中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その6

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その6

第3章  今回調査に至った経緯

1.業態および業務内容の変化

第1章で述べたようにIT革命、ネット革命により社会環境が大きく変化しようとしている。特に流通業では多くのマスコミが報じているe-ビジネス関連記事などに見られるように、B2CコマースやサプライチェーンマネジメントなどITを活用して中間卸の無用化論など業態および業務内容が大きく変わろうとしている。

また、製造業においてはアメリカ大手自動車メーカーであるダイムラークライスラー、フォード・モーター、ゼネラル・モーターズ等が「コビシント(Covisint)」という名のネット購買プラットホームを計画中であり、これにヨーロッパや国内の自動車メーカーも参加の意思表示をしており、さらに国内多くの大手家電メーカーは既にネット調達を実施しており大手製造業においても業務内容が変化している状況である。

従って、これらのメーカーに部品や製品を供給している企業(当然多くの中小企業が含まれる)にとってもこれに対応して行かなければ、やがて淘汰されることが予想される。

2.調査の実施

実際に我が国中小企業の製造業においては電子商取引の活用により、具体的には近年どのような影響又は変化が出ているかを、中部地方を中心とし製造業の中小企業を対象として実態調査することとした。

調査方法としては、当チームの構成メンバーは各々の専門分野を持った独立したプロのコンサルタント及び企業内診断士であり、それぞれの専門知識を活かしメンバーの中で討論した結果次のように調査手順を決め実施した。

3.調査手順

(1)アンケート調査

  • 一般の中小製造業の実態を把握するため、当地方の中小企業リストより170社にアンケート用紙を」送付又は電子メールで送信して回答していただいた。その結果27社回答があった(回収率:16%)。
  • 第2章で述べたe―ビシネスの分類におけるマーケットプレースに参加している企業の実態を把握するため、中小企業を主体としたマーケットプレースに登録している企業から中部地方の企業217社に①と同じアンケートをお願いした。回答していただいた企業数は65社であった(回収率:30%)。

(2)代表事例(中小企業側)の実態調査

 アンケート結果の中から積極的にITの活用により業務を拡大しようとしている中小企業3社を抜粋し、更なる具体的な企業内容および電子商取引の活用状況を把握する為に、直接メンバーがその中小企業へ訪問しヒアリングした。

(3)ネット調達側の実態調査

 第2章で述べたe―ビシネスの分類におけるバイヤー型ネットワークの実態を把握するため、まず、中小企業に大きく影響を与える納入先である大手企業でネット調達を実施又は計画中の企業3社(この内容は第2章で述べた3社にあたる)を訪問し、ネット調達の実状を調査した。

アンケートを出した中小製造企業の多くは納入側としてこの中に含まれると考えられる。