同一労働同一賃金について その5

「同一労働同一賃金」への対応策の続きです。

H社事件 各手当の判断理由

  • 住宅手当

・正社員は全国転勤前提のため、住宅費補助の必要性あり

・契約社員は全国転勤ないため、住宅費補助の必要性なし

     → 不合理ではない(払う必要なし)

  • 皆勤手当

  ・手当の目的(勤続奨励による出勤者確保)は無期・有期で事情が異ならない

     → 不合理である(払う必要あり)

  • 無事故手当

  ・安全運転や事故防止の必要性は無期・有期の間に相違はない

     → 不合理である(払う必要あり)

  • 作業手当

   ・特定の作業を行う対価としての手当。職務内容等が無期・有期間で異ならないので手当の必要性は両者にあり

     → 不合理である(払う必要あり)

  • 給食手当

  ・食事に係る費用補助が目的。勤務時間中に食事を取ることの必要性は無期・有期間で異ならない

    → 不合理である(払う必要あり)

  • 通勤手当

   ・通勤に要する費用補填が目的。無期・有期の間に通勤に関する費用に相違はない

    → 不合理である(払う必要あり)

次のものについては払わなければいけないという最高裁判断がありました。

皆勤手当、無事故手当、作業手当、休職手当、通勤手当こういったものは払わなければいけないという判断が出ています。

同一労働同一賃金について その4

「同一労働同一賃金」への対応策の続きです。

判決最高裁の判決です。それはですねH運送会社とN運送会社の例ですが、ともに運転手で同一労働というのは分かりやすい。

H運送会社の場合は現役の人で、N運送会社の場合は継続雇用の再雇用者という違いがあります。

同一労働同一賃金裁判の判決は?

H運送会社については最高裁の判断としては、住宅手当は非正規の人に払わなくても良い。その理由は、正社員は全国転勤を前提にしているが、契約社員はそういう前提じゃない。

ということは逆にいうならば一カ所しか事業者がないという会社の場合は正社員転勤の前提がないので、その場合は正社員も住宅の非正規社員も住宅手当を払えという判断と考えられる。

  • 職務の内容等

  ・業務の内容および業務の責任の程度に相違なし

  ・契約社員には配転・出向の定めなし、就業場所変更も予定なし  

  ・契約社員には等級制度なし

  • 正社員と同一の権利と有することの主張について

   → 法の効力で正社員の労働条件と同一になるものと解することはできない

  • 各手当についての相違が、職務内容等を考慮して不合理と認めら

  れるか否かを検討すべきである。

同一労働同一賃金について その3

「同一労働同一賃金」への対応策の続きです。

説明義務について詳しく書きます。この説明義務というところを強調して上げたいのは努力義務なく説明する義務があるということで、例えば正社員には食事手当が出とるけどパートには食事手当が出てないと何故なんだという質問を受けたらそれに対して書面で回答する義務が起きるということです。これは非常に大きなポイントだと思います。

  • 説明すべき事項

   ・通常の労働者との間の待遇の相違の内容および理由

   ・均等均衡待遇、賃金および福利厚生等の決定にあたり考慮した事項など

                      ↓

       短時間・有期雇用労働者からの求めが合った場合に説明義務

  • 説明の例

   ・役職手当 有期雇用労働者は役職就任は予定されていないので、役割に対しての対価である役職手当は支給しない

   ・住宅手当 有期雇用労働者は転勤・異動等が予定されていないので、住宅費補助の主旨である住宅手当は支給しない(正社員も転勤が予定されていない場合、当説明は適用できない)

   ・通勤手当 有期雇用契約者は限定された通勤圏内からの採用、一方で通常の労働者の採用にあたっては、通勤距離に制限はない。従って、通勤交通費補助としての通勤手当の上限額に相違を設けている。

ここで「均等待遇」「均衡待遇」の均等待遇とは何かと言いますと、同じ働き方をしている場合、同じ仕事で同じ勤務時間だという場合、その場合は給与などの労働条件を同じにすることを意味します。

均衡待遇働き方が違う場合、その違いに応じてバランスを考えた処遇をすることをいます。

例えば5時間勤務である場合5/8というようになるのが均衡待遇です。

【均等待遇】

同じ働き方をしている場合、処遇(賃金などの労働条件)を同じにすることを意味します。

【均衡待遇】

働き方が違う場合、その違いに応じてバランスを考えた処遇を決定することを意味します。

同一労働同一賃金について その2

「同一労働同一賃金」への対応策の続きです。

改正法の要点部分の概要

  • 短時間・有期雇用社員と正社員との間の不合理な待遇の相違の禁止(第8条)

   → 個々の待遇ごとにその性質や目的に照らして判断されるべき

  • 正社員と同視される短時間・有期雇用社員について、賃金等について差別的取り扱いの禁止(均等待遇:第9条)
  • 正社員と同視される者以外の短時間・有期雇用社員の賃金決定にあたっての均衡

  配慮努力(第10条)

  • 短時間・有期雇用社員の待遇に関する説明義務(第14条)

