳に時間外労働時間等の労働時間が記入されているか

8.年次有給休暇は適正に管理されているか

●安全衛生法関連

1.定期健康診断は年1回実施されているか

2.定期健康診断の「異常所見者」について、医師の意見を聞いているか

3.時間外月80時間超の過重労働者について、医師の面接を実施しているか

   → 法的には「本人の申出」が要件だが、指導の現場では申出がなくとも実
     施を指導する事例あり)

4.安全管理者、衛生管理者、産業医等は選出および届出されているか

5.安全衛生委員会は開催しているか、その審議事項は適法化か

   → 近年はメンタルヘルスに関する事項が審議されていないことの指導多

労基署の臨検対応 その13

どこの何を見るのか調べるのか①

●労働時間

1.過重労働がないか?

2.過労死ラインである1ヶ月80時間および100時間超の従業員が何人いるか

3.上記時間を改善する対策の策定と報告を求められる(指導票)

4.勤怠帳票と実際の労働時間に乖離はないか

  → 勤怠帳票などの時刻とパソコンのログイン、ログオフ時刻、ICカードなどの入出
    館記録時刻などを比較

5.勤怠帳票の記録に不自然な点はないか(全員一定時刻の記載、出退勤時刻と始業終業
  時刻の大幅な相違等)

⇒乖離、不自然な運用が認められる場合は、会社に調査のうえ、報告および改善策を求める。その結果、残業代の未払いがあった場合は、遡及して支払いを求められる

●36協定違反

1.36協定の限度時間超の時間外労働はないか?(36協定違反)
   → 1月45時間(または42時間)超の時間外手当など

2.(限度時間を超える特別延長時間(特別条項)を設定している場合)
   ・延長時間超の時間労働はないか
   ・延長に関する手続きは適正に行われているか
   ・延長できるのは年6回までとの制限が守られているか
    → 延長時間を1ヶ月70時間としながら、80時間の時間外労働
    → 残業は延長時間内だが、労使協議等の手続きなし、また年6回超の延長

3.従業員代表の選出は適正に行われているか

4.そもそも36協定が届けられているか

36協定なく、過労死ラインを大幅に超える時間外労働については、悪質と判断される

労基署の臨検対応 その12

経営と法律の両立。法律だけ言っとって会社が潰れちゃうしょうがないですが、経営の事ばっかり考えて法令が全くクリアしなきゃ社会に存在できない。経営と法律の二つの両立が必要です。

人の気持ちも大事です。従業員の気持ち。法令違反だから直ちに揉めるわけではなく人の感情は頭に来たらもめだすから、法律そして人の気持ちと経営と法律そして人の気持ちとこの三つの両立こそがテーマである。

臨検監督の重点項目は?

各労働局ごとに毎年度策定される「地方労働行政運営方針」に基づき臨検の重点項目が決まる

〇〇年度の〇〇県の労働行政運営方針における「愛知労働局の最重点課題」

1 働き方改革に関する課題(ワークライフバランス)

2 非正規対策に関する課題(待遇改善)

3 障害者雇用対策に関する課題(雇用率アップ)

4 過重労働防止対策に関する課題

  数値目標
   平成〇〇年までに週60時間以上の雇用者割合5%
   平成〇〇年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所割合80%

⇒労働時間に関する違反を最優先で指導強化。

 付随する賃金未払い(サービス残業)の指導も多

労基署の臨検対応 その11

捜査の手順はどうやってやるか。

まず、いきなり社長を取り調べることは、やらないと思います。

まずは例えばいくつか支店があると、その支店の一番下っ端の人一般従業員を一人ずつ一人ずつヒアリングする。

だいたい一人30分以上の時間かけると思います。

ヒアリング内容は、例えば

・朝は何時に出社してるんだけど、この会社は始業は何時でしょうね。

・その随分早く出社してる。または遅く退社してるのは会社から指示されたことか。

・残業が出ないということは納得してるのか。

そのようなことを一番下からヒアリングする。パソコンを持ち込んで行ってで一人ずつ聞き取りをする。

次にその人の先輩の人上司。そして管理職の人と上がってって最後が社長になる場合が多いです。

社長まで行った場合はねもう完全にも外堀を埋められてます。社長への取り調べはだいたい半日以上。社長に対する取り調べはねそれも一回じゃ済まないかもしれない。それで送検するということになる。

