中小企業は人材不足である

中小企業は人材不足になってしまいがちである。

その理由を以下に書いていきます。

中小企業は従業員一人の受け持つ仕事の範囲が広い。それはボリュームが十分に確保できないので仕事を細分化して割り当てると手余りになってしまうから一人に与える仕事の範囲・種類が多くなる。

種類が多くなるといちいちマニュアルに基づいて仕事を覚えるよりOJTにより訓練で仕事を覚えるようになる。

特に職人技のような仕事になるとマニュアル無しで先輩から直接現場で教えてもらい仕事を覚えていくことが多い。

今の職場で、一つの製品を製作するのに、材料のカット、旋盤、フライス、ロー付け、ワイヤーカット、ミガキの工程を当工場では1か月に100品番程加工する。一つの品番のロットは1~30個ほどでリーピートは約半分である。それらを約3名で製作しており、マニュアルをいちいち作成して教育するより現場でOJTで教えている。

このように中小企業では経験によるところが大きい。

そのように人に頼るところが大きいので、人が欠員すると大変困るわけである。補充しても使えうるには半年はかかる。それまで残った人に負荷がずっと乗る。

だから従業員に厳しいことが言えなくなる。大手なら代わりの人は沢山いるので厳しいことを言って叱咤激励し成長させるが、中小では厳しいことを言って辞めてしまったり、メンタルで病気になることが怖く、言えない。

そうすると、従業員は甘えてします。ましてや素質自体も中小企業は大手と比べ劣るのに大手の従業員以上に頑張らないと勝てないのに、頑張らないので大手に勝てるわけない。

またそのことを従業員は悔しいとか思わない。とくに今どきの中小企業に入ってくる若い人は、仕事はほどほどで良く、仕事よりプライベートの遊びを優先すると明言している。

怒れない!さらに負のスパイラルで差がついてしまい、給与を上げれなくなってしまい、良い人材を集めれないし、keeepできない。

これが現実である。

外部の人が経営改善すると嫉妬される2/2

外部の人が経営改善すると嫉妬されるの続きです。

前職の会社では方針発表会がありました。

私は入社しまだ半年ほどでしたので、職場の先輩のAさんに教えてもらいながら発表資料を作成しました。

Aさんは私の監視役でした。私がきちっと業務をしているかオーナーに報告する役目と指導役です。

方針発表の資料を作成し事前にオーナー含めトップに提出ししました。

方針発表ですので前期の反省と今期の活動・目標を発表する内容にしてます。当然前期の反省および目標は数値を明示しました。しかし、いままで前期の反省では数値をあまり明示することは少ないとAさんよりアドバイスをいただいたので大幅に数値は省きました。

さて実際の方針発表会で前期の反省として何々の結果、また成果として〇〇〇円の効果がありました。そして今期は何々を取り組み〇〇の目標としますと発表しました。

発表会が終わってからオーナーに私とAさんが呼び出されました。オーナーから、

「なんであんな〇〇〇円の効果があったと言ったんだ!何様のつもりだ!あやまれ!ここで土下座しろ!Aは何を見ていたんだ。なんでそんなことを言わせたんだ!」

私は何が悪かったのか少し理解ができなかった。しかし、直ぐに2つの理由を考えた

1)具体的な成果を数値で出して皆の前で言ったので既成事実となり認めざるを得なくなる。

2)前期に出した効果がどこに使われた、消えたか皆が勘ぐってしまう。

と思い、まずはここでは土下座して謝れと言われたので、言われるとおり土下座してオーナーに謝りました。

効果を出したことを認めることができないのだ。

それでも会社が儲かれば良いと思いその後も改善を進めたが、何を取り組んでもオーナーに逐次報告され邪魔されたので諦めました。伸び代はとてもあったので残念だった。

外部の人が経営改善すると嫉妬される1/2

前職の時に気づいたが、オーナー企業で外部から来た人が経営改善すると、なかなか認めることができず嫉妬されがちであることを知りました。

口では「わが社は色々問題があるのでどんどん改善してください。」と言われるが、実際に改善し効果を出してもなかなか認めることはしない。

何故かと考えある答えをだしました。

今までプロパー含めオーナーが会社を頑張って運営してきたのに、その人たちが自ら能無しであることを認めることができないからだと思います。これは自覚をしてなく無意識で自分を守るための意識だと思います。

外部から来た人が効果を出しても

「それは君一人でやったことではないでしょ。」と、企業の組織内では一人だけでやることはほぼ無いのに。

「それは過去前の人が取り組んだ活動で、君はそれを取っただけでしょ。」と、前の人は出来なかったのに今回はできたのを成果として認めれないなど。

ただし、現場の目に見える改善は認めてくれる。

利益がなかなか出なかったので、工場内を色々調べ一時的にでも利益を出す方策を出し、主に以下2つの事を実際に実施しました。

  1. 仕入費を減らすため、在庫を減らした。
  2. 仕入費を減らすため、顧客からの使えない有償支給品を返却した。
  3. 工程内不良を減らした。

売上に対する仕入費が約65%で△5%仕入費を削減すれば会社の損益はプラスになるところでした。

私の部署が生産管理・調達でしたので、1)については在庫基準を見直し、そのためには仕入先への仕入のリードタイム、発注の頻度、ロットを見直し、また、在庫置き場の置き場スペース&高さおよび表示をして在庫を絞りました。さらに工程内も、工程がブツブツに切れていたのを連結し工程内在庫を減らしました。

