トヨタ補給一括生産について8

引き続きトヨタの旧型補給部品の一括生産について書きます。

5-1.再生産(販売中止後)

1)仕入先へ再生産を依頼するケース
①長期未受注・生産年限到達以降、お客様に生産中止を納得して頂けず、強く再供給を求められた場合、仕入先へ再生産を依頼する。(但し、必要なL/T,販価をお客様にご了解いただく。)

2)再生産リードタイム及び費用負担
①再生産リードタイム
再生産リードタイムはできる限り最短でお願いする。(概ね3ヶ月以内とし、その都度トヨタ仕入先で相談)
②費用負担
再生産が発生した場合の費用は、トヨタが負担する。(再生産発生要因が仕入先にある場合を除く)

3)処理フロー

再生産・・・・・生産年限到達後の部品
(お客様への販売中止後に、お客様要望に対応する場合)

トヨタ補給一括生産について7

引き続きトヨタの旧型補給部品の一括生産について書きます。

4-1.余剰品の補償申請(一括生産実施品の生産年限到達時点)

1)対象と処理手順

<対象>
①生産制度による生産年限到達時点(一括生産実施品)
・生産制度による生産年限到達時点で余剰品がある場合、仕入先の
申請(「余剰品処理申請書」)に基づき、余剰品を廃却処分する。
・トヨタは、余剰品について「余剰品補償」を行う。

2)申請先・申請時期

申 請 内 容  一括生産品余剰品費用補償申請書
申 請 先   サービスパーツ物流部*    *仕入先へは調達部より回答
時 期    定期(毎年9~11月末)

3)処理フロー

4-2.余剰品の補償申請(一括生産実施品の旧型経年15年経過時点)

1)対象と処理手順

<対象>
①旧型後15年経過時点(一括生産実施品)
・旧型後15年を経過して在庫が残っている場合、仕入先の申請(「余剰品処理申請書」)に基づき、トヨタ買上げ又は、余剰品の廃却処分(余剰品補償)を行う。

2)申請先・申請時期

申 請 内 容  一括生産品余剰品費用補償申請書
申 請 先   サービスパーツ物流部
時 期    定期(毎年9~11月末)

3)処理フロー

トヨタ補給一括生産について2

引き続きトヨタの旧型補給部品の一括生産について書きます。

【考え方】

1)出荷量のある間は継続生産

2)出荷量が少なくなった場合、継続生産と比較しメリットがある場合、トヨタが永久必要数を算出し、一括買い上げを実施
    ◆サプライヤーでは生産設備、型の撤去が可能となる

3)また、永久予測数を上回る需要があった場合、トヨタの費用負担により再生産対応をお願いする
    ◆サプライヤーには技術情報(図面 等)の保管・管理をする

【本制度の適用対象】

◆トヨタ自動車が購入する部品(除く、現地調達品・用品)

◆但し、以下は適用対象外とする
   ①生産年限/一括生産が各国における法規適合、車両の安全性及び品質の確保を困難にするおそれのある部品
   ②当社の事業上、継続供給が不可避である部品(但し、別途、個別協議には応じる)

【概要】 旧型部品の生産制度

この概要図を説明します。

旧型になって5年以上から15年未満までの旧型部品で、年間の流動数が10個/以下の場合は、生産制度の分類「A」

旧型になって15年以上から21年たった旧型部品で、年間の流動数が120個/以下の場合は、生産制度の分類「B」

分類「A」、「B」基準に合致しないが、需要量・経年数を考慮し 生産年限制度の分類「C」

そして再生産制度の分類「C」の4つがあります。

次に、それぞれ4つの分類の【生産制度および運用の概要】を書きます。

トヨタ補給一括生産について1

トヨタの旧型補給部品の一括生産について書きます。

まず、補給はパーツともいわれます。補給の中には号口補給と旧型補給があります。

号口補給は、今現在量産中の車で、ユーザーが使用しているときに事故や故障などで修理が必要ななった時に、補給として部品を取り寄せる場合です。その場合、部品のみ取り寄せるのでパーツともいわれます。

逆に量産が終わった場合の車は旧型車になります。その量産が終わった旧型車が事故や故障などで修理が必要となった時に、補給として取り寄せる場合、旧型補給部品と言います。

この旧型補給部品に対して、トヨタはまとめて生産する「一括生産」の仕組みがあるのでその内容を書いていきます。

その狙いは、旧型補給部品を供給するサプライヤーの生産ライン維持の負担を解消し、高品質でかつ効率的な生産を支援することが狙いであります。

制度の趣旨は、旧型補給部品の出荷量および旧型後の経年数がある一定の基準に到達した場合に、トヨタが算出する永久予測数にもとづき、一括生産を実施することができる。

これにより、少量生産設備の撤去、および型の廃棄が可能となる。

しかしながら、永久予測数を超える需要が発生した場合、トヨタ自動車の費用負担によりサプライヤーに再生産をお願いする場合がある。そのため、再生産に対応できるように、図面等の技術情報の管理・保管が必要である。