送検した段階で新聞記事になる。書類送検って何かって言うとね労働基準監督署つまり署が検察庁に送ることを送検。もう逃げない場合は書類送検、逃げそうな場合は身柄送検されます。

今度は検察庁が裁判所に送る刑事事件として扱い起訴となる。起訴猶予こうなるわけです。

告訴されしまうと、例え残業代の未払いが仮にあったとして告訴された後に仮にさかのぼって払ったとしても、犯罪という事実は消せない。リスクがあるり大きな問題に発展しかねない。

書類送検は、労働基準監督署とかが 記者クラブへ投げ込みする。新聞各社が受けて、もう止める方法もなくなる。

告訴ってのは非常に気をつけないけない。

労基署の臨検対応 その10

書類送検とは

●悪質な法違反事案について、司法警察官の権限を行使して刑事事件として取扱い、捜査、取調べのうえ、検察庁に送検する「司法処分」 

       ⇒書類送検された会社は、公表される。

●どのような場合に書類送検されるか

1 是正勧告を受けたにもかかわらず、一向に改善しない場合
 (改善の姿勢がうかがえない等)

2 重大な法違反がある場合(賃金不払い等)

3 著しく悪質な場合(労災隠し等)

4 重大労災事案で安全衛生法違反がある場合(死亡労災等)

5 社会的影響が大きいと認められる場合

6 当該人から告訴・告発を受けた場合

当該人から告訴を受けた場合ですが、刑事訴訟法で定められておりまして、口頭もしくは文書で告訴できる。

口頭でも成り立つから労働基準監督署に行って

「うちの会社が残業代払ってくれないんです。払わしてください。」

ってやると、大抵の場合はいきなり送検はせず普通は是正勧告書を出すと思われますが、当の本人が告訴したいと、”告訴”の言葉にこだわりますと、労基署としては捜査するほかなく被疑事実を捜査することになります。

その上で事実があると送検する他ないと話になります。

労基署の臨検対応 その9

臨検の結果はどうなる

もし臨検をした結果法令違反が見つかると、明らかな法令違反は是正勧告書というものを出してきます。それに対して訂正報告書を出さなければいけない。

指導票は明らかな法令違反まではないが改善が求められる。これは行政処分ではなくて行政指導です。いついつまでに指摘した法令違反を是正するという事を求めているものです。

書類送検は司法警察官の権限を行使して刑事事件として扱い捜査取り調べの上、検察庁に送検することを司法処分。書類送検されると者名が公表されます。

臨検監督により法令違反等が認められた場合

⇒「是正勧告書」および「指導票」を発出

「是正勧告書」→ 法令違反があった場合に発出。法令違反を「是正」することを「勧告」する文書

「指導票」→ 明らかな法令違反とまでは認められないが、放置すると法令違反に結びつく事項に対して「改善」を「指導」する文書

⇒いずれも「行政処分」ではなく「期日までに指摘した法令違反を是正すること」といった「行政指導」

労基署の臨検対応 その8

監督署の臨検とは?どんな種類がある?

●労基署の臨検とは

  → 労働基準監督官が行う行政指導。事業所への立ち入りまたは監督署
    への出頭などにより、労働基準法、労働安全衛生法等に違反がない
    かを調査する。事業主は臨検を拒むことはできない

●臨検の種類は

① 定期監督・・・労働局や監督署が定める年度監督業務計画に基づいて実施する臨検

労働局とか労基署が定める年度の監督業務計画ってありますのでそれに基づいて臨検する。来ることもありますが、多くの場合呼び出しと思います。

どんなところ呼び出されているか。36協定とか就業規則の届出していないところで一定の人数のある事業所。労働保険料申告書でその会社の規模は推定できる。その上で特に36協定の未届け事業所を選んでいると思われます。

② 申告監督・・・労働者の申告に基づく事案についての臨検

いわゆるチクリです。チクリの場合は、呼び出しもあるけど、手帳を持って突然やってきてるように思われます。突然やってくる場合も工場の労働安全をチェックするという目的で来る場合と、主に労働条件つまり残業代を目的で来るのがあって、特に従業な誰かがチクった場合はですねまあこの突然やってくるケース多いと思われます。

