中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その26

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その26

(3)インターネット購買の今後の課題と提言

 今後の課題と提言を; 

1)セラーの立場から 2)バイヤーの立場から 3)セラーとバイヤーの立場から考察する。

1)セラーの立場からの課題と提言

受注拡大について機会と脅威の両面から考えてみたい。

インターネット購買の機会としては、製造業の部品メーカーにとってホームページを開いたからといってすぐに引き合いが来て、成約することは少ないが、インターネットのホームページを利用すれば世界中の企業に自社の概要と製品をリアルタイム・少ないコストで紹介できる。それまで雑誌、新聞、見本市などの宣伝メディアに費用の面で手が届かなかった中小企業にも多くのチャンスを与えている。 ホームページの役割はAIDMAの法則を適用すると、注目と興味の段階である。販売のホームページを作成、維持するにあたって自社の製品の宣伝もさることながら、定期的に見てもらえるホームページづくり(たとえば、その業界の裏話、その製品の応用例)が必要である。購買担当者がホームページを見るのは製品ばかりとは限らない。見る楽しみのあるホームページ、何となく定期的に見てしまうホームページにすることが大切である。 それには企業情報誌のような体裁にして、定期的に配信する。ホームページをアンケート形式にして、顧客の生の声を吸い上げ、隙間のニーズを探ってもよい。顧客の疑問に対してはなるべく迅速に回答を出すようにしたい。ホームページを配信するが、潜在顧客から質問がきても回答せずにいる場合がよくあるが、これではせっかくのホームページもその役目を果たしていないといえる。またホームページの対象は購買担当者ばかりではない。部品の仕様を決定するのは技術者、生産技術者であるから、技術者、生産技術者にもアピールできる情報を配信することが必要である。ホームページで注目を引いて、興味を持たせて、引合いしたいという欲求まで持っていく。

インターネット購買の脅威としては、①多数の企業の価格検索が短時間にできてしまうため、価格の低下を招き、セラーの首を絞めてしまわないかということがある。②企業ごとに顧客にオファーできる技術・製品は違いがあるはずなのに、企業がホームページに配信している内容は似かよったものが多い。これではサイトに100件近くも企業が登録されている場合は、検索したバイヤーも自社に必要な情報を検索しにくいし、件数の多さに検索に飽きて、見てもらえない企業もでてくるであろう。この状況を防ぐには:①選りすぐったキーワードでバイヤーにアクセスさせることである。インターネットで検索する場合は価格を検討している場合も多いが、製造、加工上の問題を解決できずに検索することも多い。月並みな言葉を検索キーワードにしていると、検索する側も自分のほしい情報にアクセスできないことが多い。 バイヤーの問題解決に自社の技術が役立てば、価格競争は必要ない。②自社の特殊技術、他社が追随できない技術、納期などを検索用キーワードにすることによってバイヤーの注意を引くことが重要である。 自社の売りと強みを見出し、それをバイヤーにアピールする言葉でホームページを作成する。③調査結果から、インターネット購買を積極的に行っている企業のホームページにアクセスしている企業が約1/4弱あった。ホームページを出して待っているだけではない“攻め”の姿勢も重要である。

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