購買マンの心得 その1

購買マンの心得を書きます。

1.身だしなみ
身だしなみは第一印象の良し悪しを決めてしまいます。

1)髪はいつも整髪し、清潔にしておくこと

2)制服、靴、ズボン等は清潔なものを着用していること

3)服装は勤務にふさわしく華美でないこと

4)手足の爪は短く、清潔に保つこと

5)髭は常に剃っておくこと

6)ネクタイは常に締め、緩みや乱れに注意すること
  ただし、最近はノータイが奨励されている。

2.商談時の心得
仕入先から買わせていただいていることを忘れてはいけません
仕入先とは対等が基本です(上でも下でもない)

1)会社の代表であることを忘れない

2)全ての仕入先に公平に対応する

3)会社の力を個人の力と勘違いしない

4)会社の機密を漏らさない

5)会社の悪口を言わない

6)上司、同僚、部下の悪口を言わない

7)みだらな流行語を使わない

8)応接時は足を組んだり後ろにもたれたりしない
常に自分の姿勢を認識すること

9)競合メーカーの話をするときは悪口にならないこと

10)仕入先と話す時は丁寧な言葉つかいをすること
(傲慢な態度は慎むこと)

11)仕入先は「さん」づけで呼ぶこと

12)相手の話の腰を折らずに、よく聞くこと

13)相手との会話の時、相手の顔(特に目)を見て話すこと

14)貧乏ゆすりをしないこと

15)一身上のことを聞かない

16)相手の前で、上司、同僚、部下の「さん」づけはしないこと

17)お願いをする場合には、慎重に言葉を選ぶ

買手ー売手のQC的10原則

購買の取り組みについてQC的10原則を記述します。

第一原則
買手と売手は相手の品質管理を相互に理解し協力してこれを実施する責任がある

第二原則
買手と売手はおのおのの自主性を持ち、かつ相互に相手の自主性を尊重しなければならない

第三原則
買手は売手が何を作ったら良いかがはっきりわかる様な要求を売手に提供する責任がある

第四原則
買手と売手は取り引き開始の時に、質・量・価格・納期などについて合理的な契約を結んでおかなければならない

第五原則
売手は品質が買手を使用上満足させるものであることを保証する責任がある。また、それに必要な客観的なデータを必要に応じて提供する責任がある

第六原則
買手と売手は両者が満足するような評価方法を決めておかなければならない

第七原則
買手と売手は両者間のいろいろなトラブルを解決する方法・手順を契約の時に決めておかなければならない

第八原則
買手と売手は相互に相手の立場に立って両者が品質管理を実施するのに必要な情報を交換しなければならない

第九原則
買手と売手は常に両者の関係が円滑にいくように発注・生産・在庫計画・事務処理・組織などを十分に管理しなければならない

第十原則
買手と売手は取り引きに際し、常に最終消費者の利益を十分に考えなければならない

購買担当の聖典 その2

購買の取り組みについてイナシオ・ロペスの教えの続きです。

5.戦術ー交渉

・最終目標としては長期契約を結べ

・すぐ長期契約の条件をつくれ。詳細は交渉するな

・治工具への投資や開発費などの負担は絶対に受けないこと

・一部のコストは管理できるが、残りは管理できないような提案は一切反対せよ(例えば材料)

・価格の大幅低減に向けてすべての行動を集中せよ

6.戦術ー交渉時の注意事項

・サプライヤーの経営トップを巻き込め

・サプライヤーの情報をその競争相手から入手せよ。(間接的にあるいは必要に迫られた時は直接に嘘を言うことも心づもりしておくこと)
そして、相手が情報を出しやすいように助け船を出してやること

・強く出よ(サプライヤーに揺さぶりを掛けろ)
多くの約束をさせよ
多くの情報提供を要求せよ、それもいつも緊急で

・サプライヤーとの面談期間は決めても、決定を遅らせることでサプライヤーの不安を助長せよ

7.成果

・GMヨーロッパの1990年度利益の3分の2は部品の値下げで生み出した

・GM部品内製をふるいに掛けて採算の合わないものは淘汰せよ

・長期契約で固定された著しく低い価格でサプライヤーとの契約が達成された
例えば、OリングのメーカーGOETZE社は18~36%も値下げを行った
(注:GOETZE社は後に経営不振に陥り他社に吸収された)

購買担当の聖典 その1

購買の取り組みについてイナシオ・ロペスの教えを書きます。

イナシオ・ロペスは元GMの購買担当副社長です。

1.戦略

・コストの即削減を目指せ

・長期的コスト削減を目指せ

・メインサプライヤーを維持せよ

・各エンジンには1つの部品サプライヤーを選べ

・可能な限りシステムで購入を図れ
よいサプライヤーはだめなサプライヤーを放逐する

・サプライヤーの忠誠心を維持せよ

2.戦術ー合意

・価格の約束は短期間とせよ
最後まで関心を装え
(常に緊急を装いながら、実際には必要なだけ時間を掛けよ)