同一労働同一賃金に関する法律の話で、その中でポイントを上げます。

・短時間有期雇用社員と正社員との間の不合理な待遇の相違を禁止する。

・不合理な待遇の相違つまり差別的な扱いを禁止する。

・正社員と同視される同じように見える短時間有期雇用社員について賃金についての差別的取扱いの禁止。

・均等待遇、正社員と同視されるもの以外の短時間有期雇用社員の賃金決定にあたっての均衡待遇と均等待遇ということが出てきます。

再雇用の嘱託の賃金相場です。

5年以上勤務で、60歳以上も継続雇用されている嘱託の賃金相場である。残業や通勤手当が含まれない所定内賃金。平成28年度の愛知県版。管理職は含まれていない。

中位の人で31万8千円(59歳)→22万9千円(61歳)になっており72%である。

・短時間有期雇用社員の待遇に関する説明義務。

同一労働同一賃金について その1

「同一労働同一賃金」への対応策について書きます。

労働組合とか従業員側からその施行を待たずに色々な要求が出てくることは当然予想されます。

また最高裁での判決も平成30年の6月には出ており、方向がはっきりしておりますので対応が迫られるところであります。

まずは最初に法律論からです。

法律論は法改正という視点と、最高裁の判決という視点と、もう一つは役所が出したガイドラインという視点の三つがあります。

同一労働同一賃金」の法改正のアウトライン

① 労働契約法とパートタイム労働法の双方に規定されている「正社員との不合理な待遇の禁止」をパートタイム労働法へ統合(労働契約法の不合理禁止規定を廃止)

② パートタイム労働法の対象を短時間労働者に加え、新たに有期雇用労働者へ適用拡大

  (法の正式題名を「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」へ改正)

→改正法を基に、指針や通達等で具体的運用を明示すると想定される

不合理な労働条件の禁止(改正前労働契約法)

労働契約法第20条(平成30年7月時点)

「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下、「職務の内容」という)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものではあってはならない。

不合理な待遇の禁止(改正パート労働者法)

「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法」第8条の概要

(平成31年改正) 「事業主はその雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれ  ぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者との待遇との間において、当該短時  間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の  程度(以下、「職務の内容」という)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その  他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

奥田 碩の講演会 その19まとめ

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その19。まとめです。

この講演の内容はとても良かったと思います。講演をしていただいた企業の従業員にとっても。またその従業員でなく一般市民として聴いても良かった内容だと思います。

まず経済産業の流れとしてアルビン・トフラーの「第三の波」を紹介して、

第一の波:農業革命、第二の波:産業革命、第三の波:情報革命を上げ今後の狙いを最初に明示しておいて、

次に日本がこのままではまずく、改革を断行しなければならない。その改革の課題を3つ挙げている。

第1は社会の急速な変化の中で、失われつつある日本人の自信あるいや活力を回復。

第2は高度情報化社会への対応。

第3は国際化への対応。

その3つの課題を解決するのに民間企業の役割が大きい。役人に任しておけない。我々が頑張るんだ!

我々グループが一致団結して他の連合に負けずに取り組みが必要である。

北米市場、欧州市場、アジア市場、日本国内市場の4極に分け分析し攻めどころを分けている。

課題を解決するために取り組みを4つ挙げ居ている。

  • 技術革新 ②コスト競争力を軸とした企業体質の強化 ③グローバルマネージメントの改革 ④グループの事業構造の再構築
  • 技術革新では、地球環境問題を解決する低燃費のハイブリッドなどの技術革新をしてデファクトスタンダードとなる。及び情報化へ対応しITSの推進。いまでは自動運転といった方が分かり易いと思います。
  • コスト競争力を軸とした企業体質の強化では、モノづくりでは永遠のテーマである。

開発期間の短縮、あるいはプラットフォームの総合、部品の共通化モジュール化、システム化の推進さらには研究開発費、設備投資等の固定費の削減をする。

  • グローバルマネージメントの改革では、日米欧アジアの4極とグローバル本社といった構想のもとに、現地で対応できるものは現地に任せてグローバル本社は全体最適という観点から地域別、事業別あるいは車種別をスルーに管理して経営資源の有効活用する。
  • グループの事業構造の再構築では、技術・品質・生産・販売・流通あらゆる分野で他の追随を許さない、コアコンピタンスの確立ことができる企業構造に転換していかなければならない。そのためにグループの事業構造の最適化に向けて取り組む必要があります。

そのグループの事業構造の最適化の考えが現在も進められている。記憶に新しい所では、豊田工機と光洋精工の合併のJTEKTやアイシン精機とアイシンAWの統合。である。

最後に豊田綱領を改めて確認し、成功の囚人にはなるな。変えないことが一番悪い。

改めて身に染みる内容でした。     おしまい。

奥田 碩の講演会 その18

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その18。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

色々と申し上げましたが最後に申し上げたいことは、私どもトヨタグループが創業以来企業行動の原点として参りました経営理念は、しっかりと今後も受け継ぎまして実践していく必要があるとそういうことであります。

ご存知のように豊田綱領では企業の役割として

  • 一、上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし
  • 一、研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし
  • 一、華美を戒め、質実剛健たるべし
  • 一、温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし
  • 一、神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし

「上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし」とこういうふうになっております。つまり企業は社会の公器でありまして目先の利益を追求するだけでは企業の存在意義はない。社会への貢献を果たしてこそ存在意義がある。とこういう風に明確に取り組んでおります。

またものづくりについては「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」

常に研究に努めることによりまして創造性を磨き時流に先駆けたものづくりに努めるということの重要性を強調しております。

企業として社会に貢献するということは、まずお客様第一主義、現地現物主義に徹しまして常に良品廉価な商品をお客様に提供して、また従業員には雇用機会と生きがい、あるいは働きがい。こういう職場のある職場を提供して株主に対しては適正、配当払い。また国にはしっかりと税金を払う。そして良き企業市民として地域社会とともに発展したことによりまして豊かな社会づくりに貢献していくことができるというわけであります。

私どもトヨタグループを今日の発展に導かれた諸先輩方は、創業以来この理念を企業活動の基本として厳しい環境の中で果敢に挑戦してその都度新しい道を切り開いてこられました。

現在のグローバル化の時代においては私ども一人ひとりが地球規模でものを考え行動していかなくてはならない時代であります。

96年の1月に私どもが将来目指すべき方向として掲げた2005年ビジョンにおいても社会への貢献度が、トヨタの成長の糧になる。とこういうこれまでの基本理念を踏襲しております。

私はこの理念を守りまして、いく他の諸先輩が厳しい環境に挑戦され大胆な発想と決断によって実践された時流に先駆けたものづくりの精神をしっかりと受け継ぎ、グローバルにこれを具現化していくということによりましてトヨタはグローバル企業としての確固としたアイデンティティを確立して成長を果たしてそれを確実に後輩たちに引き継いでいく。とそういうことになると思います。

それが私共の使命であるとこういうふうに考えております。

今私どもはこういったグローバル経営のほんの入り口に差し掛かっているに過ぎず、よく言われるヒト・モノ・カネそして全体の経営という面で従来の延長戦ではとても越えられない高いハードルがこれからいくつもを待ち構えたわけでございました。

改革の手を片時も緩めるわけにはいかないというわけであります。

私は社内に対して常に成功の囚人にはなるな。変えないことが一番悪い。改革するためには今までの仕組みをすべて否定して、それをゼロベースから発想をしてかかれ。という風に言ってまいりました。

奥田 碩の講演会 その17

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その17。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

四つ目はグループ総合力の強化に向けたグループの事業構造の再構築ということであります。

先ほども触れましたように国際的な合従連合は進みまして、将来は全世界で4,5社しか生き残れない。

こういう風に予想される超競争はまさにグループ対グループの競争になると思います。

言葉を変えて申し上げますと、トヨタグループの固い結束力と総合力がますます問われるわけでありまして、技術・品質・生産・販売・流通こういったあらゆる分野で他社にマネのできない革新的な競争力を確立していると共に高い付加価値を生み出し確実に収益に結び付けることができる。そういうことができる企業構造に転換していかなければならないわけである。

そのためにグループの事業構造の最適化に向けて取り組む必要があります。

まずグループ各社の皆さん方にはそれぞれが他の追随を許さない、コアコンピタンスの確立とコスト競争力の強化に取り組んでいたということが必要であります。

特にこの会社には現在世界ナンバーワンの〇〇〇機を始めから△△△△△分野でも世界の技術革新をリードして私どもの次世代モビリティ開発のデファクトスタンダード獲得に向けて、その先兵の役割を果たしていただいていただきたい。このようにお願いしたいと思います。

今後の自動車産業の競争力を左右する環境・安全・情報などの重要技術開発分野でのデファクトスタンダード獲得競争とモジュール化、システム化こういったものの推進をより一層のコスト競争力の強化を図っていくために現在、技術・調達分野でトヨタグループで協業体制を進めておりますが、今後はさらにこれを強化してトヨタ車の革新的な性能向上、あるいは開発の効率化、低コスト化の実現に向けてグループ一丸となって進めていく必要がある。とこのように考えております。

生産につきましても、もちろんコストと効率化。あるいは需要変動へのフレキシブルな対応などの観点からボディメーカーと私どもの内製工場を含めてグループ全体として最もベストな体勢を再構築していく必要があると考えております。

またダイハツさん、日野さんとの連携を強化して最終的に国内関係シアで40%以上という目標達成に向けて頑張っていきたい。というふうに考えております。

繰り返しになりますが、これからはグループ対グループの競争の時代でありましてグループ一体となって結束力を高めて総合力の強化を図っていかなくてはならない。そういう時代であります。

私どもが世界市場のメジャープレイヤーを目指すという目標に向けて4点お話しいたしましたが、申し上げるまでもなく取り組みにあたってはスピードということが最も重要なことであります。

論より実行すること。熟慮することよりもむしろ拙速。そして場合によっては走りながら考えて判断し、また速やかに実行に移していくと。そういうことが必要であります。

これを私共経営者はもとより従業員一人一人が日々の業務において実践すること。

そういうことが何より重要である。とそういう風に思っております。

奥田 碩の講演会 その16

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その16。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

三つめはグローバルマネージメントの改革ということであります。

先ほども触れましたように今や販売・生産そして収益の上とは大きく海外に依存している。とそういう状況になっておりまして、販売目標の達成や収益確保という面ではマネージメントもグローバルに全体最適を目指した意思決定がスピーディーになされるということは不可欠あります。

迅速な意思決定にはグローバル組織の責任と権限が明確でなくてはならないというわけであります。

現在日米欧とアジアとこの4極とグローバル本社といった構想のもとに、現地で対応できるものは可能な限り現地に任せてグローバル本社は全体最適という観点から地域別、事業別あるいは車種別をスルーに管理して経営資源の有効活用。

こういった側面から即座に意思決定が出せる体制の構築に向けての取り組みがトヨタでは進んでおります。

収益任責任などは曖昧な現在の機能別組織を見直して、責任の所在が明確でしっかりと成果が評価できる、わかりやすいマネージメント単位の組織に変革していく必要があるからであります。

マネージメントの改革は単に私ども内部のオペレーションの実行だけでいくという面だけが重要なのではなく、私共の資産効率、投資効率を向上させて株主に評価してもらい、また経営の安定を図っていくという面でも極めて重要であります。

もはやメインバンク制とかあるいは株式持ち合い、こういう仕組みは崩壊しまして企業が自己責任のもとに直接資金を市場から調達する。こういう時代になっております。

経営の安定を守ってくれるのは安定株主であります。そのためにはグローバルに資産効率あるいは投資効率を高めて市場から評価される企業となっていかなくてはならないというわけでありますが、本年10月私どもがニューヨークとロンドン市場に上場したのはこれはグローバル企業として生き残っていくために避けて通れない道であると判断して決断した次第であります。

私どもの経営を理解して評価してくれるたくさんの世界中の安定株主を確保するためにもマネジメントの改革は一刻も早く実現していたではない。そういう課題であると考えております。

奥田 碩の講演会 その15

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その15。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

次に申し上げたいことは我々はグローバルなコスト競争に打ち勝つためには、企業活動のあらゆる分野で徹底的に効率化を図り、筋肉質でスリムな企業体質を作り上げていかなくてはならないということであります。

技術開発分野でデファクトスタンダードを獲得している取り組みと共に企業の成長のもう一つの源泉はコスト競争力の強化ということであります。

これはものづくり企業にとって永遠のテーマでありまして、社会的な競争激化は確実にコストの削減圧力となって働いてくるということは予想されます。

一方先ほど申し上げましたように我々の将来の成長の糧となる技術開発投資やあるいは海外プロジェクトの推進には膨大な投資が必要であります。

しかし商品の価格というのはお客様が決めるものでありまして、いかに投資がかさむからといってこれを製品価格に転嫁するという事は出来ない相談であります。

さらに適切な収益を確保できなければ株主への責任も果たさないばかりでなく、また従業員の努力にも報いることはできない。

ということになりまして、こうした2列にも3列にも背反するような問題をクリアしていくためには、これまでにない画期的なコスト削減、あるいは経営資源の有効活用することが必要となってくる。とこういう時代であります。

30%を40%大幅なコスト削減は従来の延長線上での発想では絶対困難であります。

ものづくりの源流から発想して、仕組みを根本から変えるという発想で取り組んでいかなくてはならない。そういうふうに思っております。

私はこうした取り組みに絶えず挑戦して、その目標を確実に達成していけるかどうかということが企業としての若さであろうと常に思っております。

トヨタはコスト競争力についてはどこよりも強いと言われてきましたが、その言葉に甘んじて自分たちが世界一だと思い込んで、いわゆる「裸の王様」になってはならないと思います。

今は若干そういう傾向も謙虚に見ているわけでありまして、これを見直してグループ全体としてもこれまで以上に強力に取り組んでいく必要があるとそういうふうに考えております。

開発期間の短縮、あるいはプラットフォームの総合、部品の共通化モジュール化、システム化の推進さらには研究開発費、設備投資等の固定費の削減。

こうした取り組みを規模だけではなく、いつまでにという時間軸も視点において強力に推進をしていかなくてはならない。というふうに考えます。

また取り組みにあたっては、他社の取り組みを徹底的にベンチマークしながら良い点は積極的に取り入れていく。

また本来あるべき姿は何か。こういった視点から思い切って目標を設定して従来の仕組みを根本的に変えていく。

と言ったつもりで多忙にも果敢に挑戦していく。こうした取り組みが必要である。とそのように考えます。

奥田 碩の講演会 その14

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その14。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

さらに情報分野でございますが、来るべきカーマルチメディアの時代の本格的な到来や、ITSを睨みまして開発競争が本格化して電機メーカーをはじめ様々な業種が参入するなど、文字通り産業企業の壁を越えた競争が始まっております。

この分野でも絶対に負けるわけにはいかないわけでありまして、特にこの分野で〇〇〇企業への私共の期待は非常に大きいわけであります。

そこに ITS の分野はより良い次世代モビリティ社会の構築を目指して社会インフラの整備などを政府、協会、学会などが協力して進めていかなくてはならない領域でもあります。

私どもはユーザーに一番近いというメリットを活かして、常に推進のリーダーシップをとっていくつもりで取り組んでいく必要がある。そのように考えております。

さらにもう一つリサイクル技術の向上はもう絶対に重要な要件であります。

リサイクル技術の向上によって有限な地球の資源が100%再生可能になるということであれば、環境技術を駆使した新しい製品にはどんどん買い換えも起こります。

その結果経済は活性化してさらに新たな技術革新も生まれてくる。とこういった好循環な社会が生まれてくる。とこういう風に思います。

私どもはこうした高循環大人間社会を実現するべく、車の開発から生産・販売・流通そして廃棄に至るあらゆる分野でリサイクル技術の向上を目指していくことが重要であると考えております。

先ほども触れましたように、今後はこうした環境関連をはじめとした技術のデファクトスタンダードを握った企業が21世紀のリーディングカンパニーとして大きく成長していく時代であるということを、ぜひしっかりと認識をしていただきたいと思います。

私どもはグループの総合力の結晶はもとより自前の技術にとらわれず、業界の枠を超えて幅広く御先端技術の吸収に努めていくつもりであります。

同時に製造技術についても新たな進化の時にあると、そういうふうに思います。

ご存知のように日本の高齢化少子化社会というのは急速に進展しております。

また労働力という面では女性や高齢者の方々にどんどん働いていただく機会が増えるのではないか。現在の状況ではそういうふうに考えております。

そのためには誰にでも簡単にいや使える機械の開発はもとよりそれを効率的に運用するノウハウの向上を図り、また女性や高齢者にも優しい製造技術の確立に向けて取り組んでいく必要があります。

さらに先ほど触れましたようにリサイクル技術も組み込んだ製造技術を作っていくということも必要であります。

私どもはこうした観点で新しい製造技術の確立に向けまして取り組みを進めております。

奥田 碩の講演会 その13

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その13。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

また将来の環境技術として注目を集めております燃料電池につきましても、排出するのは水蒸気のみといった理想的な動力源でありますが現在この開発を巡ってすでにダイムラー、クライスラー、フォード、バラード、シェルとこういった大連合が結成されまして、ベンツやフォードは2003年には燃料電池車を投入する計画とかそういうふうに聞いております。

今年トヨタグループ各社からこの分野の開発のスペシャリストを幅広く集めまして東富士に FC 企画部というのを設立致しまして、実用化に向けて取り組んでおりますが、これはこの分野で何が何でも負けるわけにはいかない。と考えているから行ったことでございます。

しかしこの燃料電池を使った車は実用化させるには、どのように燃料である水素方式として純水素やエタノール天然ガスあるいはガソリンといったものなどから排出などを様々な技術開発が行われております。

さらにそのための供給インフラの整備をどうするかといった大きな課題もあります。

また自動車メーカーとしての課題の一つに燃料電池の性能をいかに車に反映させるかということあります。

実は燃料電池も車としてシステムを構築する場合は、燃料電池とバッテリーを持ったハイブリッド方式によって最高の効率を追求することはできるわけでありまして、私どもは現在増えるセルハイブリッドとこういう風に位置付けて開発に取り組んでおりますが、常にその開発の先頭を走るつもりで取り組む必要がある。このように考えております。

奥田 碩の講演会 その12

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その12。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

こうしたチャレンジングな課題を達成するために今私どもがどう取り組もうとしているのか。

技術革新あるいはコスト競争力を軸とした企業体質の強化。それからグローバルマネージメントの改革。そしてグループの事業構造の再構築といった四つの側面からお話をしてみたいと思います。

まる第一は先進的な技術開発への取り組みということであります。

先ほど自動車産業はまだまだこれからの産業であって、今新しい局面に差し掛かっていると。こういう様に申し上げましたが、これは我々が先端技術開発によって地球環境問題を克服し、またかつ、高度情報化社会にも適用した次世代のモビリティを開発していけるかどうかということにかかっていると思います。

現在世界の各メーカーが次世代モビリティの開発を巡って凌ぎを削っておりますが、その中でいわゆるデファクトスタンダードを獲得した者だけが、市場を制して21世紀のデファクトカンパニーとして大きく飛躍していける。とそういうことになるわけであります。

すなわち勝者と敗者というものがはっきり区分されるということになります。

敗者にとりましてはこれまでの製品開発に要した膨大な費用を回収できないばかりでなく、その企業の傘下に取り込まれかれない。とこうした厳しい時代に現在突入しているということを忘れてはならないと思います。

ご承知の通り私どもは一昨年世界初の量産車として、ガソリンエンジンと電気モーターを併用したハイブリッド車プリウスを投入したわけでありますが、これは環境に対する私どもの企業姿勢を内外に明確に示すというだけではなく、このプリウスによって先鞭をつけたハイブリッドの方式を環境対応技術を巡る技術開発の主流に育て上げまして、そのデファクトスタンダードを獲得していく。とこういうつもりで取り組んでいる。ということで始めたわけです。

プリウスは既存車を遥かに上回る性能や快適な居住空間を確保するとともに、燃費あるいは CO2削減などを良好なコストパフォーマンス。さらにガソリンスタンドなど既存のインフラ設備の活用ができることなど、決して言われております我慢車でなく、実際実質においても普及の条件を十分満たしているシステムを備えた車であるというふうに考えております。

私どもこの先鞭をつけたハイブリッド方式は様々な導入技術の長所を組み合わせて最高のエネルギー効率、すなわち低燃費を達成できるということで無限の広がりをもつ技術であると思います。

私どもが今回東京モーターショーに出品いたしましたミニバンタイプの4 WD のハイブリッド車は2.4 L 2タント CVT。 そしてフロントモーターを組み合わせた高効率のパワートレインがありまして。さらに後車軸にモーターをもちましてプロペラシャフトのない電気式の四輪駆動システムとなっております。

この技術によって同クラスのミニバンの約2倍の燃費を達成するなど新しいハイブリッドの方向も具現化されたということもございます。

ホンダが本年市場投入してきましたが、私どもは2年のアドバンテージを生かしてこの分野ではトヨタの方式がデファクトスタンダードだと。そういう体制をこれからしっかり築いて行かなくてはならないという現状でございます。

奥田 碩の講演会 その11

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その11。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

次に国内市場でございますが、申し上げるまでもなくグローバル経営を進めていく上では海外と並びまして私どもが寄って立つもう一方の柱でありまして、量、収益の両面とも安定した強化のものとして行かなきゃならないという状況であります。

しかし国内市場は残念ながら既に成熟化して長引く不況の中で、総市場は昨年が588万台。これは90年代に入って最低の水準となりました。

本年につきましても枠の拡大した軽自動車の需要の増大、新型のリッターカーを中心としたコンパクト乗用車市場での盛り上がりはあったということはございますが、市場全体を活性化するまでには至らずに残念ながら全体としては昨年とほぼ同じレベルにとどまる。

この水準は、実は需要のピークでありました90年777万代からは約200万台弱の大幅な減少ということなってることに加えまして、売上高や収益という面でみましても利幅の小さいテイクアウト車のウエイトが高まっていることから、大変厳しい状況にある。

しかし市場が大変厳しいと言うだけでは何も前進ができないので、市場からのメッセージを俊敏に読み取りまして、次の出荷に活かしていく。とそういうことが重要であります。

こういった意味ではこの2年間に、軽自動車やあるいはリッターカーを中心とする小型車の総市場に占めるウエイトが急速に日本の中で高まってきているという現象が、果たして単に長引く不況あるいは人々の先行きの不安を反映したそういうものなのか。

それとも欧州の市場のように大型車か小型車だ。こういった二極化の現象に向かう構造変化が日本でも既に進みつつあるのか。

税制のグリーンカーなどの今後の法制の動向や、人々の地球環境問題に対する意識の変化なども含めて、多面的に分析検討して、今後の拡販に向けてあらゆる分野で早急な対応をとっていく必要があるところにかかっております。

幸いトヨタの本年の市場につきましてはオールトヨタの一丸となった取り組みによりまして、長年目標にしておりました除軽市場は40%以上をたぶん上回ることは多分は守ることができると思います。

これはここ数年取り組んで参りました需要創造型の商品、あるいは価値創造型商品の開発等。

さらにネッツ店などに代表される新しい販売手法などの取り組みが徐々に成果を上げてきた。そういうことであります。

しかし国内での圧倒的優位確保に向けては、ただいま申し上げました市場の変化が伝えるメッセージをいち早く的確に読み取ることと、それをまた拡販につなげていく。

とこういった努力あるいは収益向上への取り組みということに加えまして、価値観の多様化あるいは情報化社会に適応した新しいマーケティング手法、あるいは販売手法の開発など各々の分野で取り組みを片時も慢心せずに確実にスピーディーに進めていかなくてはならない。といった状況にあると思います。

また日本メーカーの体力も弱ってきているということもありまして、世界第二位のマーケットである日本市場をアジア戦略の拠点とするべく欧米メーカーが、今が色んな意味で進出の絶好のチャンスと捉えまして、日本メーカーとの戦略的な提供を始め、買収も含め各種の攻勢をかけてきている。というのが現状であります。

自動車メーカーの再編は決して日本市場だけでのものではなく、私どもはあらゆる分野で改革のスピードを上げて一刻も早く盤石の体制を築いていくつもりで取り組んでいく必要があるとそのように思います。

以上21世紀の初頭におけるグローバルな販売目標を中心にお話をいたしましたが、私どもがグローバル経営を円滑に進めていくためには、各地域の事業体でそれぞれ収益構造の改善に取り組み収益面で見ても自立性を高めて、事業を進めれば進めるほど、販売あるは収益この両面で足腰の強いグローバル企業になっていうことが必要であるし、そうになるべきであると考えております。

奥田 碩の講演会 その10

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その10。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

アジアの諸国を中心とした発展途上国につきましては、通貨危機あるいは政治問題などいろいろ問題ができておりますが、長期的には先ほど触れましたように成長ポテンシャルは非常に高い市場でありまして、欧米メーカーもここに向かって果敢な攻勢をかけてきているという状況であります。

しかしこの地域は我々の21世紀の成長の源泉でありまして、絶対にこの地域で日本勢が負けるわけにはいかない。こういう市場であります。

しっかりと足元を固めて取り組んでいく必要があります。

幸いアセアン諸国の経済は2年前にタイのバーツから始まりましたが、通貨危機の端を発して深刻な袋から抜け出しまして、急速な回復を見せ始めております。

本年度当は 3%から5%で経済成長している。この2年間の遅れを複数年のうちに必ず取り戻す。こういう市場になると思っております。

さらに中国、インドあるいは中欧、東欧、ロシア、ブラジル、アルゼンチンこういったいわゆるエマージングマーケットの中で非常に大きい人口規模を持った国。しかしその反面自動車保有率は極めて低く、今後モータリゼーションの進展が期待できる国々もございます。

私どもは21世紀の自動車事業の発展をこれらの潜在市場に求めておりまして、ここ数年でこれらの地域でのプレゼンスを確保するために将来に向けた成長の布石は着実に打ってきている。とこういうふうにしております。

しかしご存知のように一方でこれらの国々は、政治あるいは経済で常に不安定な要因を抱えております。いわゆるカントリーリスクの高い地域でありまして、効果的なリスクヘッジの研究などリスクマネジメントの強化を図っていく必要があります。

言ってみればこういった国はこれまで我々が海外で進出した国々に比べて格段に市場参入が難しい、あるは市場で成長するには難しいそういう国でありまして、これから進出するにつれてそれに比例するように困難さ、そういうものが出てくる。こういう市場であるところです。

ところで、こういったアジア地域をはじめとして20世紀に発展の期待される途上国への取り組むにあたっては、これらの国々の多くが実は自動車産業を自国の産業の振興の柱としたいという気持ちを持っておりまして単に固有市場マーケットしとしてみるのではなくて、こうした意向を大切にしながら現地の発展に貢献する産業協力の姿勢をとるということが不可欠なことであります。

場合によっては20年あるいは30年ほどといった長期的な視点で、取り組みをする。こういう必要が出てくる。そういった国です。

奥田 碩の講演会 その9

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その9。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

しかし私どもは何が何でも勝ち残って行かなければならないわけでありまして、こういう意味で私どもは当面の目標として21世紀初頭のグローバルの販売で昨年の販売464万台、これから600万台程度に、すなわちグローバルシェアでは10%以上とこういうものを確保していきたい。というふうに思っております。

この目標は海外では約400万台、国内が200万台から250万台を目指すというものでありまして、現在の状況から判断して極めてチャレンジングなものであるとそういうふうに映ると、そういうふうに思います。

多少くどくなりますが海外について若干申し上げますと、米国は何と言っても収益あるいは販売台数の柱でありまして、我々は日本に次ぐマーケットとして育成強化をしていきたいと考えております。

あるいは場合によっては日本よりもさらに大きいトヨタにとってマーケットになる可能性もある。とそういうわけであります。昨年販売では136万台からの数字があったわけですが150万台以上の販売台数を確保して、シェアにつきましても米国の平均年間レベルアップ1500万台と言われておりますが、この10%程度を目指していきたい。というふうに考えております。

しかしこの米国の1500万台の市場というのは今後、紆余曲折ありますが確実に上方に向かって成長していくとこういうことはですね、米国の人口が今後着実に増加していること。という傾向にあるということを考えますと、非常に有望でありまして、ここに対して相当な経営資源を注ぎ込んで行く。ということが大事だとそういうふうに思います。

また欧州につきましてはフランスで2001年の現地生産立ち上がりを軸に昨年の54万台の販売から80万台程度。シェアで5%ぐらいを確保したいと考えております。

ご承知の通り欧州はフォルクスワーゲン、オペル、フォード、ルノー、フィアットどのメーカーも強者揃いで大変競争の激しいところでありまして、その中で量的な拡大あるいは質的な拡大を図っていくためには、商品・コスト・販売力の強化を始めブランドイメージの向上など、今後ヨーロッパで取り組んでいかなくてはならない課題はたくさん抱えております。

しかし私はそういう厳しい所でもまれて勝ち抜ける力を身につけてこそ、世界史上でメジャープレイヤーとして存在していける力がついてくる。とこのように思っております。

幸い欧州で本年、新たに投入いたしましたヤリスが、欧州で最も権威があります欧州カーオブザイヤーを獲得することができたということは、非常に画期的なことでありまして、これは新たに飛躍に向けたステッピングストーンとして一つ一つ着実に、そして場合によっては欧州メーカーとの戦略的な地域提携、ということも視野に入れて取り組んでいきたい。というふうに考えております。

奥田 碩の講演会 その8

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その8。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

さて足元の自動車産業というものに目を転じますと、すでに皆さんご存知のように肌で感じておられると思いますが、ダイムラークライスラーの合弁。あるいは GM いすゞすすきの提携強化。あれは日産ルノーの提携。思い切ったリストラ策の発表を始め次世代のモビリティ開発を巡って異業種を含めた戦略的な提携。

こうゆうグローバル化、地球環境問題、情報化の進展の中で自動車産業は、質量スピードあらゆる局面で今大きな転換期にあるわけであります。

こうした中で私どものトヨタグループが21世紀にも引き続き成長発展を図っていくということのためには、今何をしなければならないか。ということを真剣に考えて、速やかにそれを実行に移していかなければならないわけであります。

ご承知の通り私どもは95年に国際ビジネスプランを発表するなど、グローバル企業を目指して取り組んでおりますが、それは自動車産業がグローバルに見ればまだまだこれからの成長産業であって、グローバルに成長の活路を見出していくということがトヨタグループの21世紀の成長の道である。そういう風に思うからであります。

まあ端的にいいかえれば地球全体をトヨタのカバーする市場である。こういう風に考えることが21世紀の成長の道である。そういうふうに思います。

一部には自動車産業はすでに成熟化している。あるいは衰退産業であるとかそういう声も聞きます。

確かに自動車は日本はじめ先進国では、2人に1台以上に普及しておりますが、全世界で見ればまだ8人に1台と。こういった状態でありまして、世界人口の約80%を占めるいわゆる発展途上国の方々の多くは、まだ自動車の便利さや快適さを知らない。そういう状況であります。

仮りにこれらの地域で今後普及がどんどん進めば、膨大な潜在需要があるということでありまして、自動車産業はまだまだこれからの産業である。とそういう風に思っております。

しかし、そうだからといってこれまでと同じ対応をとっていてでは到底成長は望めないというわけでありまして、私どもの成長発展は今後問題になってくるだろう、環境あるいは安全問題の対応や高度情報化社会への適応さらに交通渋滞問題の解決などの面において、従来とは異なった画期的な技術革新によって新しい車社会を築いて、20世紀に自動車が果たしたように、世界の人々の豊かな暮らしに貢献して行けるかどうかということにかかってくると思います。

私どもはこうした社会の実現を目指して、自ら道を切り拓いていく気概が必要であると思っております。

こうした役割を担う為に私どもは21世紀の世界市場でメジャープレーヤーとして存在ある企業を目指して行かなくてはならない。

ご存じのように世界の自動車メーカーは、現在大小合わせて40社以上ございますが、このグローバルの再編の中で多分生き残れるのは4社あるいは5社とこういう風に言われております。

実際、環境・安全や情報化とこういった開発技術分野を始めグローバルな事業展開のためには今後膨大な投資が必要であります。同時に熾烈な競争に打ち勝って行かなければならない。

そういうことを考えますと企業として、技術的にもあるいは財政的にも相当な体力が必要であります。

生き残れるメーカーの数は非常に限られたものになる、というのは当然であります。

奥田 碩の講演会 その7

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その7。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

21世紀の新しい日本の創造に向けて、今申し上げた三つの課題を解決していくためには、民間企業の果たす役割は極めて、中でも私は製造業がもっともっと頑張らなくてはならないとこういう風に思っております。

申し上げるまでもなく今日までの世界経済の発展の原動力というのは、技術革新によるものでありました。

技術革新が新たな時代のブレークスルーを産んで、今日の豊かで便利な社会を築いて開けてあります。

しかし今日では情報化技術の進展と共に脱工業化とかあるいはハードからソフトの時代への転換。こういうことが当然のように語られまして、実際株式市場などにはしてもソフトウェア産業やあるいはインターネット産業に属するというだけで、その企業の株が株価収益率の数百倍の価格で取引される。とこういったバブルの再来を想起させるような現象がアメリカでも起こっているし日本でも取ります。

もちろん米国経済の活況に典型的に現れておりますように、今 Microsoft あるいはインテルさらにヤフーなど情報技術を駆使したソフトウェア産業や、あるいはインターネット産業が世界の経済を成長をリードする力を発揮するとか、

あるいはまた E コマースは電子商取引ですが、こういうものも新しいビジネスとして取引形態が次々と誕生している。こういうことも事実であると思います。

また様々なサービス産業が製造業に変わって雇用吸収して、新たな雇用増を満たしていく。とそういうことも事実であります。

しかし情報産業も新しいコンピューターというハードウェアなどの飛躍的な向上前庭として成り立つものでありまして、また色々なサービス業にしても製造業の発展なしにはありえないということであります。

ものづくりはいつの時代にも社会発展の原動力であることを決して忘れてはならないと思います。

元より魅力的な商品の開発ということは日本のお得意分野でありまして、この魅力あるものづくりを通じて世界に貢献してきたからこそ、今日の日本の繁栄とまた国際社会における評価があるわけであります。

21世紀にも私どもが長年培い蓄積してきたものづくりの強みというものを伸ばしまして、世界の人々が欲しがるような画期的な新技術による製品やあるいは環境エネルギー問題を解決する省エネ技術や製品を開発して、世界中の人々に喜ばれて、それによってエネルギー問題や環境問題への貢献を果たす。

ということができれば、新たな世界需要の創出にもなって、長期的には世界経済を押し上げる力になる。とそういうことになるだろうと思っております。

これこそが軍事力を現在も持たない日本ができる、最大級の国際貢献ということでありました。

こうした取り組みを通じて「21世紀の魅力ある国家の創造」ということが可能になる。とそういうふうに思います。

私どものトヨタグループも例外ではございません。

先ほど申し上げました三つの課題を自らの課題として真摯に受け止めましてスピーディーに改革を図り、日本のものづくり企業のリーダーとしての役割を果たしていく意気込みで取り組んでいく必要があると思います。

奥田 碩の講演会 その6

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その6。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

第3はいわゆる国際化への対応ということであります。

ご承知の通りグローバル化の急速な進展によりまして、企業の競争という側面ひとつとってみましても国境や産業の社会が亡くなりまして、文字通りボーダレスの競争。といいますか地球が一体となりました。

こういう競争が展開されつつあるということです。

こうした中にあって、日本もそして日本企業も単に欧米のスタンダードいるのではなくて、日本初のスタンダードこういうものをどんどん出していくようなこういう国にならなければならないと思います。

従来の日本のやり方を踏襲するのでもなく、また新しいスタンダードを世界に発信していく。そういうつもりで改革を図っていく。これが非常に重要だということです。

私はこの取り組みには国際化、情報化の進展の中で日本の強みを活かすということが大切ではないか。とこのように考えております。

例えば日本の製造業は国際競争力があると言われておりますが、これも常に新たな付加価値を創造していくことができなければたちどころにその競争力を失うということであります。

これまで日本が培ってきたものづくりの技能や様々なノウハウというのは非常に貴重な財産であります。

それに申し上げれば日本には文学や美術建築から伝統芸能などに見られるように、欧米にはない独特の優れた感性がありました。

これは今日の日本の産業の中にもたような形で活かされております。

しかしこうした日本の強みは、ひとたび国際化あるいは情報化の波に乗り遅れますと、一転して日本の新たな発展を妨げる弱みに変わりかねないというものであります。

国際化のなかで海外諸国の技術や文化と接触して融合し、時には火花を散らす。とこういった事があってこそ日本の強みがより一層進化するとこういうことであります。

でこれまでの強みに磨きをかける一方で、さらに情報化など最先端の技術やアイディアを組み込みまして、一層高度なものにしていく。ということが国際市場の中で日本初のスタンダードを発信する。とそういうことにつながっているということになると思います。

奥田 碩の講演会 その5

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その5。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

第2はご存知のように高度情報化社会への対応ということであります。

ご承知のように情報技術の急速な進歩によりましてスピード、コスト、規模もあらゆる局面で社会的な変化が急激に送っております。

既にインターネットやマルチメディアの急速な普及によりまして、新しいビジネスや産業が起こっているだけでなく情報の同時性やあるいはそのボーダレス化しておりまして、人々の価値観あるいは社会構造そのものが大きく変化する可能性があります。

現実にそれが今起こっているわけです。事実、経済は絶好調の米国については、いわゆるニューエコノミー。これをリードする要因として情報化技術の発展とその効果的な活用。そしてまたそれに伴う生産性向上。こういうことがその原因である。とこういうふうに指摘されております。

実際私どもを自動車産業におきましても情報化技術を活用して、新しい販売手法、あるいはマーケティング手法の開発、あるいはよりスピーディーな商品開発、あるいは市場変動に柔軟に対応できる生産システム。こういうものの確立等をはじめとしまして、主要な経営管理士法をグローバルにリアルタイムに把握して、迅速な意思決定につなげていく。とこういった対応が今後は当然の取り組みとなっていくわけであります。

21世紀の高度情報化社会に向けて国、産業あるは企業、個人あらゆる分野で、いかに情報技術の成果を早く取り入れて改革を図っている。とそういうことがますます重要になってくるとこういう時代であります。