奥田 碩の講演会 その15

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その15。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

次に申し上げたいことは我々はグローバルなコスト競争に打ち勝つためには、企業活動のあらゆる分野で徹底的に効率化を図り、筋肉質でスリムな企業体質を作り上げていかなくてはならないということであります。

技術開発分野でデファクトスタンダードを獲得している取り組みと共に企業の成長のもう一つの源泉はコスト競争力の強化ということであります。

これはものづくり企業にとって永遠のテーマでありまして、社会的な競争激化は確実にコストの削減圧力となって働いてくるということは予想されます。

一方先ほど申し上げましたように我々の将来の成長の糧となる技術開発投資やあるいは海外プロジェクトの推進には膨大な投資が必要であります。

しかし商品の価格というのはお客様が決めるものでありまして、いかに投資がかさむからといってこれを製品価格に転嫁するという事は出来ない相談であります。

さらに適切な収益を確保できなければ株主への責任も果たさないばかりでなく、また従業員の努力にも報いることはできない。

ということになりまして、こうした2列にも3列にも背反するような問題をクリアしていくためには、これまでにない画期的なコスト削減、あるいは経営資源の有効活用することが必要となってくる。とこういう時代であります。

30%を40%大幅なコスト削減は従来の延長線上での発想では絶対困難であります。

ものづくりの源流から発想して、仕組みを根本から変えるという発想で取り組んでいかなくてはならない。そういうふうに思っております。

私はこうした取り組みに絶えず挑戦して、その目標を確実に達成していけるかどうかということが企業としての若さであろうと常に思っております。

トヨタはコスト競争力についてはどこよりも強いと言われてきましたが、その言葉に甘んじて自分たちが世界一だと思い込んで、いわゆる「裸の王様」になってはならないと思います。

今は若干そういう傾向も謙虚に見ているわけでありまして、これを見直してグループ全体としてもこれまで以上に強力に取り組んでいく必要があるとそういうふうに考えております。

開発期間の短縮、あるいはプラットフォームの総合、部品の共通化モジュール化、システム化の推進さらには研究開発費、設備投資等の固定費の削減。

こうした取り組みを規模だけではなく、いつまでにという時間軸も視点において強力に推進をしていかなくてはならない。というふうに考えます。

また取り組みにあたっては、他社の取り組みを徹底的にベンチマークしながら良い点は積極的に取り入れていく。

また本来あるべき姿は何か。こういった視点から思い切って目標を設定して従来の仕組みを根本的に変えていく。

と言ったつもりで多忙にも果敢に挑戦していく。こうした取り組みが必要である。とそのように考えます。

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