労災の上乗せ保険の重要性 その12

労災事故の損害賠リスクに関して上乗せ保険の重要性について書いていきます。 その12

損害賠償額の試算事例ケース2の続き。

(注2)死亡慰謝料について

本件では,被災労働者は一家の支柱であり,死亡慰謝料は2800万円を一応の原則とする。ただし,脳梗塞の発症前の残業時間が100時間超であったにもかかわらず,会社が時間管理を行っていなかったことを考慮すると,死亡慰謝料が増額される可能性は高い。

※1)原則として2500円から3000円の範囲というところです。一家の大黒柱の大事なお父さんです。扶養する家族がまだいます。というところで2800万円。

※2)亡くなる前に残業時間100時間超で、そこのところについて会社がきちっと対応してないということで会社側の対応問題があったり、悪質だというふうに裁判所に悪い心象を持たれる可能性はある。そうなると、死亡慰謝料が増額される可能性というのは高い。

(注3)既払金について

    労災保険給付のうち,特別支給金,特別一時金は損益相殺の対象とはならない。

本件では,遺族補償年金が支給されているが,使用者は,遺族補償年金前払一時金相当額(給付基礎日額の1000日分)につき,損害賠償の履行を猶予される(労働者災害補償法64条1項)。

このため,本件での既払金は,1451万7760円となる。

    [計算式](13,696円×1,000日)+821,760円=14,517,760円

※1)遺族年金が支給されているが、労災補償法上は、その前払一時金相当額については、損害賠償の履行猶予される。要するに1000万もらえるまでは、その分については払わなくて良いという規定があります。

※2)損害の合計額から既払金を引いて弁護士費用として10%加算すると、7100万円、7千万円強になる。あとはこれにプラスして、まあ遅延損害金とか、依頼した方の弁護士費用が発生してきます。

※3)仮に残業100時間超というものがそもそも未払いがあったとした場合は、当然、それに対する賃金及び割増賃金の請求も出てくる。

※4)悩ましいのは前述の訴訟の長期化になると死亡による損害賠償と残業の請求二本立てで持って来られた場合に残業について争いたい。時間が経てば経つほどの元となる金額が大きいから遅延損害金がどんどん増えます。そうなると、どっちをとるか、そういう難しい選択肢を迫ることになります。

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