トヨタの補給品の仕組み4

トヨタの補給品の供給の仕組みの続きです。

続いて補給のサプライヤーがトヨタに納入するのに納入遅れの未納カウントになる/ならないの判断基準の続きです。

納期不遵守時の責任先判定基準

トヨタとサプライヤーの責任先判定基準の考え方 ※

その他  責任区分⑤

トヨタ処理ミス

1)かんばん振り出しミス

サンプル事例  トヨタ責任

・内示変更に対し、サプライヤーがNG回答したにもかかわらず、振り出した場合。

・内示変更時(上限UP)の振り出しミス、(調整日より早く振り出したもの)

・内示変更OK回答より、早く振り出した場合。

・上限修正ミス・モレによる。振り出し数・振り出し日を間違えた場合。

2)キャンセル処理ミス

サンプル事例  トヨタ責任

・オーダーキャンセル時・代替旧品番の注残キャンセル遅れ。

3)納期変更処理ミス

サンプル事例  トヨタ責任

・手書きチケット発行ミス(かんばん区分違い)

・納期変更処理時の注残変更ミス(例3/4→3/5)

・マル超先行による納期変更処理ミス(誤インプットミス、忘れ)

サプライヤー責任による納期不遵守

A:1)生産遅れ

サンプル事例  生産忘れ、能力不足

B:2)構成部品欠品・完成品在庫欠品・包装材/ラベル欠品の場合

サンプル事例  トヨタからかんばん受領時、予め構成部品をした上で間に合わなければ可能な限り早めのご連絡を徹底すること。(前日14時を待たないこと)

C:3)設備故障

サンプル事例  型破損含む

D:4)品質不良

E:5)積み込み忘れ

F:6)その他

サンプル事例  要因を備考欄に記入(要因により個別に責任判断)

※サプライヤー:納入遅延判明時、必ず挽回時期と合わせ可及的速やかに担当拠点へ連絡が必要。

と事細かく、サプライヤーとトヨタの責任区分が例を持って決まられています。

トヨタの補給品の仕組み5

トヨタの補給品の供給の仕組みの続きです。

トヨタの補給品の仕組み3で

「トヨタ A-TOPマスターに設定(サプライヤーからの申請)されているリードタイム通りに納期遵守できたかで判定」

とありましたが、ここの”A-TOPマスターに設定(サプライヤーからの申請)されているリードタイム”とは具体的には

補給の受注を受けたときに品番毎に、サプライヤーが納入できるリードタイムの日数を事前にトヨタのシステムA-TOPに登録しておくことであります。

このリードタイムは20日まで設定できます。20日を超えるばあいは理由を申請する必要があります。

材料があれば、ほとんどは20日以内に納入できるかと思います。

ただし、早くできるのに、あえて20日のリートタイムの設定すると、後に混乱してしまうので、実力に合わせ受注後は早く出荷すべきと思います。

このようにサプライヤーの実用に合わせて納入できるようになってますが、逆にサプライヤーが申請したリードタイムなので、守れなかった場合は言い訳ができない状況です。逃げ場がないです。

このA-TOPマスターからヒストリーデーターを入手できます。

そのデータの内容は以下です。

品番(ハイフン無し):品番(ハイフン有り): 呼び番号: 補助コード(包装まで): 供給状況区分: 営業口座: 格納拠点区分: 商流仕入先CD: 工程区分: マスター適用開始年月日 :マスター適用終了年月日: 手配開始年月日: 手配終了年月日: 号旧切替適用開始年月日 :号旧区分: 商流仕入先工場CD: 商流仕入先出荷場CD: 物流仕入先CD: 物流仕入先工場CD: 物流仕入先出荷場CD: 手配・在非区分適用開始年月日: 手配区分: 在・非区分: 直近2年平均(11年間ヒストリ): かんばん区分: 納入拠点区分: 納入拠点CD: 受入CD 降し場CD: 納入器具CD: 納入単位: 括りタイプ: 括り単位: 担当部署CD: 担当者CD: サイクル: 納入L/T: 発注回数: 便指定対応_便Ⅰ: 便指定対応_便Ⅱ: 便指定対応_便Ⅲ: 高中流動品_上限率: 協定上限枚数: 3日バラシ_有無: 背番号: グループNO.: 発行サイクル: コメント区分: コメント内容 :主管会社CD: データ区分: 受信日時: 登録日時: 登録者ID

次は、「旧型補給備品の生産制度」について書きます。

トヨタの補給品の仕組み3

トヨタの補給品の供給の仕組みの続きです。

続いて補給のサプライヤーがトヨタに納入するのに納入遅れの未納カウントになる/ならないの判断基準の続きです。

納期不遵守時の責任先判定基準

トヨタとサプライヤーの責任先判定基準の考え方

トヨタ月度内示数なし品番  責任区分③

1)月次内示なし品番(含むSSP品番 類別・83)

・トヨタ A-TOPマスターに設定(サプライヤーからの申請)されているリードタイム通りに納期遵守できたかで判定

2)リードタイム設定のガイドライン

・遵守できるリードタイムを前提とした設定すること

・設定リードタイムがガイドラインを超える場合は、B類の提出と後日現地現物確認される可能性がある。

自然災害 責任区分④

・地震、台風、大雪等により、物流ストップとなった場合

トヨタ調達から、稼働停止(号口・補給品等)案内が発信された場合に加え、大雨・大雪で高速道路が閉鎖され、交通渋滞により時間通りに納入できず、事前に遅延の連絡をした場合、責任区はトヨタになる。

以上が納期不遵守時の責任先判定基準です。サプライヤーのことを考えしっかりと決められてます。