奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その7。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。
21世紀の新しい日本の創造に向けて、今申し上げた三つの課題を解決していくためには、民間企業の果たす役割は極めて、中でも私は製造業がもっともっと頑張らなくてはならないとこういう風に思っております。
申し上げるまでもなく今日までの世界経済の発展の原動力というのは、技術革新によるものでありました。
技術革新が新たな時代のブレークスルーを産んで、今日の豊かで便利な社会を築いて開けてあります。
しかし今日では情報化技術の進展と共に脱工業化とかあるいはハードからソフトの時代への転換。こういうことが当然のように語られまして、実際株式市場などにはしてもソフトウェア産業やあるいはインターネット産業に属するというだけで、その企業の株が株価収益率の数百倍の価格で取引される。とこういったバブルの再来を想起させるような現象がアメリカでも起こっているし日本でも取ります。
もちろん米国経済の活況に典型的に現れておりますように、今 Microsoft あるいはインテルさらにヤフーなど情報技術を駆使したソフトウェア産業や、あるいはインターネット産業が世界の経済を成長をリードする力を発揮するとか、
あるいはまた E コマースは電子商取引ですが、こういうものも新しいビジネスとして取引形態が次々と誕生している。こういうことも事実であると思います。
また様々なサービス産業が製造業に変わって雇用吸収して、新たな雇用増を満たしていく。とそういうことも事実であります。
しかし情報産業も新しいコンピューターというハードウェアなどの飛躍的な向上前庭として成り立つものでありまして、また色々なサービス業にしても製造業の発展なしにはありえないということであります。
ものづくりはいつの時代にも社会発展の原動力であることを決して忘れてはならないと思います。
元より魅力的な商品の開発ということは日本のお得意分野でありまして、この魅力あるものづくりを通じて世界に貢献してきたからこそ、今日の日本の繁栄とまた国際社会における評価があるわけであります。
21世紀にも私どもが長年培い蓄積してきたものづくりの強みというものを伸ばしまして、世界の人々が欲しがるような画期的な新技術による製品やあるいは環境エネルギー問題を解決する省エネ技術や製品を開発して、世界中の人々に喜ばれて、それによってエネルギー問題や環境問題への貢献を果たす。
ということができれば、新たな世界需要の創出にもなって、長期的には世界経済を押し上げる力になる。とそういうことになるだろうと思っております。
これこそが軍事力を現在も持たない日本ができる、最大級の国際貢献ということでありました。
こうした取り組みを通じて「21世紀の魅力ある国家の創造」ということが可能になる。とそういうふうに思います。
私どものトヨタグループも例外ではございません。
先ほど申し上げました三つの課題を自らの課題として真摯に受け止めましてスピーディーに改革を図り、日本のものづくり企業のリーダーとしての役割を果たしていく意気込みで取り組んでいく必要があると思います。