奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その16。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。
三つめはグローバルマネージメントの改革ということであります。
先ほども触れましたように今や販売・生産そして収益の上とは大きく海外に依存している。とそういう状況になっておりまして、販売目標の達成や収益確保という面ではマネージメントもグローバルに全体最適を目指した意思決定がスピーディーになされるということは不可欠あります。
迅速な意思決定にはグローバル組織の責任と権限が明確でなくてはならないというわけであります。
現在日米欧とアジアとこの4極とグローバル本社といった構想のもとに、現地で対応できるものは可能な限り現地に任せてグローバル本社は全体最適という観点から地域別、事業別あるいは車種別をスルーに管理して経営資源の有効活用。
こういった側面から即座に意思決定が出せる体制の構築に向けての取り組みがトヨタでは進んでおります。
収益任責任などは曖昧な現在の機能別組織を見直して、責任の所在が明確でしっかりと成果が評価できる、わかりやすいマネージメント単位の組織に変革していく必要があるからであります。
マネージメントの改革は単に私ども内部のオペレーションの実行だけでいくという面だけが重要なのではなく、私共の資産効率、投資効率を向上させて株主に評価してもらい、また経営の安定を図っていくという面でも極めて重要であります。
もはやメインバンク制とかあるいは株式持ち合い、こういう仕組みは崩壊しまして企業が自己責任のもとに直接資金を市場から調達する。こういう時代になっております。
経営の安定を守ってくれるのは安定株主であります。そのためにはグローバルに資産効率あるいは投資効率を高めて市場から評価される企業となっていかなくてはならないというわけでありますが、本年10月私どもがニューヨークとロンドン市場に上場したのはこれはグローバル企業として生き残っていくために避けて通れない道であると判断して決断した次第であります。
私どもの経営を理解して評価してくれるたくさんの世界中の安定株主を確保するためにもマネジメントの改革は一刻も早く実現していたではない。そういう課題であると考えております。