労災事故の損害賠リスクに関して上乗せ保険の重要性について書いていきます。 その4
そして次に言われるのは、何のために労災入ってるんですか?強制加入労災は何のためですか?
ということですが、
(3) 労災保険給付との関係
この法律に規定する災害補償の事由について,労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては,使用者は,補償の責を免れる。
2 使用者は,この法律による補償を行った場合においては,同一の事由については,その価額の限度において民法による損害賠償の責を免れる。
→ 労災保険給付が支給された場合,その価額の限度において,民法上の損害賠償の責任を免れる。
→ 労災保険給付が被災労働者の損害を全て補填しない場合,使用者は,その不足額について損害賠償義務を負うことになる。
これが労災保険給付との関係ということで、労基法84条ですが簡単にいうと労災でいくらか支払いがされましたがその分は支払い義務を免れますということになります。
例えば会社は1,000万の支払い義務を負っておりますと、それで労災から仮に300万の支給がありました。そしたら、まあ1000-300ですから残り700万円払いなさいということになる。
不足額については賠償義務を負うことになると思っています。
その労災保険給付にいろんな種類があります。
その全部が損害賠償の金額から控除されるわけではない。
控除されない典型例としては、特別支給金。そもそもこの特別支給金。というのは労災の目的の中の社会復帰の促進。要するに福祉的なところでお金払っているものであるから、これを損害賠償金からあの控除するのは相当ではない。そういう最高裁の裁判例があります。
なので、前述した300万円のうちの通常のその労災保険給付が100万円で、特別支給金が200万円であったとした場合は、1000万の損害賠償で、300万円もらったその労災保険のうち損害から引けるのは100万円だけということになってしまう。
それはおかしいと言われる会社の方もいますが、そこのところを争ったとしても結局、最高裁でこういう判決が出ていますから、それを争うだけ無駄です。争っても裁判所からそれに近いことを言われてしまいます。
つまり労災保険入っていて、そこから一定額支払がされたからといって、そもそもの金額が足りないです。さらにもらった金額も全部がひけるかというと、それだけではないということになってきます。