品質宣教師の教えの内容

品質宣教師の教えの内容

目次

1章 ありたい姿

2章 不良品をつく「ら」→ない!

3章 不良品を流さない!

4章 儲ける品質管理とは?

5章 人材育成

まずは、1章 ありたい姿

1)日本で一番大切にしたい会社とは?

2)二宮金次郎に学ぶ。

3)方針管理。

4)会社が強くなるには?

5)現場力とは?

6)顧客(あなた)がなぜ怒る?

7)費用対Qゲート

8)安全対策

品質宣教師活動の進め方

品質宣教師活動の進め方を6つのステップに分けて書きます。

Step1.4S

実施及びチェック項目

・ステップ”0”の躾から、整理、整頓、清掃、清潔
・チェックの仕方は「これ何だ?」
・3定(定品、定置、定量)
・持ち込みは最小限(単位:工場、課、職場)
・先入れ先出し
・工具のチョイ置きはアラーム

Step2.正しい作業

実施及びチェック項目
・ツールを与えているか?(5点セット)
 「技術指示書」「検査規格書」「部品構成表」「作業標準書」「QC工程表」
・使えるツールか?
・教えたか?
・正しく使っているか?
・確認したか?
・異常時の処置は決まっているか?

Step3.ムダ取り

実施及びチェック項目
・TOSの7つのムダを基本に改善する
 運搬、加工、造り過ぎ、手持ち、在庫、不良、動作
・工程内不良ゼロラインづくり

Step4.視える化

実施及びチェック項目
・何が問題か?課題が視える課か?
・4M中心に変化点管理

Step5.リーダーの育成

実施及びチェック項目
・自主活動のリーダーを育成する

Step6.自工程完結

実施及びチェック項目
・八百屋の親父はなぜ元気?

品質宣教師の躾の教え

品質宣教師の躾の教え15ケ条を書きます。

1、お早う!は、すべての挨拶のはじまり。

2、ルールを守る(時間、服装等)。

3、現場は5Sではじまり、5Sで崩れる。

4、区画線は、命線。

5、3定は基本、基本は守れ。(定置・定品・定量)

6、乱れたら整頓、汚れたら清掃。

7、作業の前にまず点検。

8、5Sの乱れは、その場で叱れ。

9、叱り上手に叱られ上手。

10、なぜ乱れたか、なぜ汚れたか、原点を探せ。

11、お金は有限、智恵は無限。

12、3現3即主義。(現場・現実・現物・即時・即座・即応)

13、報告は、1枚ベスト、2枚ベター、3枚無駄。

14、会議は、1Hベスト,2Hベター,3H懐疑.

15、改革は努力、努力は情熱。

品質布教の基本的な考え方

品質布教の基本的な考え方を書きます。

まず、品質宣教師の目指す姿は「顧客満足第一主義」である。

そのためには、不良品の流出防止をしなければならない。

不良品を流出しないためには、不良品を作らない体制、流さない体制にしなければならない。

それには「自工程完結」であるものづくりの現場にしなければならないが、それには現場のリーダーの育成が必要である。

「自工程完結」には”ダントツ品質を目指す” ”レクサス品質である責任を持つ”目線を持つべきであり、それには正しい作業をして現場のムダ排除をすべきである。それを実現する為に、現場を視える化する必要がある。

また、以上を実施する為に4S(整理、整頓、清掃、清潔)をする。この4Sをするにはその前に躾が重要であり、躾が出来ていなければ何をやてもむだである。

宣教師活動の評価

①トップ層のやる気?

②4Sは?

③ツールはあるか? (各種標準類等)

④継続的改善(改訂履歴)

⑤実績は?

品質宣教師活動での布教

品質宣教師活動での布教内容を書いていきます。

(2)言い続けていること(布教)

①製造現場はショールーム。
 現場が美しくわかりやすいとよい製品ができる。
   (チェックゲージが綺麗で、決められた場所にあるといったことである)

②現場の標準類は誰のためのものか、どういうときに使うのかをよく考えて下さい。
 掲示するのかしないのか、掲示する場合の位置・文字の大きさをよく考えよう。  <3m先からでも見える>

③標準類とか記録がすぐ出てこないのは、活用していないと思ってよい。<30sで出す>

④品質保証・管理のために「作業者」「監督者」「管理者」の実施すべきことを箇条書きにしよう。

事例② 基本ルールの遵守

各職制毎に『基本ルール10ヶ条』を制定し、必ず実行すべき役割を明確化し徹底

班長の基本ルール10ヶ条

①整理・整頓の実施と確認    毎日
②製造工程品質記録表の記入 毎日
③作業観察             毎日
④品質チェックの確認       毎日
⑤日常点検表の確認       毎日
⑥作業者登録レベルへのひき上げ毎月
⑦一般作業者のスキルアップ指導毎月
⑧計測機器の点検         毎月
⑨作業者交替表の表示と指導・観察  ⑩異常の確認と組長への報告 毎月

