奥田 碩の講演会 その17

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その17。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

四つ目はグループ総合力の強化に向けたグループの事業構造の再構築ということであります。

先ほども触れましたように国際的な合従連合は進みまして、将来は全世界で4,5社しか生き残れない。

こういう風に予想される超競争はまさにグループ対グループの競争になると思います。

言葉を変えて申し上げますと、トヨタグループの固い結束力と総合力がますます問われるわけでありまして、技術・品質・生産・販売・流通こういったあらゆる分野で他社にマネのできない革新的な競争力を確立していると共に高い付加価値を生み出し確実に収益に結び付けることができる。そういうことができる企業構造に転換していかなければならないわけである。

そのためにグループの事業構造の最適化に向けて取り組む必要があります。

まずグループ各社の皆さん方にはそれぞれが他の追随を許さない、コアコンピタンスの確立とコスト競争力の強化に取り組んでいたということが必要であります。

特にこの会社には現在世界ナンバーワンの〇〇〇機を始めから△△△△△分野でも世界の技術革新をリードして私どもの次世代モビリティ開発のデファクトスタンダード獲得に向けて、その先兵の役割を果たしていただいていただきたい。このようにお願いしたいと思います。

今後の自動車産業の競争力を左右する環境・安全・情報などの重要技術開発分野でのデファクトスタンダード獲得競争とモジュール化、システム化こういったものの推進をより一層のコスト競争力の強化を図っていくために現在、技術・調達分野でトヨタグループで協業体制を進めておりますが、今後はさらにこれを強化してトヨタ車の革新的な性能向上、あるいは開発の効率化、低コスト化の実現に向けてグループ一丸となって進めていく必要がある。とこのように考えております。

生産につきましても、もちろんコストと効率化。あるいは需要変動へのフレキシブルな対応などの観点からボディメーカーと私どもの内製工場を含めてグループ全体として最もベストな体勢を再構築していく必要があると考えております。

またダイハツさん、日野さんとの連携を強化して最終的に国内関係シアで40%以上という目標達成に向けて頑張っていきたい。というふうに考えております。

繰り返しになりますが、これからはグループ対グループの競争の時代でありましてグループ一体となって結束力を高めて総合力の強化を図っていかなくてはならない。そういう時代であります。

私どもが世界市場のメジャープレイヤーを目指すという目標に向けて4点お話しいたしましたが、申し上げるまでもなく取り組みにあたってはスピードということが最も重要なことであります。

論より実行すること。熟慮することよりもむしろ拙速。そして場合によっては走りながら考えて判断し、また速やかに実行に移していくと。そういうことが必要であります。

これを私共経営者はもとより従業員一人一人が日々の業務において実践すること。

そういうことが何より重要である。とそういう風に思っております。

奥田 碩の講演会 その16

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その16。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

三つめはグローバルマネージメントの改革ということであります。

先ほども触れましたように今や販売・生産そして収益の上とは大きく海外に依存している。とそういう状況になっておりまして、販売目標の達成や収益確保という面ではマネージメントもグローバルに全体最適を目指した意思決定がスピーディーになされるということは不可欠あります。

迅速な意思決定にはグローバル組織の責任と権限が明確でなくてはならないというわけであります。

現在日米欧とアジアとこの4極とグローバル本社といった構想のもとに、現地で対応できるものは可能な限り現地に任せてグローバル本社は全体最適という観点から地域別、事業別あるいは車種別をスルーに管理して経営資源の有効活用。

こういった側面から即座に意思決定が出せる体制の構築に向けての取り組みがトヨタでは進んでおります。

収益任責任などは曖昧な現在の機能別組織を見直して、責任の所在が明確でしっかりと成果が評価できる、わかりやすいマネージメント単位の組織に変革していく必要があるからであります。

マネージメントの改革は単に私ども内部のオペレーションの実行だけでいくという面だけが重要なのではなく、私共の資産効率、投資効率を向上させて株主に評価してもらい、また経営の安定を図っていくという面でも極めて重要であります。

もはやメインバンク制とかあるいは株式持ち合い、こういう仕組みは崩壊しまして企業が自己責任のもとに直接資金を市場から調達する。こういう時代になっております。

経営の安定を守ってくれるのは安定株主であります。そのためにはグローバルに資産効率あるいは投資効率を高めて市場から評価される企業となっていかなくてはならないというわけでありますが、本年10月私どもがニューヨークとロンドン市場に上場したのはこれはグローバル企業として生き残っていくために避けて通れない道であると判断して決断した次第であります。

