奥田 碩の講演会 その12

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その12。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

こうしたチャレンジングな課題を達成するために今私どもがどう取り組もうとしているのか。

技術革新あるいはコスト競争力を軸とした企業体質の強化。それからグローバルマネージメントの改革。そしてグループの事業構造の再構築といった四つの側面からお話をしてみたいと思います。

まる第一は先進的な技術開発への取り組みということであります。

先ほど自動車産業はまだまだこれからの産業であって、今新しい局面に差し掛かっていると。こういう様に申し上げましたが、これは我々が先端技術開発によって地球環境問題を克服し、またかつ、高度情報化社会にも適用した次世代のモビリティを開発していけるかどうかということにかかっていると思います。

現在世界の各メーカーが次世代モビリティの開発を巡って凌ぎを削っておりますが、その中でいわゆるデファクトスタンダードを獲得した者だけが、市場を制して21世紀のデファクトカンパニーとして大きく飛躍していける。とそういうことになるわけであります。

すなわち勝者と敗者というものがはっきり区分されるということになります。

敗者にとりましてはこれまでの製品開発に要した膨大な費用を回収できないばかりでなく、その企業の傘下に取り込まれかれない。とこうした厳しい時代に現在突入しているということを忘れてはならないと思います。

ご承知の通り私どもは一昨年世界初の量産車として、ガソリンエンジンと電気モーターを併用したハイブリッド車プリウスを投入したわけでありますが、これは環境に対する私どもの企業姿勢を内外に明確に示すというだけではなく、このプリウスによって先鞭をつけたハイブリッドの方式を環境対応技術を巡る技術開発の主流に育て上げまして、そのデファクトスタンダードを獲得していく。とこういうつもりで取り組んでいる。ということで始めたわけです。

プリウスは既存車を遥かに上回る性能や快適な居住空間を確保するとともに、燃費あるいは CO2削減などを良好なコストパフォーマンス。さらにガソリンスタンドなど既存のインフラ設備の活用ができることなど、決して言われております我慢車でなく、実際実質においても普及の条件を十分満たしているシステムを備えた車であるというふうに考えております。

私どもこの先鞭をつけたハイブリッド方式は様々な導入技術の長所を組み合わせて最高のエネルギー効率、すなわち低燃費を達成できるということで無限の広がりをもつ技術であると思います。

私どもが今回東京モーターショーに出品いたしましたミニバンタイプの4 WD のハイブリッド車は2.4 L 2タント CVT。 そしてフロントモーターを組み合わせた高効率のパワートレインがありまして。さらに後車軸にモーターをもちましてプロペラシャフトのない電気式の四輪駆動システムとなっております。

この技術によって同クラスのミニバンの約2倍の燃費を達成するなど新しいハイブリッドの方向も具現化されたということもございます。

ホンダが本年市場投入してきましたが、私どもは2年のアドバンテージを生かしてこの分野ではトヨタの方式がデファクトスタンダードだと。そういう体制をこれからしっかり築いて行かなくてはならないという現状でございます。