⑤何故何故は現象で遡っていくもの。
 だから問題が起きたらすぐ現場へ行き、 現場と現物を見なければできっこない。さもなくばその現象を再現できるかどうかが勝負だ。

⑥変化点管理とは、変化点を見えるようにすることではなく、 変化点に対してどういう手を打っているか(誰が何を確認しているか) を見えるようにすることである。

⑦工程内不良は%ではなくPPM管理でやろう。

⑧工程内不良は毎日が勝負(赤箱のルールで決まる)

「0」が何日続いているかをライン毎に大きく表示しよう。
   不良1個以上発生    ×
   不良「0」        ○

品質宣教師活動での布教

品質宣教師活動での布教内容を書いていきます。

(1)考え方を変えてもらう

・物で良し悪しを評価するのではなく、
 工程で良し悪しを評価して手が打てるように。

・品質をつくりこむのに設備は条件を設定すれば、
 間違いなくその通り動く。
             (保全&日常点検も大切)
 人は条件(作業手順)を教え込んでも、
 その通りやってくれるかはわからない。
 この、わからないところをわかるようにして(手順書どおり100%)
 いくことが大切。

・「工程内不良低減活動」から「工程内不良『0』活動」へ変えていこう。
  (やることが抜本的にならざるを得ないし、意識の変革がなされる)

事例① 作業者教育の徹底

作業の重要ポイントを明確にしたワンポイント
作業要領書を作業者と一緒につくり、教え込む

品質宣教師について

トヨタのものづくりが強い理由の一つ、トヨタから始まった「品質宣教師」について書きます。

トヨタから品質宣教師による教育が各Tir1サプライヤーに実施され、その教育を受けたTir1サプライヤーからそのサプライヤーの中で品質宣教師を育て、またTir1サプライヤーの中に品質の考えを、取り組みを広げ、さらに2次仕入先へ更に同様に展開していく。

こうやってピラミッド構造を活用して、トヨタの品質の考え方、取り組み方を広げていく活動をする人が「品質宣教師」。

ある、クリスマスイブの昨年十二月二十四日。愛知県北部のトヨタ系部品メーカーの本社工場は、緊張感に包まれていた。

 「不良品が出たらどう対応するのか」「組み付け部品はどう確認しているのか」。矢継ぎ早の質問が工場内に響いた。

 声の主はトヨタ自動車調達本部の山田祐一主査(53)。「品質宣教師」と呼ばれるベテラン社員九人のうちの一人だ。

 トヨタが掲げる経営基本理念、トヨタウェイの一つが、現場、実物を見て実態把握する「現地現物主義」。山田さんがここに何度も足を運ぶのも、「カイゼン」と並ぶトヨタパワーの原動力、「現地現物主義」の実践のためである。

 “トヨタ教”とも言われる「品質第一」の信念を部品メーカーに徹底させるのが、山田さんの仕事だ。生産ラインを点検しながら改善点を指摘し、「一緒になって問題を解決する」(木下光男トヨタ専務)。

 品質宣教師の活動は、トヨタが協力メーカーから部品などを購入する調達部門が二〇〇三年七月に始め、昨秋からは全社に広がった。グループ七十九社での改善点は約五千五百項目にも上る。

 カイゼンも、さらなる改善が続く。

 二〇〇〇年七月、トヨタは設計、生産、調達の部門を超えたグループぐるみの原価低減活動「CCC21」(「二十一世紀に通用するコスト競争力の構築」の意味)をスタートさせた。主要百七十品目の部品コストを三年間で30%削減し、今も「乾いたぞうきんを絞る」取り組みを世界規模で継続中だ。

 「失われた十年」を経て、日本経済が自信を取り戻したきっかけは、自動車産業、とくにトヨタ自動車の傑出した強みが再評価されたことだ。

 製造業のフロントランナーともいうべきトヨタは、品質向上やカイゼンなどの課題をチームワークで不断に克服していく「統合型ものづくりシステム」(藤本隆宏・東大教授)を、日々実践している。

 ただ、中国などが台頭し、従来の努力だけでは、国際的に太刀打ちできないという危機感も強い。

 「トヨタの敵はトヨタ」「打倒トヨタ」を合言葉に二〇〇一年からは、「生産技術革新」にも挑戦している。

 愛知県豊田市の堤工場は、カムリなどの車両を組み立てるライン横にあった部品棚を撤去した。組み付け部品も箱詰めにし、車両と一緒にベルトコンベヤー上を移動させた。作業員の部品の選択ミスを防ぎ、現場監督者の作業チェックもしやすくなったという。

 この方式は、トヨタの他の国内工場や、北米などの海外工場の一部も導入している。複数の車種を一つのラインで組み立てる混流生産でのミス防止に強力な武器になる。

 「客から見えない生産・開発現場の実力、『深層の競争力』が圧倒的に強い。短期では、すごく硬直的な会社に見えるかもしれないが、十年たってみると、確実に時代の先に行っている」と、トヨタの強さの秘密を藤本教授は解き明かす。

 トヨタの張富士夫社長も「頂上(目指すべき会社像)は見えないし、なかなか到達できない。しかし、一歩一歩登る姿勢は続けないといけない」と語る。

 世界最強のトヨタ生産方式を支えているのは、本社と現場一体の「無限のカイゼン」力だ。