2)については、顧客からの支給品を組付け顧客指定の機能テスターで検査しNG品を自社で廃棄してました。顧客からの支給品を顧客指定の検査機で検査しNGなった物をずーと自社負担してました。考えられないです。顧客に返却としようとしたが、営業が何故か反対してきました。しかし、顧客に説明をしNG品は返却するようにできました。

3)については、社内の工程内不良を正しく報告していない状況でした。ただしく報告すると叱られるから、日報には正しく書かない。生産管理として、インプットの数とアウトプットの数に乖離があることを明示し、工程内不良が皆が認識していたより多いことを公表し製造と一緒に改善を進めました。

まずは問題を顕在化することが重要ですが中小の企業だとここから取り組みことが必要です。

これらの改善により仕入費△5%を達成したが、

「君一人でやったことか。皆でやった改善なら君の成果ではないな。君の成果は見られないので給与を下げる。」と、確かに私一人でやった活動ではなく皆の協力で出た成果だが、今まで長いこと取り組んでなかった、見えなかった問題に取り組み短期間で経営的な成果を出したのにとても残念でした。どうしても認めることはできなかったようでした。

改善の成果を上げる最も効果的なのは、関わる人それぞれがそのことについてとても重要であることを認識し、それぞれが自ら頑張って取り組むように仕向ける。

そして何を取り組むべきかを情報収集し分析し正しい方向性(方針)を出すのが、最もやりやすく方法だと思っています。

そうすれば私は何もせず、時々状況確認し方向がずれてきたらちょちょと方向修正すれば目的が達成させます。

そのかわり自分の存在感は薄くなり自分の成果とは思われにくいですが、効果は圧倒的に出やすいです。

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その28

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その28

おわりに

 世界の政治、経済、学界のトップ約3000人を集めて、2000年1月世界経済フォーラムがスイスのダボスで開催された。通常ダボス会議といわれ、その年の世界の潮流を決めるといわれる重要な会議で

2000年度のメインテーマはITであった。

ダボス会議の議論の結果から明確になった事項は、次の3項目である。

  • 世界の経済は、1990年代の不況を抜け2000年代はポジティブな局面となってきた。
  • IT産業が21世紀の世界経済を牽引する。
  • ベンチャー企業がニューエコノミーを強力に実現する。

これを受けて、本年度の九州沖縄サミットもITを中心課題として実施された。IT革命は、一般的に「情報技術(コンピューター、通信ネットワーク)の発展に由来する1990年代に始まる一連の変化(電子取引市場の発展、流通の中抜き現象、多様業態の入り混じり、組織形態と規模の変化、ベンチャー企業の興隆)」と定義されており、その本質は、1)企業成長スピードの高速化、2)経済原理の変化、3)変化を導く創造的活力の台頭、と考えられる。

日本の国際競争力は1996年4位であったが、1999年16位、2000年17位(スイス経営開発国際研究所)となっている。重厚長大産業(鉄鋼、造船、自動車等)のオールドエコノミーの時代からIT革命によるニューエコノミーの時代に移ることにより、日本の国際競争力は急速に低下している。

インターネットの普及率はシンガポール、台湾、韓国より遅れている。この原因は規制緩和の遅れにより、1)通信料金が高い、2)通信速度が遅い等があげられるが、特に高速インターネットの普及については、米国400万回線、韓国100万回線、日本22万回線と世界の先進国から大きく水をあけられている。

インターネット革命は従来のインフラを根底から変えつつあり、電子商取引、サプライチェーン、ニュービジネス等総てのビジネスはIT革命の影響を大きく受ける環境にある。米国の株価上昇も、IT関連企業(マイクロソフト、シスコシステム等)の影響が大きい。これらを背景に、日本政府も国内大手企業もいっせいにIT革命の方向に走り出している。勿論中小企業にも参入のチャンスは広がっており、積極的に挑戦する企業も多く見受けられる。

しかし、現実の多くの中小企業は長期不況で厳しい経営環境にあり、情報化の推進においても

  • 社員の情報活用能力の不足
  • 社員情報化の専門人材の不足
  • 情報化に関するソフト、ハードの購入費や維持費の資金不足
  • セキュリティ確保の不安
  • 適切な情報化投資の内容が分からない

等多くの問題を抱えている。

今回の調査を通して、我々士は時代の潮流であるIT革命の本質を理解し、ITに関し厳しい環境にある多くの中小企業に的確に支援できる能力の向上が求められると強く認識した。

今回の調査に際し、訪問調査やアンケート調査に大変協力をいただいた企業各社に心から謝意を申し上げたい。又、この様な機会を与えていただいた診断協会本部に感謝したい。この小冊子がいささかなりともアンケートに協力いただいた企業各社および士各位のご参考になり得れば誠に幸甚である。

