モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その3

奥田 碩 さんの講演内容です。

1.2 中国と日本の貿易の実態

中国の発展の状況は、中国と日本の貿易の実態にも表れています。 財務省が発表している貿易統計速報によれば、2002年度の中国から の輸入は約8兆円、2003年度は約9兆円で、連続して前年度比で二桁増 となっています。その結果、中国は米国を抜いて、わが国にとって最大 の輸入相手国になりました。その内容も、パソコンなどの事務用機器が 増加する一方で、繊維製品や食品の輸入は減少するなど、高度化しています。

また、日本から中国への輸出も、 2002年度が約5兆4千億円、2003 年度は約7兆円と、こちらも連続の二桁増です。一方でアメリカとの貿 易は、2002 年度、2003年度ともに、輸出入とも減少しており、日本の 貿易における中国のプレゼンスは年々高まっています。

さらに、この統計には入ってきませんが、日本から香港経由で中国に 輸出されているものも別に相当額あります。中国は、日本企業にとって 大きなマーケットに成長しつつあるのです。さらに、中国への直接投資 が活発に行われてきた結果、工作機械や電子部品などの輸出が増えています。

それに加えて、中国からの配当や利子などの経常収支も増加してきて いて、投資に見合った十分なものであるかどうかは別として、日本企業 の中国投資がリターンを生みつつあることも事実です。

すなわち、わが国と中国との経済関係は拡大しつつあり、相互依存関 係も強まっていると考えられます。水平分業も徐々に進められています から、一時期世間でしきりに取りざたされ、いまだに一部に見られるよ うな、単純な中国脅威論には賛成できません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA