ものづくり改革 一括生産化

次の補給のものづくり改革は「一括生産化」である。

この「一括生産」の仕組みはトヨタが永久残置数、つまり残りの補給品が生産数を設定し生産することである。ただし、一括生産した製品の保管はサプライヤーで保管の物と、トヨタで買い上げて保管する物が分かれる。

「トヨタ補給一括生産について3」でトヨタ保管とサプライヤー保管を明記してます。

一括生産できると、一括生産後はその品番を追加で生産する必要がないので型・治具や専用の部品および設備を廃棄することが出来る、これにより在庫保管のスペースが削減できる。

しかし、一見良い仕組みのようだが、問題がある。問題は仕入先保管である。

例えば、構成品が10点ある製品で、その構成品の1点でも異なればそれぞれの完成品で保管が必要となる、更に部品で在庫保管するよりASSY品の完成在庫で保管するとスペースを多くとる必要がある。

したがって、治具は廃棄してスペース確保できても完成品で在庫を保管するスペースが逆に多くかかる必要がある場合がある。なお生産した補給品は当然全て良品であること。もし不良ならば再生産しなければならずその時には既に型。治具はなく直ぐに生産はできず大幅な遅延となり大問題となる。恐ろしい。

当然、経年劣化する製品は一括生産することは困難である。一括生産しそれを数年後納入するときに劣化して不良品となっていると問題である。

もう一つ方法がある。仕入先で保管する一括生産数が設定されたならば、構成部品だけその数を用意し、実際に出荷するときにASSYして出荷すれば、治具の保管スペースは減らないが、保管スペースは構成部品のスペースだけで良い。ただし不良を計画以上出したら構成品の追加手配が必要となる。

一括生産数が設定された時に、既にそれ以上の構成部品が社内に在庫あるとデットストックとなり廃棄処分となる。逆に足らなければ、不足分のみ追加発注すれば良い。ただし、加工不良数を考慮する必要がある。

一括生産数が設定されたら、直ぐに生産するか出荷直前に生産するかその職場の事情毎で決めるべきである。

ものづくり改革 打ち切り補給品の整理

次の補給のものづくり改革は「打ち切り補給品の整理」である。

補給の改善を取り組みにはまずは、補給が生きているか死んでいるか、つまり打ち切り品か打ち切りになっていないか層別することがまずはスタートである。

しかし、これが難しい。2年ほど前からトヨタから今年の打ち切り品リストが1次仕入先に発信されるようになった。またこの情報にはまだ生きている補給品=打ち切り前の補給品の品番が乗っていて大変助かっている。

しかし、既に打ち切られた補給品番は乗っていない。つまり、当情報に乗っていない品番は打ち切られたと判断できるが、当社が取り扱っている品番が全てトヨタ向けなら良いが、トヨタ向け以外の補給品も取り扱っており、当情報に取っていないので打ち切られていると判断できない。

不明な補給品番が多いほど調べるので、多くなる前に今のうちに確認するのが良い。また2次仕入先の場合、1次仕入先がトヨタに納入している品番は明確になるが、1次仕入先がASSYしその構成品を2次仕入先へ発注している場合は、その1次仕入先がしっかりと打ち切り品番を管理していないと2次仕入先に伝えることができない。またここでもトヨタ以外がある場合はトヨタ以外も含め1次仕入先が整理しないと成り立たない。

