モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その20

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.3.8 非営利部門の充実

今後わが国にとって、発展、充実させなければならないのは、社会的 な助け合いの担い手となる、 NPOなどの非営利部門の強化、充実です。

これまでのわが国における相互扶助のしくみは、年金や医療保険のように行政が提供するもののほかは、企業や地域社会、あるいは家族といったものがその担い手となってきました。それゆえに、多様化と個人化 が進み、こうした枠組みが風化し、空洞化してくると、それに代わる相 互扶助の担い手がきわめて不十分になっているのが現状です。

ここで期待されるのが、新しい連帯関係の担い手としての、非営利部 門の役割です。ボランティアやNPOなどの非営利部門の活動は、最近 でこそわが国でもかなり充実してきた感がありますが、欧米諸国と較べ ると、まだまだ発展の余地があります。このような、行政と家庭、個人 との間の分野の公共的な部分を強化していくことが、多様化社会を豊か なものとしていくための重要なかぎを握っているのです。

民間企業も、そのために、これまで以上の役割を果たしていくべきで しょう。そのためにも、寄付金税制の大幅な見直しなどの環境整備が急 務です。

また、非営利部門が新たな雇用の場として大きな可能性を秘めている ことも、見逃すことはできません。非営利部門と営利部門とが限られた 市場を奪い合うのではなく、互いに連携しあい補完しあうことで、経済 全体を発展、成長させていくことを可能にしていくべきだろうと思います。

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