執筆者  12名

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その27

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その27

2)バイヤーの立場からの課題と提言

今、大手企業の購買担当者が囁いていることに、“営業マンには常時、来てほしくない。”がある。 1日に営業マンが何人も来るので購買担当者がオフィースワークを始めるのは定時以降になってしまう。営業マンの話の半分は世間話であることが多い。できる限り、営業マンを介さずに購買をしたいと購買担当者は願っている。インターネット購買は“短い時間で購買の仕事をこなしたい”という購買担当者の欲求を満足させてくれる。米国の大企業では3-4年前からすでにインターネット購買が普及し、短い時間で多くの購買件数をこなしている。そしてインターネット購買の経済性を次のように計算している。1人のバイヤーが1年間に取り扱うことができる購買件数を出して、バイヤーの年俸を購買件数で割る。つまり、1件の購買にバイヤーの給与がどれだけ掛かっているかを計算する。目標とすべきは1件あたりに費やすバイヤーの時間を削減することであり、それによって購買費用を削減しようとするのである。インターネットを活用すればバイヤーは購買に至る種々のプロセスにおいて拘束される時間が少なくてすむので、(電話しない、相手と会わない、出かけることが少ないなど)インターネット購買の経済性は立証される。バイヤー1人あたりの1年間の購買取扱い件数が増加すればするほど、インターネット購買はコスト削減に多大な貢献をしているといえる。大手企業に出入りしている中小企業はこの点を充分考慮する必要があるだろう。インターネット購買に対応できないため、受注ができないという日がくるかもしれない。

インターネット購買には部品点数の削減と標準化も欠かせない。部品点数の削減と標準化は常に心がけるべきことであって、インターネット購買をするからといってするべきことではないが、インターネット購買を成功させようとする場合はぜひ、実施しなければならない項目である。

インターネット購買をするには、業界紙などを定期的に購読し、その業界の全体像を知ることが重要である。そうすることによってネット上に現れる企業の適否をはかる自社なりの基準を持つことができる。

3)バイヤーとセラーの両方で考慮すべきこと

インターネット購買を推進する前にコスト管理について実施しておかなければならない事がある。日本の下請け分業構造においては、特定の顧客と取引が継続しているのでセラー側が請求しない、表に出ていない購買費用がある。たとえば仕様変更に伴う修正費用、輸送費、在庫保管費用などである。インターネット購買をしようとするとこの状況は具合が悪い。インターネット購買の一番大きな特色の1つは広く購買する企業を求めることである。この“広く”については “より多くの企業の中から”と“海外も視野に入れたより広い地域の中から”の2つの意味がある。そしてその都度、購買コストについて折衝するわけだから、購買コストの項目を明確にしておかなければならない。購買コストには購買物そのものの価格(修正費用を含む)と輸送費、受け入れ費用、在庫費用、リスク費用等がある。今までのように購買物そのもののコストダウンを考慮するだけでなく、購買に掛かる総費用を合計し、購買総数量で割り、総ユニットコストを出して管理し、ユニットコストダウンを実行しなければならない。すなわち購買コスト全体を考慮した緻密なコスト管理が必要になる。インターネット購買に本格的に参入する前に企業は自社の購買コスト構造を分析・細分化しなければならない。さもなければインターネット購買をしてコストダウンになったのか、ならなかったのかを知ることはできない。

インターネット購買によってお互いの企業の在庫状況を開示する場合は、在庫の評価方法・時期を同一にしなければならない。その他にもインターネット購買を運用していく上で、バイヤーとセラーが協調しなければならないことがあるだろう。

 現時点ではインターネット購買は大きな成果もでていないが、インターネット購買、営業を軽視するということではない。2005年にはインターネット人口が現在の3倍弱になると予想されている。インターネット環境が多くの企業で整備されれば、インターネット購買・販売は加速して増加していくに違いない。ホームページの配信などを行い、インターネット購買・販売のノウハウを蓄積し、最低限の準備を済ませておくことが重要である。

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その26

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その26

(3)インターネット購買の今後の課題と提言

 今後の課題と提言を; 

1)セラーの立場から 2)バイヤーの立場から 3)セラーとバイヤーの立場から考察する。

1)セラーの立場からの課題と提言

受注拡大について機会と脅威の両面から考えてみたい。

インターネット購買の機会としては、製造業の部品メーカーにとってホームページを開いたからといってすぐに引き合いが来て、成約することは少ないが、インターネットのホームページを利用すれば世界中の企業に自社の概要と製品をリアルタイム・少ないコストで紹介できる。それまで雑誌、新聞、見本市などの宣伝メディアに費用の面で手が届かなかった中小企業にも多くのチャンスを与えている。 ホームページの役割はAIDMAの法則を適用すると、注目と興味の段階である。販売のホームページを作成、維持するにあたって自社の製品の宣伝もさることながら、定期的に見てもらえるホームページづくり(たとえば、その業界の裏話、その製品の応用例)が必要である。購買担当者がホームページを見るのは製品ばかりとは限らない。見る楽しみのあるホームページ、何となく定期的に見てしまうホームページにすることが大切である。 それには企業情報誌のような体裁にして、定期的に配信する。ホームページをアンケート形式にして、顧客の生の声を吸い上げ、隙間のニーズを探ってもよい。顧客の疑問に対してはなるべく迅速に回答を出すようにしたい。ホームページを配信するが、潜在顧客から質問がきても回答せずにいる場合がよくあるが、これではせっかくのホームページもその役目を果たしていないといえる。またホームページの対象は購買担当者ばかりではない。部品の仕様を決定するのは技術者、生産技術者であるから、技術者、生産技術者にもアピールできる情報を配信することが必要である。ホームページで注目を引いて、興味を持たせて、引合いしたいという欲求まで持っていく。

インターネット購買の脅威としては、①多数の企業の価格検索が短時間にできてしまうため、価格の低下を招き、セラーの首を絞めてしまわないかということがある。②企業ごとに顧客にオファーできる技術・製品は違いがあるはずなのに、企業がホームページに配信している内容は似かよったものが多い。これではサイトに100件近くも企業が登録されている場合は、検索したバイヤーも自社に必要な情報を検索しにくいし、件数の多さに検索に飽きて、見てもらえない企業もでてくるであろう。この状況を防ぐには:①選りすぐったキーワードでバイヤーにアクセスさせることである。インターネットで検索する場合は価格を検討している場合も多いが、製造、加工上の問題を解決できずに検索することも多い。月並みな言葉を検索キーワードにしていると、検索する側も自分のほしい情報にアクセスできないことが多い。 バイヤーの問題解決に自社の技術が役立てば、価格競争は必要ない。②自社の特殊技術、他社が追随できない技術、納期などを検索用キーワードにすることによってバイヤーの注意を引くことが重要である。 自社の売りと強みを見出し、それをバイヤーにアピールする言葉でホームページを作成する。③調査結果から、インターネット購買を積極的に行っている企業のホームページにアクセスしている企業が約1/4弱あった。ホームページを出して待っているだけではない“攻め”の姿勢も重要である。

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その25

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その25

第6章 中小製造業におけるB2Bネット取引に関する効果および今後の課題と提言

(1)B2Bネット取引の効果

今回のアンケートの結果をふまえて、中小製造業におけるB2Bネット取引の効果および今後の課題を考察する。今回のアンケート結果を見ると、日本でのネット購買はいまだ黎明期にあると言える。インターネットで受注に成功した中小企業の割合は回答をいただいた一般企業で16%、回答いただいたM/P参加企業で45%にすぎない。45%の内訳として、23%の企業が1社の受注、7.7%の企業が2社,3.1%の企業が3社、11%の企業が4社の受注に成功している。すなわち、受注できた企業の約半数の企業が1社のみの受注で、新しい受注の実績がやっとできた段階である。現状の調査ではB2Bネット取引の効果を明確に測定することはできないが、今後、インターネット購買の機会が増えていくという前提で、インターネット購買がコストダウン・受注拡大などによって中小製造業の業績に貢献できるかどうか、そして今後の課題と提言について考えてみたい。

(2)インターネット購買はコストと拡販の面から中小製造業の業績に貢献できるか?

ITを活用したネットワークはその役割から次の3つに分けて考えられる。

① EDI: 特定の企業間での専用オンライン受発注システムである。

② インターネットEDI: 特定の企業間でのオンライン受発注システムをインター

ネットで行う。

③ e-ビジネス: ホームページを作成し、既存の顧客とのオンライン受発注を行うばかりではなく、新規顧客も獲得する。電子商取引サイトに登録することもある。

この3つの場合において、コストと拡販に関して時間と金額の面からその貢献の可能性を考えてみたい。

コストの面から

 EDIの場合インターネット EDIの場合eービジネスの場合
時間*特定企業間の情報交換の迅速化 特定企業についての作業の効率アップ *伝票発行などの定型業務の合理化 *注文書・納品書の郵送等のトラブルから開放 *図面がデータとして受取りが可能 *受取りデータの二次加工が可能 *打合せに出向く時間の削減EDIと同じ効果   プラス     新規取引先とのネットワーク開始時の設定時間削減  インターネットEDIと同じ効果   プラス   自社の周辺にない技術を有する取引先を募集したいとき、広い地域からメンバーを集めることができる。予め新規の購買先の情報を入手することによって無駄な訪問を避けることができる。
金額*購買業務にかかる時間短縮によるコスト削減EDIと同じ効果     プラス   導入コストが安価で ある。    インターネットEDIと同じ効果   プラス   信頼性のある汎用部品を購買する場合、広域で情報を集め、安価な部品を購入できる可能性がある。

拡販の面から

 EDIの場合インターネットEDIの場合eービジネスの場合
時間  -  -リアルタイムで自社の紹介・広告が できる。  
金額  -  -安価な価格で世界中に自社の紹介と 広告ができる。  

以上がコストダウンと拡販の面から考えたネットのメリットである。時間の面からは上記のように多くのメリットが明白になっているが、金額の面からははっきりしたメリットは現時点では出てこない。

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その24

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その24

3.事例 3

(1)企業の概要

〇〇〇株式会社  愛知県知多市

代表者 〇〇 〇〇

資本金 10,000千円   創業  昭和45年

役員 4人、従業員数 7人(いずれもパート)

   売上高 120,000千円(平成12年度)

主要製品 小型コイルバネ

 当社は昭和45年に現代表者が父の会社から独立して創業、顧客も自分で開拓してきた。

 当社の納入先は自動車部品製造企業の下請企業(3社)で、最終の自動車メーカーからいえば3次下請である。3年前に工業団地内に新しく建てた工場に移ってきた。それまでは同じ市内(愛知県内)で操業していたが、製品の出し入れにも困る場所で、ようやく長年の夢をかなえた。又これと同時に、東京でサラリーマンをしていた子息が帰ってきて工場を手伝うようになった。

工場内はきちんと整理されており、12台の種々な自動コイル巻機が整然と並んでいる。各機械には熱処理装置を直結しており、全て無人で1日15万個のバネが作られる。代表者と子息の二人で機械を操作する。従業員は全てパートの女性で、製品の最終検査と箱詰を行っている。

(2)インターネット取引の現状

当初は工業団内の企業が協同でホームページを作ったが、企業紹介のみで取引には結びつかなかった。代表者の子息は親の企業を引き継ぐつもりで帰ってきたが、単に従来の得意先を引き継ぐだけでなく、新たな顧客を開拓したいと考えていた。その一つがインターネットによる顧客の開拓であり、雑誌でマーケットプレースの記事を読み、早速そこに登録した。そしてその2週間後に三重県の企業から見積もり依頼が来た。当初はインターネット取引には興味を示さなかった父(代表者)も意外に早い引合いに驚き、早速相手の信用調査を銀行を通じて行った。そしてメールやファックスでのやりとりの後、現在、試作品を納入したところである。

(3)インターネット取引のメリットと問題点について

① インターネット取引のメリット

 いままで全く面識もなくても、また、地理的に遠隔地でも取引ができること、それもメールとファクスだけでも取引ができることはインターネットの威力であると感じている。

② インターネット取引の問題点

1)顔の見えない相手であり、相手の信用調査が重要である。又、相手の立場で考えれば、こちらの信頼度や技術力をどうしたら的確に伝えることができるかである。

2)どうしたら自社にアクセスしてもらえるか、登録したマーケットプレースには、同業種企業が120社登録されている。この中から、いかにしたら他社より先にアクセスしてもらえるかが問題である。

(4)今後の展開について

① 自社独自のドメインを持ち、もっと的確に自社の技術をアピール出来るようにしたい。

当面の目標として、売上の10%をネット取引で新しい顧客を開拓したい。

② 出来れば、他のバネメーカーと組んで、もっと広い種類のバネをネットで供給出来るようにしたい。

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その23

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その23

2.事例 2

(1)企業の概要

〇〇工業株式会社  愛知県海部郡

代表者 〇〇 〇〇

資本金 10,000千円   創業  昭和39年

役員 3人、従業員数 40人(うちパート7人)

   売上高 400,000千円(平成11年度)

主要製品 汎用インバーターBOX、制御盤ケース、工作機部品

 当社は昭和39年に現社長が創業し、現社長は65歳である。現在、社長が出社するのは週2回程度で、大学卒業後勤務していた商社を退職し、8年程前に入社した子息(34歳)が専務として業務全般を担当している。

 創業時は資本金50万円で柱上変圧器、冷暖房機の板金溶接加工を行っていた。その後、大手電機メーカーより制御盤・配電盤等の板金加工を受注、引き続いて別の大手電機メーカーから制御盤等板金加工を受注出来、業績を伸ばしてきた。

 昭和44年に資本金を100万円に、昭和60年に500万円に、平成元年に1000万円に増資した。大手電機メーカー2社を主要顧客としており、この2社で売上高の約50%を占める。

 設備はNCターレットパンチプレス2台、NCレーザーパンチプレス2台、ボール盤6台、プレス10台(ブレーキプレスベンダー6台含む)、溶接機14台等を有する。

 その設備と専門技術力を駆使し、ターレットパンチプレス加工とレーザー加工の複合機を用いたオンラインでのDNC運転(同時に指令した多数のNCデータに対し、無人でスケジューリング加工)を行っている。(専門技術力の証明として平成8年優秀板金製品技能フエア(職業訓練法人 アマダスクール主催、労働省他 後援)で技能賞を受賞)

 また、受注から出荷までの進捗状況をバーコードでコンピューター管理し、少量多種・短納期に対応する生産体制としている。

(2)インターネット取引の現状

 現在6社とインターネット及びVAN取引している。(平成12年1月から6月間におけるインターネットおよびVANによる受注金額は1億2千万円)

そのうちの3社は主要顧客であり、当社からの提案と顧客のタイミングと呼応して1996年頃からインターネットによるオンライン受注を、また今年からVAN取引を開始している(当社受注金額の60%を占める)。さらに、2年前に汎用ソフトを利用して女子社員によりホームページ(http://www.chuokogyo.co.jp)を開設している。女子社員を活用したメリットとして、硬い製品に対して彩色等イメージを和らげる効果があった。 その後、専任者を置いていないこともあり、1年間更新していない。そのホームページにアクセスしてもらったことにより1社新規顧客を獲得している。また、バイヤー側のホームページの掲示板での募集に応募し、自社技術をアピールすることによって2社新規顧客を獲得した。ホームページを維持更新する専任者は置いていないが、外注するのもひとつの方法と考えている。ホームページにアクセスした人からの問い合わせに対しては専務が対応している。

月10件程度の問い合わせがあるが、その大半は商社からの登録勧誘であり、仕事の引合いは10%程度。 引合いに対しては2~3日以内に回答するようにしている。海外からも問い合わせが来たことがある。

 オンライン発注も行っているが(5%)、発注しているものは事務用品が殆どで、その他には金型が1%程度あるだけである。

パソコンは事務所内に15台、工場に5台所有している。社長以下10人程はインターネット接続環境にあり、定型的な受発注業務は総務課の5人程にて担当している。

(3)インターネット取引のメリットと問題点について

①インターネット取引のメリット

受注情報データを加工し生産情報に転用できる。例えば以前は図面を見て手入力していたが、現在は主要顧客からCADデータを貰いNCデータとして活用している(但し、顧客が図面を正としているため、図面とチェックしてから利用している)。また、新規顧客3社を獲得できたのもインターネットを活用したおかげであり、地域制限も無く、多大な広告費用も必要とせず、中小企業にとって有効な顧客獲得手段であり、当社にとってメリット大であると言える。

②インターネット取引の問題点

現時点では特に問題点は感じていないが、社員のパソコン教育が必要である。但し、社内外間電話、FAX,文書送付等に対する費用節約も兼ねて社員へのネット接続環境を整備したが、日本国内には私的アクセスを監視する専門プロバイダー等も一般化していないため、私的利用のリスクはある。また、ハッキング等への完全有効なセキュリティシステムは困難なこともあり、ネットの常時接続はせず、社内イントラネットを通じダイヤルアップで適宜送受信を行っている。

(4)今後の展開について

① ホームページを充実して顧客を増やしていきたい。

② 発注体制を整備し、鋼材等のインターネットでの発注を増やしたい。

③一方、板金による製品製法の特許を取得したので、これを活用した自社製品の開発・販売を目指したい。

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その22

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その22

第5章 代表事例の実態調査

1.事例 1

(1)企業の概要

有限会社〇〇〇屋  愛知県幡豆郡

代表者 〇〇 〇〇

資本金 10,000千円   創業  昭和23年

役員 3人、従業員数 7人(いずれもパート)

   売上高 100,000千円(平成12年度)

主要製品 海産物加工品

 当社は昭和23年に前代の社長が創業し、現社長は65歳である。また35歳の子息が会社の営業担当をしている。

 創業時は独自で顧客を開拓してきた。現在の当社の納入先はスーパーマーケットおよび個人商店である。全顧客数は30社ほどである。新規顧客開拓活動として、個人商店に対しては地元知人による紹介が多い。またスーパーマーケットに対しては特定のスーパーマーケットと現在販売契約しておりそのスーパーマーケットの出店数の増加に頼ってきている。その為、特に拡販活動はしてきていない。

工場は社長の住居と隣り合わせに位置しており常に工場の稼動状況が把握できるようになっている。工場内はきちんと整理されており、設備は自動機が2台と手動機が20台ほどある。設備の稼動状況は低いが、人の稼動率は高い。創業時より現在の場所で手作りによる海産物加工品で贈答品等を主体とし地元密着型で操業している。取り扱い品目は贈答品が多くあり特に衛生面および品質管理には気をつけており梱包前に全数検査を実施している。

(2)インターネット取引の現状

 ネット取引としては2種類を実施している。一つは固定顧客からのオンライン受注で、もう一つはインターネットを使った企業・商品紹介である。

 まず、始めたのはオンライン受注である。これは顧客であるスーパーマーケットがオンライン発注を始めた為、対応できるよう顧客の支援を受けて、オンライン受注できるシステムを構築した。現在では2社のスーパーマーケットよりそれぞれ独自のシステムでオンライン発注を受けている。当初顧客がオンライン発注システムを採用した時、当社内では対応ができなく取引停止の危機となったが、社長の子息がコンピューターについて少し知識を持っていたのでこの子息が主体で対応し取引を継続することができた。それ以降、受注の管理は子息が毎日確認し、工場の生産計画に反映している。

次に始めたのはインターネットを使った企業・商品紹介である。地元の町が主体で管理しているホームページに協力し当社の商品を載せ不特定多数の一般消費者にアピールしている。これにより実際に一般消費者より受注をうけた実績があるが件数は少なく効果があるという認識はない。また受注方法は、FAXまたは電話によるものでメールやインターネットを通しての受注ではなく、インターネットの特徴を生かしているとは言えない。また新規のスーパーマーケットからの引合は今のところない。

(3)インターネット取引のメリットと問題点について

①インターネット取引のメリット

1)オンライン受注

 オンライン受注では、わざわざ時間を割いて顧客であるスーパーマーケットへ出向かなくても、サプライヤー側の都合の良い時間に受注数を確認することができる。また受注データをダウンロードすれば当社の販売管理、更には財務管理にもそのデータを活用することができる。

2)インターネット活用

インターネットの活用については、従来は折込み広告で配布地域が限定されていたが、インターネットにより広告地域の制限がなくなった。

②インターネット取引の問題点

1)オンライン受注

販売現場を見ずに受注する為、実際に販売現場での一般消費者の生の意見・ニーズを把握しにくい。顔の見えない相手であり、相手の信用調査が重要である。又、相手の立場で考えれば、こちらの信頼度や技術力をどうしたら的確に伝えることができるかである。

2)インターネット活用

インターネットの活用については、従来は折込み広告で配布地域が限定されていたが、インターネットにより広告地域の制限がなくなった。

②インターネット取引の問題点

1)オンライン受注

販売現場を見ずに受注する為、実際に販売現場での一般消費者の生の意見・ニーズを把握しにくい。顔の見えない相手であり、相手の信用調査が重要である。又、相手の立場で考えれば、こちらの信頼度や技術力をどうしたら的確に伝えることができるかである。

2)インターネット活用

味や風味を伝えることのできないインターネット上の情報で当社の商品をどうしたら理解してもらえるか、更に当社や当社の商品を知らない人がどうやって当社までにスムーズにたどり付けるかが問題である。

大手スーパーマーケットからの引合の為には当社の信用度をいかにアピールできるか問題である。

(4)今後の展開について

まずは多くの地元中心のホームページに当社の商品をリンクし地域密着型でPR活動する。そして顧客ニーズをメールなどを使って吸上げ新商品を開発していく。基本的に地元地域密着型であり口コミでの拡販を狙う。

次に、地元での状況をみて運送企業と提携しインターネットを使った全国への通信販売へ展開していきたい。

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その21

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その21

⑭ その受注先とは今後も継続して受注が望めそうですか

⑮ 今後もインターネットによる受注を増やしますか

 回答のあった100%の企業が「増やす」と回答しているので、1) 自社の資本金の規模による分類、2) 自社の従業員の規模による分類、3) 自社の業種による分類、4) 自社のe-ビジネスの形態による分類のデータは全て、「(1)調査した企業について」と一致する。

⑯ 受注に成功した要因は何ですか

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その19

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その19

⑨ インターネットによる受注活動をどのように行っていますか

掲載グラフなし。

⑩ インターネットによって受注に成功したのは何社ありますか

1) 資本金別データ

2) 業種別(成功会社数)データ

⑪ 受注先の業種、製品は何ですか

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その18

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その18

⑦ コンピューターによる発注を行っていますか

1) オンライン発注を行っている企業の従業員別

2) オンライン発注を行っている企業の業種別

3)インターネットを使って発注している企業の従業員別

4)インターネットを使って発注している企業の業種別

⑧ インターネットによる受注又は受注活動をしていますか

1) 全体データ

2) 資本金別データ(受注を行うつもりはない企業を除いた)

3) 業種別データ(受注を行うつもりはない企業を除いた)

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その17

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その17

④ コンピューターシステムの運用について

1) 資本金別による分類

1) 業種別による分類

⑤ コンピューターによる受発注システムのメリットについて

1) 従業員規模別による分類

2) 業種別による分類

⑥ コンピューターによるオンライン受注は何社と取引がありますか

1) 全体のデータ

2) 従業員別の分類

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その16

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その16

3.アンケート結果の分析詳細

アンケートの結果を、資本金の規模、従業員の規模、業種による分類等の分析結果を以下にグラフのみを記載する。

(2)アンケート結果の分析

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その15

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その15

(14)その受注先とは今後も継続して受注が望めそうですか

図4.2.14.1に今後もその受注先と継続して受注が望めそうかどうかを質問した結果を示す。受注に成功した企業の80.6%までが、今後も継続して受注が望めそうだとしている。業種別では、電気機械・部品製造業が8.3%、一般機械・部品製造業が22.2%、輸送用機械・部品製造業が5.6%、家具・木工製品製造業が2.8%、ゴム・樹脂製品製造業が5.6%、鍍金・表面処理業が2.8%、あとその他である。一般機械・部品製造業の割合が高くなっている。図4.2.11.1 受注先業種、製品別割合では割合の多かった、電気機械・部品製造業の割合がここでは低くなっているのが注目される。

(15)今後もインターネットによる受注を増やしますか

 表4.2.15.1 今後インターネットによる受注を増やすかに示すように、回答のあった企業100%が増やすとしている。

(16)受注に成功した要因は何ですか

 表4.2.16.1 受注に成功した要因に示すように、受注に成功した要因の主なものは「自社の技術をアピールして認められた」というものである。そのうち、自社の技術力をアピールして認められた企業の業種別による分析を図4.2.16.1に示す。電気機械・部品製造業が20.0%、一般機械・部品製造業が28.0%、輸送用機械・部品製造業が0%、家具・木工製品製造業が4.0%、ゴム・樹脂製品製造業が8.0%、鍍金・表面処理業が4.0%、その他が36.0%である。電気機械・部品製造業と一般機械・部品製造業の割合が高いが、輸送用機械・部品製造業が0%というのは特徴的である。この業種の企業は多くの場合、親会社の系列傘下にあり、技術力アピールにより取引先開拓をあまりおこなう必要性がないのではないかと考えられる。

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その14

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その14

(12)受注に成功した納入先は従来取引がありましたか

受注に成功した取引先のうち、新規の取引先は76.3%であり、そのうち1社がそうであったものは44.7%、2社がそうであったものは13.2%、3社以上がそうであったものは18.4%である。一方、従来からの取引先であるものは23.7%であり、そのうち、1社がそうであったものは10.5%、2社がそうであったものは2.6%、3社以上がそうであったものは、10.6%である。インターネットによる受注活動は新規の取引先の方がはるかに多い結果である。従来の取引先はインターネットによらなくても従来の方法で発注しているものと考えられる。

図4.2.12.2にe-ビジネスの形態による新規の取引先と従来の取引先の差を示す。受注獲得を成功した一般企業では新規の取引先が7.9%、従来の取引先が10.5%であり、従来の取引先がやや多い。M/P参加企業は新規の取引先が68.4%、従来の取引先が13.2%と圧倒的にM/P参加企業が新規の取引先から受注に成功した割合が多くなっている。

(13)インターネットによる受注金額はどれくらいですか

受注金額の質問の結果は、図4.2.13.1に示す。1千万円以下が70.0%、1千万円から3千万円までが、13.3%、3千万円から5千万円までが6.7%、5千万円から1億円までが10%となっている。インターネットによる取引き金額はまだ少ないといえる。

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その13

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その13

(10)インターネットによって受注に成功したのは何社ありますか

 この質問に対し、M/P参加企業では回答企業65社のうち、受注に成功した企業29社、45%である。このうち、図 4.2.10.1に示すように、1社からの受注が15社で回答企業の23%、2社が5社7.7%、3社が2社3.1%、4社以上と答えた企業は7社11%であった。受注に成功した企業の半数が1社から受注の実績がやっと出来た段階である。しかし、既に4社以上から受注した企業は7社あり、ネット受注に積極的に取り組んでいる企業もあることは見逃せないことである。一方、図では入れていないが、一般企業では1社から受注と2社からが夫々1社、4社以上が2社あった。

        図 4.2.10.1 インターネットによって受注に成功した企業

 (M/P参加企業)

 これを業種別に見ると図 4.2.10.2に示すように一般機械・部品製造業が10社34.5%でもっと多く、電気機械、輸送用機械部品製造業は各3社、2社にすぎない。これらの企業は大手企業の下請で従来方式の受注が多いためとおもわれる。

 図 4.2.10.2 業種別受注企業数

(11)受注先の業種、製品は何ですか

インターネットによる受注に成功した受注先の業種、製品を質問した結果を、図4.2.11.1 受注先業種、製品別割合に示す。電気機械・部品製造業の割合がが34.4%ともっとも高く、一般機械・部品製造業が12.5%、輸送用機械・部品製造業が9.4%、ゴム・樹脂製品製造業が9.4%、その他が34.3%となっている。

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その12

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その12

(8)インターネットによる受注又は受注活動をしていますか

 この質問に対し,一般企業では回答企業27社中受注していると答えた企業は4社16%、受注活動中は2社にすぎない。今後受注活動したいとした企業が40%であった。尚、インターネットによる受注をするつもりはないと答えた企業が、11社30%あった。

 一方、M/P参加企業では受注している企業は45%で半数に満たない。受注活動中が38.7%、今後受注活動を行いたいが19.4%あったが、これはM/Pに登録しているが受注実績がないので、更に積極的に受注活動を行う意味と考えられる。

(9)インターネットによる受注活動をどのように行っていますか

 この質問に対し、一般企業ではインターネット購買を行っている企業のHPにアクセスしたと答えた企業が4社、自社のホームページへの他企業からのアクセスが1社、電子商取引サイトに登録している企業が1社、その他が5社であった。

 一方、M/P参加企業では、電子商取引サイトに登録している一方で、図 4.2.9.1に示すように、インターネット購買を行っている企業のHPにアクセスをしたと答えた企業が23%、自社のHPによる一般への受注活動を行っているとした企業が49%あり、M/Pに登録しながら、さらに、積極的にインターネットを使って受注活動をしている姿が伺える。

さらに、電子商取引サイトに登録している企業を業種別に見ると、図 4.2.9.2に示す通り、電気機械、一般機械、輸送用機械部品製造業を中心に幅広い業種にわたっている。