奥田 碩の講演会 その8

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その8。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

さて足元の自動車産業というものに目を転じますと、すでに皆さんご存知のように肌で感じておられると思いますが、ダイムラークライスラーの合弁。あるいは GM いすゞすすきの提携強化。あれは日産ルノーの提携。思い切ったリストラ策の発表を始め次世代のモビリティ開発を巡って異業種を含めた戦略的な提携。

こうゆうグローバル化、地球環境問題、情報化の進展の中で自動車産業は、質量スピードあらゆる局面で今大きな転換期にあるわけであります。

こうした中で私どものトヨタグループが21世紀にも引き続き成長発展を図っていくということのためには、今何をしなければならないか。ということを真剣に考えて、速やかにそれを実行に移していかなければならないわけであります。

ご承知の通り私どもは95年に国際ビジネスプランを発表するなど、グローバル企業を目指して取り組んでおりますが、それは自動車産業がグローバルに見ればまだまだこれからの成長産業であって、グローバルに成長の活路を見出していくということがトヨタグループの21世紀の成長の道である。そういう風に思うからであります。

まあ端的にいいかえれば地球全体をトヨタのカバーする市場である。こういう風に考えることが21世紀の成長の道である。そういうふうに思います。

一部には自動車産業はすでに成熟化している。あるいは衰退産業であるとかそういう声も聞きます。

確かに自動車は日本はじめ先進国では、2人に1台以上に普及しておりますが、全世界で見ればまだ8人に1台と。こういった状態でありまして、世界人口の約80%を占めるいわゆる発展途上国の方々の多くは、まだ自動車の便利さや快適さを知らない。そういう状況であります。

仮りにこれらの地域で今後普及がどんどん進めば、膨大な潜在需要があるということでありまして、自動車産業はまだまだこれからの産業である。とそういう風に思っております。

しかし、そうだからといってこれまでと同じ対応をとっていてでは到底成長は望めないというわけでありまして、私どもの成長発展は今後問題になってくるだろう、環境あるいは安全問題の対応や高度情報化社会への適応さらに交通渋滞問題の解決などの面において、従来とは異なった画期的な技術革新によって新しい車社会を築いて、20世紀に自動車が果たしたように、世界の人々の豊かな暮らしに貢献して行けるかどうかということにかかってくると思います。

私どもはこうした社会の実現を目指して、自ら道を切り拓いていく気概が必要であると思っております。

こうした役割を担う為に私どもは21世紀の世界市場でメジャープレーヤーとして存在ある企業を目指して行かなくてはならない。

ご存じのように世界の自動車メーカーは、現在大小合わせて40社以上ございますが、このグローバルの再編の中で多分生き残れるのは4社あるいは5社とこういう風に言われております。

実際、環境・安全や情報化とこういった開発技術分野を始めグローバルな事業展開のためには今後膨大な投資が必要であります。同時に熾烈な競争に打ち勝って行かなければならない。

そういうことを考えますと企業として、技術的にもあるいは財政的にも相当な体力が必要であります。

生き残れるメーカーの数は非常に限られたものになる、というのは当然であります。

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