私どもの経営を理解して評価してくれるたくさんの世界中の安定株主を確保するためにもマネジメントの改革は一刻も早く実現していたではない。そういう課題であると考えております。

奥田 碩の講演会 その15

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その15。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

次に申し上げたいことは我々はグローバルなコスト競争に打ち勝つためには、企業活動のあらゆる分野で徹底的に効率化を図り、筋肉質でスリムな企業体質を作り上げていかなくてはならないということであります。

技術開発分野でデファクトスタンダードを獲得している取り組みと共に企業の成長のもう一つの源泉はコスト競争力の強化ということであります。

これはものづくり企業にとって永遠のテーマでありまして、社会的な競争激化は確実にコストの削減圧力となって働いてくるということは予想されます。

一方先ほど申し上げましたように我々の将来の成長の糧となる技術開発投資やあるいは海外プロジェクトの推進には膨大な投資が必要であります。

しかし商品の価格というのはお客様が決めるものでありまして、いかに投資がかさむからといってこれを製品価格に転嫁するという事は出来ない相談であります。

さらに適切な収益を確保できなければ株主への責任も果たさないばかりでなく、また従業員の努力にも報いることはできない。

ということになりまして、こうした2列にも3列にも背反するような問題をクリアしていくためには、これまでにない画期的なコスト削減、あるいは経営資源の有効活用することが必要となってくる。とこういう時代であります。

30%を40%大幅なコスト削減は従来の延長線上での発想では絶対困難であります。

ものづくりの源流から発想して、仕組みを根本から変えるという発想で取り組んでいかなくてはならない。そういうふうに思っております。

私はこうした取り組みに絶えず挑戦して、その目標を確実に達成していけるかどうかということが企業としての若さであろうと常に思っております。

トヨタはコスト競争力についてはどこよりも強いと言われてきましたが、その言葉に甘んじて自分たちが世界一だと思い込んで、いわゆる「裸の王様」になってはならないと思います。

今は若干そういう傾向も謙虚に見ているわけでありまして、これを見直してグループ全体としてもこれまで以上に強力に取り組んでいく必要があるとそういうふうに考えております。

開発期間の短縮、あるいはプラットフォームの総合、部品の共通化モジュール化、システム化の推進さらには研究開発費、設備投資等の固定費の削減。

こうした取り組みを規模だけではなく、いつまでにという時間軸も視点において強力に推進をしていかなくてはならない。というふうに考えます。

また取り組みにあたっては、他社の取り組みを徹底的にベンチマークしながら良い点は積極的に取り入れていく。

また本来あるべき姿は何か。こういった視点から思い切って目標を設定して従来の仕組みを根本的に変えていく。

と言ったつもりで多忙にも果敢に挑戦していく。こうした取り組みが必要である。とそのように考えます。

奥田 碩の講演会 その14

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その14。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

さらに情報分野でございますが、来るべきカーマルチメディアの時代の本格的な到来や、ITSを睨みまして開発競争が本格化して電機メーカーをはじめ様々な業種が参入するなど、文字通り産業企業の壁を越えた競争が始まっております。

この分野でも絶対に負けるわけにはいかないわけでありまして、特にこの分野で〇〇〇企業への私共の期待は非常に大きいわけであります。

そこに ITS の分野はより良い次世代モビリティ社会の構築を目指して社会インフラの整備などを政府、協会、学会などが協力して進めていかなくてはならない領域でもあります。

私どもはユーザーに一番近いというメリットを活かして、常に推進のリーダーシップをとっていくつもりで取り組んでいく必要がある。そのように考えております。

さらにもう一つリサイクル技術の向上はもう絶対に重要な要件であります。

リサイクル技術の向上によって有限な地球の資源が100%再生可能になるということであれば、環境技術を駆使した新しい製品にはどんどん買い換えも起こります。

その結果経済は活性化してさらに新たな技術革新も生まれてくる。とこういった好循環な社会が生まれてくる。とこういう風に思います。

私どもはこうした高循環大人間社会を実現するべく、車の開発から生産・販売・流通そして廃棄に至るあらゆる分野でリサイクル技術の向上を目指していくことが重要であると考えております。

先ほども触れましたように、今後はこうした環境関連をはじめとした技術のデファクトスタンダードを握った企業が21世紀のリーディングカンパニーとして大きく成長していく時代であるということを、ぜひしっかりと認識をしていただきたいと思います。

