このモデルにおいて、一般的にバイヤーは基本的に大手企業であり、セラーは資材の納入業者であると想定される。中小企業はセラーにあたる。この場合、Netを開設し運営にあたるのはバイヤーである大手企業である。バイヤーである大手企業の第1の目的は、従来の固定的取引関係の枠を外し、多くの引合い案件を獲得することによる、仕入価格の引下げであると考えられる。バイヤーである大手企業と従来から安定的な取引関係にあったセラーである中小企業は、新たな競争相手の出現により、激しい価格競争にさらされることになる。これにより、長年かかってサプライヤーとの間に築いてきた、友好かつ信頼的ともいえる戦略的関係を真っ向から覆すことになりうる。その意味で、大手企業のあらゆる部分でこのモデルが採用されていくことは必ずしもその企業の戦略上好ましいとは言えないものと考えられる。あまり専門的に特化しないか、技術的に成熟した原材料や部品等の製造財や、MRO(Maintenance, Repair and Operating)と呼ばれる消耗品や各種サービス等の非製造財が中心となろう。今後、大手バイヤーがNet調達をさらに進めていくことが考えられるが、中小製造業においては、これらの特質を持った製品・サービスを展開することが有効であると考えられる。