・交渉時間を引き延ばせ

・サプライヤーが全く興味を無くす直前になってサインをせよ

・更に値引きを引き出すために圧力をかけよ

3.戦術ー調査

・購買業務に精通し、数字に堪能な高度に専門化された熟練の購買担当者を養成せよ

・部品を一つずつ取り上げ、それぞれの部品について詳細なコスト低減作戦を実施せよ

・各部品のサプライヤーを全世界的に調査せよ

・その部分の引き合いを全世界のサプライヤーにばらまけ

・短期的、長期的価格目標を設定せよ
非常に低めからいけ

・契約相手となるサプライヤーについては詳細まで知っておくこと

4.戦術ー基本テーマ

・敵が誰であるかということを明確にせよ
サプライヤーの敵はGMではなく、日本であることをはっきりとさせよ

・サプライヤーとGMとの力関係は同じであることを認識せよ

・売り手の気持ちの動きを観察せよ
例えば、サプライヤーとの面談時において

・相手に(大げさに)商売の拡大を持ち掛け、サプライヤーが自分自身を大物と思わせるように仕向けよ。但し、相手が行きすぎたら一発かましてやれ

・建設的手段を使い、可能な限り速やかに契約候補のサプライヤーとの仕事を始めよ
例えば、価格改善などの建設的手段を使って

工場でよく使うTPS用語解説2

トヨタ生産方式で特に工場でよく使う用語を抜粋し解説の続きです。

(5) TPSの時間区分け

TPSで使う時間区分けは以下です

(6) タクトタイムと実行タクトタイム

① タクトタイムとは

日当り必要数を定時の操業時間で生産するために1個又は1台分の造るべき時間をいう

タクトタイム=定時の操業時間÷日当り必要数
可動率は100%として算出する

② 実行タクトタイムとは

日当り必要数を定時で生産できない時、残業を含んで生産する場合の1個又は1台分の造るべき時間をいう

実行タクトタイム=残業を含んだ操業時間÷日当り必要数

(7) 稼働率と可動(ベキ)率 

① 稼働率とは

後工程に必要な生産量を加工するのに、その設備能力でフルに操業した時の定時能力に対する需要の割合をいい、売れ行きにより決まるもの

② 可動率とは

設備を運転したい時(かんばんが来た時)に、正常に動いてくれる状態の確率であり、100%が理想である

可動率=可動時間÷稼働時間×100%

(8) 標準手持ちとバッファ

① 標準手持ち(何時もあるもので変化しない)とは、標準作業票の順序で作業をしていく場合、繰り返し同じ手順

・動作で作業ができるように、工程内に持つ最小限の仕掛け品をいう

② バッファ(ラインの状態により変動)とは

工程と工程を結ぶ場合、間に何もないと互いの停止が影響しあって、可動率を大きく悪化させる場合があります。
このような場合に若干の可動のバラツキを吸収させるため、間に持つ仕掛け品をバッファといいます。
(バッファは理由なく持つとラインの悪さを隠すので注意)

(9) 編成効率と正味作業率

① 編成効率

タクトタイム(サイクルタイム)で作業編成したトータル工数
に対するトータルの正味工数の割合をいいます

② 正味作業率

正味工数の中味で付加価値を高める作業の割合をいいます

(10) 頻発停止(以前はチョコ停と言っていた)

設備異常で頻繁に停止するが、簡単に復帰できる停止を
頻発停止と呼びます。
以前はチョコ停と呼んでいましたが、繰返し同じ項目で停止
することが多いことから、TPS用語では状態を表現するのに
近い言葉ということで頻発停止と呼ぶようになりました。

(11) 非常手持ち

設備故障、品質トラブル等の長時間の異常停止に対応するため持つ在庫を非常手持ちと言います。

以上が、トヨタ生産方式で特に工場でよく使う用語を抜粋し解説です。

工場でよく使うTPS用語解説1

トヨタ生産方式で特に工場でよく使う用語を抜粋し解説をします。

(1) AB制御

程間あるいは工程内の標準手持ち量が常に一定量に保持されるように、各搬送機の動いてもよい条件及び工程から製品を搬出できる条件を、2ヶ所(A点・B点)の製品の有無により制御する仕組みをいう

① コンベアが動いても良い条件→A点製品有り、B点製品無し

② 工程から標準手持ちを搬出しても良い条件→A点製品有り B点製品無し

(2) 自主研で使う工数

① 正味工数(正味作業)
物を造るのに必要な繰り返し作業で手作業と歩行時間のことをいう

② 付帯工数(付帯作業)
何回かに1回起こる作業で、仕事をするのに必要な作業

③ 必要工数(正味工数+付帯工数)
正味工数と付帯工数を合計した工数

④ 実績工数
製品を造るのに要した時間を出来た数で割った値

(3) 1人工追求
① 人工とは
人工とは工数を基にして人の1日分(定時)の仕事量を 表した値をいう
人工=工数÷タクトタイム

② 必要人工と実績人工
・必要人工=必要工数÷タクトタイム ・実績人工=実績工数÷タクトタイム

③ 1人工追求
実績人工を必要人工に近づける活動

(4) 主な記号用語

① M/M比 ⇒  エムエム比(マン・マシン比)
ラインに何人投入しても手待ちがでないかを見る指数
M/M比=ΣCT÷ネックMCT

② ΣCT  ⇒  シグマシーティー
ライン全体の正味工数合計のことで手待ちは除く

③ CT  ⇒  シーティー(サイクルタイム)
1サイクルに掛かる時間で手待ちがある場合は含む

④ MCT  ⇒  エムシーティー(マシンサイクルタイム)
脱着と設備の1サイクル加工時間

⑤ MT  ⇒  エムティー(マシンタイム)
設備だけの1サイクル加工時