③ 災害時監督・・重大な労働災害を起こした事業所への臨検

災害時監督は、労働災害です。工場で事故をした場合に来ることが多いです。

④ 再監督・・・・定期監督などで是正勧告などを受けた事業所に対して、改善状況などを確認するために再度行う臨検。追跡調査のこと。

労基署の臨検対応 その7

そもそも「労働基準監督署」とは

まずは「署」の漢字をですが公共職業安定所などの「所」と違いがあります。税務署、警察署などの「署」と同じです。つまり極端な場合は逮捕権があるとことでしょう。司法警察官としたらね逮捕権がある。

●労働法に関する違反行為に対して、重大な局面に至る前にそれを是正し、法令順守を
  指導することを目的とする。
  → 事業場に労働法規を順守させること

●主な身分
 「労働基準監督官」としての身分
  → 違反行為に対する是正・指導業務

 「司法警察官」としての身分 
  → 悪質な違反行為に対する捜査・取調べによる司法処分業務

監督署の権限は?

労働基準法

第101条
労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。

第102条
労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。

第104条の2
2 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、使
  用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることがで
  きる。

労基署の臨検対応 その6

臨検にあたって要求される書類について

1番目は会社組織図。これはつまり管理監督者のことに切り込もうとしたのでまず一番目。

2番目は労働者名簿。

3番目は就業規則。就業規則の中の特に固定残業代について労基署はマークしています。例えば業務手当、営業手当それがねえ明確にその残業代と言えるのかどうかってことですね。それから一つのポイントは課長の手当てです。それが残業代なのか役職者としての職責分のことなのかそのことを労基署はね賃金規定をまず見ようとする。

4番目は雇用契約書と雇用契約書。どこで何を見ているか、固定残業代についてそこを見る。

5番目は賃金台帳。ここで見るのは賃金台帳は支給欄と控除等があります。支給欄の上には勤務時間数の記載がありますが勤務時間数を書く欄が空欄では困るってことです。残業時間休日労働に関する書類を書かなければいけないということがあります。賃金台帳でまずは時間がかけなきゃいかんとことするから残業換算時間というものを備考欄で儲けてもらいたい。固定残業代を採用している場合です。例えば問屋さんで行ったら営業手当とか両口屋とか言います。それが残業換算時間として何時間なのかを明記すべきである。そしてもう一つポイントがある課長について、まず否認されますのでその手当てが何時間分なのかを残業換算時間というこの文字を明記すべきである。手当の額上限額一人で違うから例えば課長の手当が〇〇円となっている場合も何時間分とは人によって異なりますので、つまり人によって違う。

6番目はタイムカード、出勤簿。タイムカードは朝来たら押し帰る時に押しますが、それは入社と退社です。それは入社と退社のことである。出勤簿は始業と終業を書く。ここにね大きな差がある。それを二つとも併用していただきたい。実際の臨検にあたっては他の物的記録、例えばパソコンのログインログオフとか機械系のピットやるカードの記録とか当然それも見られます。

7番目は残業協定です。36協定です。これは焦点になると思います。その際に重要なのは従業員代表の選出。これは挙手及び投票となっています。どのように選出するか。従業員代表きちんと選出すること。

1年単位変形は320時間です。1年単位変形でなければ360時間なので残業時間の上限時間がある。そしてこれから労働基準法改正、特別条項の上限時間の明確化、厳格化です。

8番目は変形労働時間制の届出。これはもう当たり前。

9番目のシフト表。どっちかいと小売業などです。

10番目の年次有給休暇の管理簿。これは会社で5日間は有給を強制取得となります。これからの一つの焦点になます。

11番目の健康診断の個人票。これはね特にここがリスクが大きい。残業代のリスクより過労死のリスクの方が大きい。要治療の人とか誰なのかを特定すべきである。その人に長時間働かせることはね甚だは大きなリスクがある。

それから衛生管理者の選任状況はこれは従業員50名以上の事業所が対象です。産業医は52以上の事業所である。

つまり会社というのは書類が大事である。調査というのは常に書類でしますからどのような書類記録を残すかってことに細心の注意を払うようなことを真剣にやってみたら会社を守れると思います。