生産性を高めよ。機械を止めるな!

先日、上司が「生産性を高めよ。機械を止めるな!」と言った。びっくりした。

昔ながらの古い社長で、現場を見回ったとき、機械が動いいるとご機嫌で帰っていき、機械が止まっていると不機嫌になる社長が多かったと聞いたことがあるが、いまだにそのような考えを持った人がいたとは。それも上司で。びっくりした。

それもその上司はデンソー出身だとこの。デンソーといえばトヨタ生産方式を浸透していると認識していたが、こういう考えの人もいるのだと。

「生産性を高めよ。機械を止めるな!」となると、とにかく機械を止めなければよいことになる。機械を動かすほどの仕事量が無くても、不要な在庫を作る。機械が動いているふりをする空運転をする。不良をどんどん作る。不必要なトライをし続けるなど、とにかく機械を動かし続ける努力をしてしまう。

やはりここは前述したように可動時間と必要数をしっかり明示して可動率で管理すべきである。

日本語が通じない

トヨタ生産方式を展開している人から良く「日本語が通じない。」と言っているのを聞いたことがある。「日本語が通じない。」相手は、トヨタ生産方式を理解していない人たちだ。

トヨタ生産方式の用語のレベルは色々あるが、基本的なことを理解していないと、その後も全くすれ違ってしまう。

例えば、可動率である。可動率を算出するには、良品数または必要数やサイクルタイムや可動時間が必要となる。これらの基本的な要素指数の扱いも間違ってしまう。

日本語が通じないのは今まで成長してきた環境が異なる要素がが大きい。社会人になりトヨタ生産方式を触れずに成長し、あるときトヨタ生産方式の考えを教えても全く心に伝わらない。言葉では何となく言っていることはわかるが、内容の本質は理解されない。ましてやその周りがトヨタ生産方式に触れたことが無い人ばかりでは全く理解されない。そんな集団にどうすればよいのか。

基本的なマインドの教育から必要であり大変な長い道のりである。

先に上げた、良品数または必要数であるが、トヨタ生産方式を理解していないと生産性の指標で生産数を使いがちである。トヨタ生産方式はでは良品数である。生産数とは大きな意味の違いがある。

サイクルタイムであるが、トヨタ生産方式を理解していないと実績の平均値を使うことがある。平均値はあるベストの日の値、またはあるベストの時間の値など。まったくトヨタ生産方式のサイクルタイムとは異なる。

そしてサイクルタイムとは基準である。その基準がトヨタ生産方式を理解していないとない。

こんな一つ一つが理解されず、「日本語が通じない。」となってしまう。

中小企業の生産性指標の例

ある中小企業の製造業の生産性指標の例を書きます。

そこの企業の生産性の指標は、アワーレートである。算出式は、

付加価値額÷勤務時間=アワーレート である。

・付加価値額は、総売上-総仕入費=付加価値額

・勤務時間は、従業員のΣタイムカードによる勤務時間 である。

これにより従業員が1時間で稼いでいる金額が出されている。もし、全従業員のΣ給与÷勤務時間より下回っていれば人件費だけで赤字となる。

しかしこの指標では問題点が分からない。

付加価値額が低いのか、それとも勤務時間が長いのか、どちらが問題かわからない。または、どちらも問題であるかも。まったく狙いどころが分からない。

そんな中で、「上司から生産性を上げる改善をすること。課題を顕在化し優先度を決めて進める事。」と言われ、

「課題は生産性の指標をアワーレートにしていることだ。生産性の指標を可動率にすべきだ。」と提言すると、

「指標で生産性が上がるのか。生産性を上げる活動をしてください。」

と、とにかくもぐらたたき的に気が付いた改善をせよとのことで、全く理解されない。

前回書いたように、重点指向ができない。何が問題か把握できず、とにかく改善をせよ。と

改善をした後、その成果を監視・管理もしないし、するつもりもない。

修正不可能だ!

中小企業と大企業との差は重点化である

中小企業と大企業はなぜ差が付くのか考えてみた。

中小企業でも大企業でも課題(問題)は大小とても沢山ある。

しかし大企業と中小企業の大きな違いは、中小企業は重点化ができない/しない/弱い。

中小企業は目の前の問題をつぶすことで精いっぱい。重点志向化せずモグラたたきの様に取り合ず目の前の問題をつぶしていくので精一杯なので、さらに重点志向しなくなる。

重点化ができない/しない/弱いのでデータの分析も弱く、また、集めるべきデーターも無く、集めたデータも誤った内容となっている。

これでは大企業との差はどんどん差が付くが、すべての中小企業がそうではない。うまく重点志向ができ大きく成長した中小企業もある。