私どもはグループの総合力の結晶はもとより自前の技術にとらわれず、業界の枠を超えて幅広く御先端技術の吸収に努めていくつもりであります。

同時に製造技術についても新たな進化の時にあると、そういうふうに思います。

ご存知のように日本の高齢化少子化社会というのは急速に進展しております。

また労働力という面では女性や高齢者の方々にどんどん働いていただく機会が増えるのではないか。現在の状況ではそういうふうに考えております。

そのためには誰にでも簡単にいや使える機械の開発はもとよりそれを効率的に運用するノウハウの向上を図り、また女性や高齢者にも優しい製造技術の確立に向けて取り組んでいく必要があります。

さらに先ほど触れましたようにリサイクル技術も組み込んだ製造技術を作っていくということも必要であります。

私どもはこうした観点で新しい製造技術の確立に向けまして取り組みを進めております。

奥田 碩の講演会 その13

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その13。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

また将来の環境技術として注目を集めております燃料電池につきましても、排出するのは水蒸気のみといった理想的な動力源でありますが現在この開発を巡ってすでにダイムラー、クライスラー、フォード、バラード、シェルとこういった大連合が結成されまして、ベンツやフォードは2003年には燃料電池車を投入する計画とかそういうふうに聞いております。

今年トヨタグループ各社からこの分野の開発のスペシャリストを幅広く集めまして東富士に FC 企画部というのを設立致しまして、実用化に向けて取り組んでおりますが、これはこの分野で何が何でも負けるわけにはいかない。と考えているから行ったことでございます。

しかしこの燃料電池を使った車は実用化させるには、どのように燃料である水素方式として純水素やエタノール天然ガスあるいはガソリンといったものなどから排出などを様々な技術開発が行われております。

さらにそのための供給インフラの整備をどうするかといった大きな課題もあります。

また自動車メーカーとしての課題の一つに燃料電池の性能をいかに車に反映させるかということあります。

実は燃料電池も車としてシステムを構築する場合は、燃料電池とバッテリーを持ったハイブリッド方式によって最高の効率を追求することはできるわけでありまして、私どもは現在増えるセルハイブリッドとこういう風に位置付けて開発に取り組んでおりますが、常にその開発の先頭を走るつもりで取り組む必要がある。このように考えております。

奥田 碩の講演会 その12

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その12。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

こうしたチャレンジングな課題を達成するために今私どもがどう取り組もうとしているのか。

技術革新あるいはコスト競争力を軸とした企業体質の強化。それからグローバルマネージメントの改革。そしてグループの事業構造の再構築といった四つの側面からお話をしてみたいと思います。

まる第一は先進的な技術開発への取り組みということであります。

先ほど自動車産業はまだまだこれからの産業であって、今新しい局面に差し掛かっていると。こういう様に申し上げましたが、これは我々が先端技術開発によって地球環境問題を克服し、またかつ、高度情報化社会にも適用した次世代のモビリティを開発していけるかどうかということにかかっていると思います。

現在世界の各メーカーが次世代モビリティの開発を巡って凌ぎを削っておりますが、その中でいわゆるデファクトスタンダードを獲得した者だけが、市場を制して21世紀のデファクトカンパニーとして大きく飛躍していける。とそういうことになるわけであります。

すなわち勝者と敗者というものがはっきり区分されるということになります。

敗者にとりましてはこれまでの製品開発に要した膨大な費用を回収できないばかりでなく、その企業の傘下に取り込まれかれない。とこうした厳しい時代に現在突入しているということを忘れてはならないと思います。

ご承知の通り私どもは一昨年世界初の量産車として、ガソリンエンジンと電気モーターを併用したハイブリッド車プリウスを投入したわけでありますが、これは環境に対する私どもの企業姿勢を内外に明確に示すというだけではなく、このプリウスによって先鞭をつけたハイブリッドの方式を環境対応技術を巡る技術開発の主流に育て上げまして、そのデファクトスタンダードを獲得していく。とこういうつもりで取り組んでいる。ということで始めたわけです。

プリウスは既存車を遥かに上回る性能や快適な居住空間を確保するとともに、燃費あるいは CO2削減などを良好なコストパフォーマンス。さらにガソリンスタンドなど既存のインフラ設備の活用ができることなど、決して言われております我慢車でなく、実際実質においても普及の条件を十分満たしているシステムを備えた車であるというふうに考えております。

私どもこの先鞭をつけたハイブリッド方式は様々な導入技術の長所を組み合わせて最高のエネルギー効率、すなわち低燃費を達成できるということで無限の広がりをもつ技術であると思います。

私どもが今回東京モーターショーに出品いたしましたミニバンタイプの4 WD のハイブリッド車は2.4 L 2タント CVT。 そしてフロントモーターを組み合わせた高効率のパワートレインがありまして。さらに後車軸にモーターをもちましてプロペラシャフトのない電気式の四輪駆動システムとなっております。