1次仕入先の役割は大である。

次は、一括生産化について述べます。

ものづくり改革 補給の二個一化

次の補給のものづくり改革は「治具の二個一化」である。

「治具の二個一化」の内容を以下説明します。

二個一”は日本語として使われていますが、今回の補給のものづくり改革の当社の具体的な例で説明します。

製品を造るのに組立工程で位置保証する為に、組立治具が必要である。

組付け製品で構成品が10部品あれば、10部品の一つでも形状が異なればそれぞれのASSY品の組立治具が必要となりその治具の点数は膨大な点数となります。

逆に構成品10点のうち1点でも異なれば専用の治具を用意していたが、1点の違いだけなら、その部分だけ取り換えれば、組立治具の本体は共有できる。

この考えを拡張すれば、三個一化、さらには四個一化もでき、当社の製品では七個一化までできる見通しができました。

これにより、組立治具の保管スペースが半分以下になり大幅なスペース削減になりました。

しかしこれを進めるのは大変な壁がありました。

まず、保管している組立治具が膨大にあり、その治具がまた使われているのか、使われるのかを棚卸しする必要があります。すでに打ち切りされた補給品もあり、元々治具のデーターベースを作成していなかったので、このデーターベースの作成からしなければなりません。他の2次仕入先では、それを調べるのに大変な工数がかかるので、棚卸し諦めてしまっています。すると今後無限大に治具が増大する結果になります。今のうちに整理すべきです。

ものづくり改革 補給の工法置換

量産時は月に数千個/月に生産していたが、補給となったら月に数個、または年に数個となったら、その数個を造る為に段取り工数を少なくする方法で生産すべきである。

月に数個なら1年分をまとめて生産したいが、補給は全く需要数を予測できない。なぜならば補給の需要は、車の故障や事故などによる修繕で必要となり、その予測はできない。量産の場合は、営業が販売計画を立てそれに基づき生産計画を立てるが、補給は故障や事故が発生してから需要が発生する為である。全く読めない。

量産では、段取り工数がかかっても1個当たりの生産工数が少なくなればトータル良いが、旧型補給となった場合も同じ作り方すると、月に数個造る為に段取り時間が多くなってしまう。また専用の設備や型・治具が必要となりそれらの保管場所が膨大になってくる。

そのため、製品機能は確保し量産時と工法を変えて生産することを考える。

工法置換の例としては、

当社が取り組んでいる工法置換は、10年以上前に旧型補給となった部品はプロジェクション溶接だがそれ以降の製品はスポット溶接に切り替わってきた。機能としては車両に組付けられるまでの仮付けなので、旧型補給もプロジェクションからスポット溶接に切り替え。これによるプロジェクションの設備・治具が不要となる。

もう一つの工法置換は、パイプへの飛び石による傷対策として樹脂のプロテクターで包んでいるが、加熱して収縮させて包んでいる。その加熱器は大型であるが、加熱器をハンディの小型ガンで加熱し、大型の加熱器は不要となる。

工法置換となると工程変更の手続きが必要となる。この工程変更の手続きが結構めんどくさい。顧客によっては6ケ月前に申請が必要であり、4M変化点管理の書類と工程変更前後の工程能力データの提出が必要であり手間がかかり申請に躊躇してしまう。

補給のものづくり改革2

トヨタが主導で2次仕入先に補給部品に対するものづくり改革の取り組みの続きです。

トヨタが仕入先の補給部品に対して改善を取り組んだのは

世耕プランの補給品の型・治具についてが大きなトリガーであるが、仕入先においても取り組むべき重要な事項である。

車両メーカーがユーザーのニーズに合わせ車の種類を多く開発して販売してきた。その車の量産が終わり旧型として補給となるがそれが、旧型になってから21年以上供給義務をサプライヤーに課せられている。

量産終了になって21年も!

トヨタの車を長く使ってもらうユーザーを大切にしていることであるが、それさにしても長い。そのため、その補給部品を造る為の型や治具および専用の設備を保管しなければならなく、保管スペースの確保によりサプライヤーのコスト負担になっている。

なお、補給部品は量産から補給に切り替わった時に補給価格として設定されるが、数が少ないわりに価格が低い。ある2次仕入先から1次仕入先への補給部品の売価は、量産価格の1.2倍であるが、月に数個しか流れない物が1.2倍は安すぎる。

