AW物語 8速FRA/T編

AWの8速FRオートマチック(以下8速FRA/T)は2006年7月に量産化され4代目レクサスのLS460に搭載されました。

この開発が、また大変でした。

AWレクサスLS430用に2003年7月に6速FRA/Tを市場に出した同年にベンツが2003年に7速FRA/Tを市場に出して、AWおよびトヨタは衝撃を受けた。世界より劣っている...と。

レクサスLS460用に2003年7月 の量産の1ケ月前に「次は8速のFRA/T」との話があり、6速から7速を飛び越え次のレクサスに向け8速の開発を急遽することになった。

しかし、次のレクサスの立ち上がりは3年後の2006年7月であり、今からA/Tの構想図を企画するところからではとても時間が足りない開発でした。

特に制御。またケースも従来はコンバータハウジング+ケース本体+エクステンションと3ピースだったのを、一体ケースにするチャレンジな取り組みでした。そのケースも外製でしたのでサプライヤーの協力を得るのがとても大変でした。

そしてできたものは、卓越したフィーリングのA/Tでインテリジェントの制御が組み込まれている。レクサスLS460は日本カー・オブ・ザ・イヤー並びに世界カー・オブ・ザ・イヤー を受賞した。

この経験を活かし、今では10速のFRA/Tが開発され市場に出されています。

AW物語 Zプロジェクト

 1970年代から普通乗用車が大型から小型自動車に移り変わってきた。それに伴い駆動方式もFRからFFに移り変わり、トヨタ自動車もその波に乗ってきた。

 しかし当時アイシン・ワーナー株式会社はFRのオートマチックトランスミッションし(以下A/T)か生産していなかった。工場はFR A/Tの生産でとてもFFのA/Tを生産するスペースはなかった。

 トヨタ自動車は駆動機構は自動車の重要機能ユニットと捉えトヨタの内製でFF A/T生産すると決定された。 トヨタ自動車は衣浦工場で生産するとなった。

 第一ラインはトヨタ自動車の衣浦工場で立ち上がり、そして第二ラインをアイシン・ワーナーで生産することなった。アイシン・ワーナーはその為にFF A/T生産工場として第二工場を新築しました。

 当時アイシン・ワーナーにとって強烈な衝撃だった。まず、これからの乗用車がFRからFFに変わっていくとなると、FRしか生産していないアイシン・ワーナーの将来はない。そこでFF A/Tの生産をトヨタ自動車になってしまったら、アイシン・ワーナーの生きていく未来はなくなるので、絶対にアイシン・ワーナーもFF A/Tの生産を成し遂げなければならない。そこで絶対に失敗は許されない、後がないプロジェクトとなった。

この後がない意味でアルファベットの最後の文字Zをとって

Zプロジェクト

と命名された。当時のアイシンワーナーの人たちは、「絶対にトヨタ自動車より良いものを作るぞ。」と皆のベクトルが一緒になって取り組んだそうです。