この技術によって同クラスのミニバンの約2倍の燃費を達成するなど新しいハイブリッドの方向も具現化されたということもございます。

ホンダが本年市場投入してきましたが、私どもは2年のアドバンテージを生かしてこの分野ではトヨタの方式がデファクトスタンダードだと。そういう体制をこれからしっかり築いて行かなくてはならないという現状でございます。

奥田 碩の講演会 その11

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その11。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

次に国内市場でございますが、申し上げるまでもなくグローバル経営を進めていく上では海外と並びまして私どもが寄って立つもう一方の柱でありまして、量、収益の両面とも安定した強化のものとして行かなきゃならないという状況であります。

しかし国内市場は残念ながら既に成熟化して長引く不況の中で、総市場は昨年が588万台。これは90年代に入って最低の水準となりました。

本年につきましても枠の拡大した軽自動車の需要の増大、新型のリッターカーを中心としたコンパクト乗用車市場での盛り上がりはあったということはございますが、市場全体を活性化するまでには至らずに残念ながら全体としては昨年とほぼ同じレベルにとどまる。

この水準は、実は需要のピークでありました90年777万代からは約200万台弱の大幅な減少ということなってることに加えまして、売上高や収益という面でみましても利幅の小さいテイクアウト車のウエイトが高まっていることから、大変厳しい状況にある。

しかし市場が大変厳しいと言うだけでは何も前進ができないので、市場からのメッセージを俊敏に読み取りまして、次の出荷に活かしていく。とそういうことが重要であります。

こういった意味ではこの2年間に、軽自動車やあるいはリッターカーを中心とする小型車の総市場に占めるウエイトが急速に日本の中で高まってきているという現象が、果たして単に長引く不況あるいは人々の先行きの不安を反映したそういうものなのか。

それとも欧州の市場のように大型車か小型車だ。こういった二極化の現象に向かう構造変化が日本でも既に進みつつあるのか。

税制のグリーンカーなどの今後の法制の動向や、人々の地球環境問題に対する意識の変化なども含めて、多面的に分析検討して、今後の拡販に向けてあらゆる分野で早急な対応をとっていく必要があるところにかかっております。

幸いトヨタの本年の市場につきましてはオールトヨタの一丸となった取り組みによりまして、長年目標にしておりました除軽市場は40%以上をたぶん上回ることは多分は守ることができると思います。

これはここ数年取り組んで参りました需要創造型の商品、あるいは価値創造型商品の開発等。

さらにネッツ店などに代表される新しい販売手法などの取り組みが徐々に成果を上げてきた。そういうことであります。

しかし国内での圧倒的優位確保に向けては、ただいま申し上げました市場の変化が伝えるメッセージをいち早く的確に読み取ることと、それをまた拡販につなげていく。

とこういった努力あるいは収益向上への取り組みということに加えまして、価値観の多様化あるいは情報化社会に適応した新しいマーケティング手法、あるいは販売手法の開発など各々の分野で取り組みを片時も慢心せずに確実にスピーディーに進めていかなくてはならない。といった状況にあると思います。

また日本メーカーの体力も弱ってきているということもありまして、世界第二位のマーケットである日本市場をアジア戦略の拠点とするべく欧米メーカーが、今が色んな意味で進出の絶好のチャンスと捉えまして、日本メーカーとの戦略的な提供を始め、買収も含め各種の攻勢をかけてきている。というのが現状であります。

自動車メーカーの再編は決して日本市場だけでのものではなく、私どもはあらゆる分野で改革のスピードを上げて一刻も早く盤石の体制を築いていくつもりで取り組んでいく必要があるとそのように思います。

以上21世紀の初頭におけるグローバルな販売目標を中心にお話をいたしましたが、私どもがグローバル経営を円滑に進めていくためには、各地域の事業体でそれぞれ収益構造の改善に取り組み収益面で見ても自立性を高めて、事業を進めれば進めるほど、販売あるは収益この両面で足腰の強いグローバル企業になっていうことが必要であるし、そうになるべきであると考えております。

奥田 碩の講演会 その10

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その10。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

アジアの諸国を中心とした発展途上国につきましては、通貨危機あるいは政治問題などいろいろ問題ができておりますが、長期的には先ほど触れましたように成長ポテンシャルは非常に高い市場でありまして、欧米メーカーもここに向かって果敢な攻勢をかけてきているという状況であります。

しかしこの地域は我々の21世紀の成長の源泉でありまして、絶対にこの地域で日本勢が負けるわけにはいかない。こういう市場であります。

しっかりと足元を固めて取り組んでいく必要があります。

幸いアセアン諸国の経済は2年前にタイのバーツから始まりましたが、通貨危機の端を発して深刻な袋から抜け出しまして、急速な回復を見せ始めております。

本年度当は 3%から5%で経済成長している。この2年間の遅れを複数年のうちに必ず取り戻す。こういう市場になると思っております。

さらに中国、インドあるいは中欧、東欧、ロシア、ブラジル、アルゼンチンこういったいわゆるエマージングマーケットの中で非常に大きい人口規模を持った国。しかしその反面自動車保有率は極めて低く、今後モータリゼーションの進展が期待できる国々もございます。

私どもは21世紀の自動車事業の発展をこれらの潜在市場に求めておりまして、ここ数年でこれらの地域でのプレゼンスを確保するために将来に向けた成長の布石は着実に打ってきている。とこういうふうにしております。

しかしご存知のように一方でこれらの国々は、政治あるいは経済で常に不安定な要因を抱えております。いわゆるカントリーリスクの高い地域でありまして、効果的なリスクヘッジの研究などリスクマネジメントの強化を図っていく必要があります。

言ってみればこういった国はこれまで我々が海外で進出した国々に比べて格段に市場参入が難しい、あるは市場で成長するには難しいそういう国でありまして、これから進出するにつれてそれに比例するように困難さ、そういうものが出てくる。こういう市場であるところです。

ところで、こういったアジア地域をはじめとして20世紀に発展の期待される途上国への取り組むにあたっては、これらの国々の多くが実は自動車産業を自国の産業の振興の柱としたいという気持ちを持っておりまして単に固有市場マーケットしとしてみるのではなくて、こうした意向を大切にしながら現地の発展に貢献する産業協力の姿勢をとるということが不可欠なことであります。

場合によっては20年あるいは30年ほどといった長期的な視点で、取り組みをする。こういう必要が出てくる。そういった国です。

奥田 碩の講演会 その9

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その9。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

しかし私どもは何が何でも勝ち残って行かなければならないわけでありまして、こういう意味で私どもは当面の目標として21世紀初頭のグローバルの販売で昨年の販売464万台、これから600万台程度に、すなわちグローバルシェアでは10%以上とこういうものを確保していきたい。というふうに思っております。

この目標は海外では約400万台、国内が200万台から250万台を目指すというものでありまして、現在の状況から判断して極めてチャレンジングなものであるとそういうふうに映ると、そういうふうに思います。

多少くどくなりますが海外について若干申し上げますと、米国は何と言っても収益あるいは販売台数の柱でありまして、我々は日本に次ぐマーケットとして育成強化をしていきたいと考えております。

あるいは場合によっては日本よりもさらに大きいトヨタにとってマーケットになる可能性もある。とそういうわけであります。昨年販売では136万台からの数字があったわけですが150万台以上の販売台数を確保して、シェアにつきましても米国の平均年間レベルアップ1500万台と言われておりますが、この10%程度を目指していきたい。というふうに考えております。

しかしこの米国の1500万台の市場というのは今後、紆余曲折ありますが確実に上方に向かって成長していくとこういうことはですね、米国の人口が今後着実に増加していること。という傾向にあるということを考えますと、非常に有望でありまして、ここに対して相当な経営資源を注ぎ込んで行く。ということが大事だとそういうふうに思います。

また欧州につきましてはフランスで2001年の現地生産立ち上がりを軸に昨年の54万台の販売から80万台程度。シェアで5%ぐらいを確保したいと考えております。

ご承知の通り欧州はフォルクスワーゲン、オペル、フォード、ルノー、フィアットどのメーカーも強者揃いで大変競争の激しいところでありまして、その中で量的な拡大あるいは質的な拡大を図っていくためには、商品・コスト・販売力の強化を始めブランドイメージの向上など、今後ヨーロッパで取り組んでいかなくてはならない課題はたくさん抱えております。

しかし私はそういう厳しい所でもまれて勝ち抜ける力を身につけてこそ、世界史上でメジャープレイヤーとして存在していける力がついてくる。とこのように思っております。

幸い欧州で本年、新たに投入いたしましたヤリスが、欧州で最も権威があります欧州カーオブザイヤーを獲得することができたということは、非常に画期的なことでありまして、これは新たに飛躍に向けたステッピングストーンとして一つ一つ着実に、そして場合によっては欧州メーカーとの戦略的な地域提携、ということも視野に入れて取り組んでいきたい。というふうに考えております。