トヨタは日本での車の生産台数は頭打ちとしおり、補給部品は増える一方である。さらにトヨタから1次仕入先への補給の連絡はされるが、2次仕入先への連絡はうまく伝わっておらず、今2次仕入先で保管している補給部品および型・治具が旧型補給打ち切りかわからない状況になっている。3次仕入先では更にわからない状況であり、とりあえず全で保管となっている。

恐れしい状況である。補給部品供給を継続する為、赤字が増大することになり、最近では補給部品の供給を撤退するサプライヤーが出てきている。

補給のものづくり改革1

トヨタが主導で2次仕入先にものづくり改革を取り組んでいます。今回はそのなかでも補給部品に対するものづくり改革の取り組みを書きます。

トヨタが補給品のものづくり改革に取り組んだ背景は

世耕プランの補給品の型・治具についてである。

これは車両メーカーがサプライヤーに対し補給品の金型・治具を期限なく永久に無償で保管させており、そのためサプライヤーの財務が悪化となっているので、その対応についてのプランである。

今までは自主研究会(略 自主研)としてトヨタが1次仕入先へ指導をしていたが、今回は2次仕入先へものづくり改革として、1次仕入先と含め2次仕入先を指導している。そして1次仕入先は2次仕入先の顧客だけではなく、トヨタの他の1次仕入先が参加している。例えば、デンソー、アイシン精機、豊田合成などである。

その対応としてトヨタもどう取り組むか試行錯誤しており、その取り組みの具体事項を以下列記します。

1)製作の工法置換

2)型・治具の二個一化

3)打ち切り補給品の整理

4)一括生産化

5)寿命延長

6)3点分割化

7)下振れ対策

補給の取り組みをしなけれならない今の状況を説明します。

トヨタの補給品の仕組み6

トヨタの補給部品の仕組み6です。

トヨタから補給緊急追加依頼が来て、「回答納期」を回答するように要求が来ます。今まで、補給部品を納入できる納期を回答するものだと思い納入日を回答していましたが、実は最初の回答は、納期の回答できる日を回答するのみでした。そして、その回答日が来たら、納入できる日を回答するしくみです。

さらに追加オーダーの場合は、内示の120%超えた場合の未納は未納カウントにならないので、無理な場合は希望納期に納入できないと回答すればよい。

このようにトヨタから要望が出るが、それをいつまで対応するかは仕入先が決めることが出来るようになっている。しかし、一度登録してしまうと、変更が難しいのでしっかり吟味して回答することが必要である。

しかし、出来るだけ要望に答えたいというのが、気持ちとしてある。

トヨタの、A-TOPの入力画面 例である。

逆に下振れも問題である。内示に対し、実際のオーダーが少なかった場合であるが、その場合、下請け法対象仕入先については、申し入れれば全て内示数は買い取ってもらえる。しかしトヨタと直接取引している下請け法対象仕入先はまれである。ほとんどが下請け法対象外である。したがって、下振れしてもトヨタは引き取る義務はない。なお内示ブレがひどい場合は、各拠点へ直接相談すれば、個別に引き取ってくれるらしい。相談相手によるが・・・。

次に、部品補給の改善を書きます。

トヨタ補給一括生産について9

引き続きトヨタの旧型補給部品の一括生産について書きます。

5-2.再生産(一括生産後 追加生産が必要な時)

1)仕入先へ再生産を依頼するケース
①一括生産実施後の補給部品で在庫切れの恐れがある場合、再必要数を検討した上で、 トヨタ自動車は仕入先へ再生産を依頼する。

2)再生産リードタイム及び費用負担
①再生産リードタイム
再生産リードタイムはできる限り最短でお願いする。(概ね3ヶ月以内とし、その都度トヨタと仕入先で相談)
②費用負担
再生産が発生した場合の費用は、トヨタが負担する。(再生産発生要因が仕入先にある場合を除く)

3)処理フロー

再生産・・・・一括生産後の部品
(一括生産実施後に在庫切れの恐れがある場合)