谷口孝男語録 その5

社長になった谷口孝男さんが昔し語った話を書いていきます。

なかなか良い話しがあります。  その5

今日は具体的な話よりも、物の見方・考え方について話してみたい。何をどうするかと言うのは早過ぎると思うので、その前の段階、すなわち現在をどう見るかと言う訓練をしないといけないと思います。

TQCを勉強してQCセンスは皆さん身についていると思います。しかしTがつくと、TはトータルのT、すなわち全体のTであり、トップのTでもあります。トップと全体はイコールであるわけですが、このTのセンスがなかなか難しいわけです。

前述の上司の立場を考える訓練をしているとTのセンスは身につくわけです。社長の立場を考えてものを見ているとTのセンスは身につきます。

我々は不幸にして担当から上に上がってきているので、私は入社したら社長にしてやってやったらTのセンスが最初からつくのではないかと、そうすれば担当になった時、ものすごくやりやすいのではないかと、こう思うんですがね。下から上がっていくのでいけないのではないかと。Tのセンスと言うのはこのことです。全体を見ると言うことです。

それから、本質を見よう、見えないものを見よう、未来からものを見よう、外からものを見よう、ということについて今日は雑談を交えながら話していきたいと思います。

ここで息抜きして、戦鬪機とレーダーという話しがありますが、これは自分で考えた言葉で、現場を見ていて苦しんだあげく私がいつも言っている言葉なんですが、レーダーというのはクルクル回っていて、敵機が写ると、「それ!敵機だ」といって走り出すわけです。戦闘機に乗って敵機を落とそうとするわけです。

皆さんもほとんどそういったタイプではないかと思います。問題があるとすぐレーダーから離れて、自分がリーダーとなって問題対策に頭が行ってしまうでしょう。そうではありませんか。その時敵機が来たらどうしますか。

だから、管理者というのはレーダーから離れてはいけないんです。敵機に対策するには係長以下がいるんです。係長以下に任せてほしいと思います。自分はレーダーのところにいるべきです。

ただし、管理者といっても本当は課長ではなく部長の役割だとは思いますがね。すなわち、ある部屋に作戦室というのがあって、そこに世界地図があって、世界のマーケットが広がっていて、椅子に座ってグルグル見回している。

例は悪いんですが、品質問題が出たとします。トヨタからミッションが壊れたのでどうしてくれるとか、市場で問題が出たというとリーダーと走り出すわけです。おそらく皆さんも走り出すと思います。自分の責任だから。走っている間この問題は解決の方向に行くんですが、その間に次の問題が出つつあるかもしれません。

これをどうやって見つけるか。私はこれを後手管理と言っています。受信と発信という話しがありますが、これは受信です。問題を言われたから対策をしているんです。皆さんが係長の時は受信管理です。何か言われたらやる。目標を与えられたら目標通りやる。目標をいかに効率よく、早く、的確にやって、目標を達成するかということだったと思いますが、これからはこの目標でいいのかという立場でものを見てほしいと思います。すなわち、目標を作る側に立ってもらいたいと思います。

カテゴリー: AW

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