モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その21

奥田 碩 さんの講演内容です。

おわりに

最後に、もう一度中国の話に戻ります。中国はこれから、2008年に 北京でオリンピックを、 2010年には上海で万博を開催しようとしています。その姿には、1964年に東京オリンピック、 1970年に大阪万博を 開催したころの日本の熱気と活力を、たしかに思い出させるものがあり ます。

それに遅れること 40年、北京オリンピックも上海万博も、かつての わが国がそうだったように、開催国の力を世界に示す、国家的な大イベ ントとして、大々的に開催されると思います。それに先立って、2005 年には、大阪万博から35年を経たわが国で、ふたたび万博が開かれます。それが「愛・地球博」です。

1970年以降、わが国は悲願であった欧米へのキャッチアップをおお むね達成し、世界でも最高水準の豊かさに到達しました。 その一方で、 地球環境問題や、少子化・高齢化といった、新しい問題にも直面しています。「愛・地球博」は、中国に40年先行したわが国が、いま世界に向かって何を発信できるのか、が問われる場になるでしょう。 それはおそらく、かつての万博のように、自国の力を世界に誇るような、国威発揚 の場としてのものにはならないはずです。

「愛・地球博」のメインテーマである「自然の叡智」や、コンセプト である「地球大交流」、あるいは「市民参加」といった考え方からは、 物質的な豊かさを超えて、地球環境と共生し、多様な人々の多様な価値観を受け入れようとしていく、骨太な構想が感じられます。こうした構 想のもとに、万博という「お祭り」を企画し、世界中の人たちに集まってもらってともに楽しみ、交流しようという考え方は、まさにわが国が めざすべき将来像を先取りしたものといえないでしょうか。

「愛・地球博」の開幕もカウントダウンに入り、具体的な準備も着々 と進んでいるようです。もちろんそこには、モノづくり企業の改革とシ ンクロする新技術の紹介や応用が豊富に盛り込まれていることはいうまでもありません。

新時代に向かう日本の担い手として、ここでもモノづくり企業は活躍 しているのです。自信と確信をもって未来に歩みだしたいものです。

以上が2003年11月に奥田 碩 さんが講演した内容です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA