中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その24
3.事例 3
(1)企業の概要
〇〇〇株式会社 愛知県知多市
代表者 〇〇 〇〇
資本金 10,000千円 創業 昭和45年
役員 4人、従業員数 7人(いずれもパート)
売上高 120,000千円(平成12年度)
主要製品 小型コイルバネ
当社は昭和45年に現代表者が父の会社から独立して創業、顧客も自分で開拓してきた。
当社の納入先は自動車部品製造企業の下請企業(3社)で、最終の自動車メーカーからいえば3次下請である。3年前に工業団地内に新しく建てた工場に移ってきた。それまでは同じ市内(愛知県内)で操業していたが、製品の出し入れにも困る場所で、ようやく長年の夢をかなえた。又これと同時に、東京でサラリーマンをしていた子息が帰ってきて工場を手伝うようになった。
工場内はきちんと整理されており、12台の種々な自動コイル巻機が整然と並んでいる。各機械には熱処理装置を直結しており、全て無人で1日15万個のバネが作られる。代表者と子息の二人で機械を操作する。従業員は全てパートの女性で、製品の最終検査と箱詰を行っている。
(2)インターネット取引の現状
当初は工業団内の企業が協同でホームページを作ったが、企業紹介のみで取引には結びつかなかった。代表者の子息は親の企業を引き継ぐつもりで帰ってきたが、単に従来の得意先を引き継ぐだけでなく、新たな顧客を開拓したいと考えていた。その一つがインターネットによる顧客の開拓であり、雑誌でマーケットプレースの記事を読み、早速そこに登録した。そしてその2週間後に三重県の企業から見積もり依頼が来た。当初はインターネット取引には興味を示さなかった父(代表者)も意外に早い引合いに驚き、早速相手の信用調査を銀行を通じて行った。そしてメールやファックスでのやりとりの後、現在、試作品を納入したところである。
(3)インターネット取引のメリットと問題点について
① インターネット取引のメリット
いままで全く面識もなくても、また、地理的に遠隔地でも取引ができること、それもメールとファクスだけでも取引ができることはインターネットの威力であると感じている。
② インターネット取引の問題点
1)顔の見えない相手であり、相手の信用調査が重要である。又、相手の立場で考えれば、こちらの信頼度や技術力をどうしたら的確に伝えることができるかである。
2)どうしたら自社にアクセスしてもらえるか、登録したマーケットプレースには、同業種企業が120社登録されている。この中から、いかにしたら他社より先にアクセスしてもらえるかが問題である。
(4)今後の展開について
① 自社独自のドメインを持ち、もっと的確に自社の技術をアピール出来るようにしたい。
当面の目標として、売上の10%をネット取引で新しい顧客を開拓したい。
② 出来れば、他のバネメーカーと組んで、もっと広い種類のバネをネットで供給出来るようにしたい。