働きながら治療 その5

今回は働きながら治療を支援する両立支援制度という内容の働きながら治療 その5です。

前回までは仕事と治療の両立支援のなかみについて書いてきましたが、この中身に基づきまして具体的に規程の例を挙げます。

働きながら治療を支援する両立支援制度規定という規定です。

具体的にしてどういった内容であることを書きます。

まず対象者はこの規定では勤続3年以上の正社員に対して適用するということにしています。

次は対象となる病気は次の5つとしてます。

一つ目がガン

二つ目が脳卒中

三つ目が心疾患(心筋梗塞とか)

四つ目が糖尿病

五つ目が肝炎

です。ここでは五つに限っていますが、当然その時の事情とかで実態に合わせて病気の種類は柔軟に対応されて良いと思います。

次に前述した環境整備については、前述したとおり研修の実施。相談窓口の設置。あるいは衛生委員会の審議そういったものをします。

次に手続きは、まず従業員が主治医の意見を記した書面を会社に提出して、会社はその意見を参考にしてかつ産業医の意見を参考にして就業上の措置を決定する。

この際に会社が主治医と面談ということですがそれを円滑にするためにお勧めするのが

「診療情報提供に関する同意書」

をご本人さんからいただくことをお勧めする。

この医療情報というのは個人情報の中でも機微なものになりますので、例えば前述の会社が主治医と面談ということですが、これは本人の同意がないとできないです。

本人が「ちょっと困ります。」と言ったら実は主治医からの直接の情報収集はできない。

今後はこういったことを配慮するうえで意見を聞きたい。会社としても話をしたいということは重要になります。その為にも本人にも同意を取ったということこの書面を残すのは非常に重要なことでお勧めします。

この規定の中では、この会社が必要と認めた場合は会社の方からこの制度を利用してくださいということです勧告するということを規定しています。

中にはそういった病気にかかって非常に体調が悪そうで仕事にも支障があるが、本人は遠慮してか会社に配慮しているか「いや大丈夫です。普通に仕事できます。」と言う方もたまにいるのですが、それはあくまでも本人の気持ちであって客観的に見るとそれは非常に配慮すべきであろうということであれば安全配慮義務の観点からもこの制度を使いなさいということが必要だと思います。

そういった意味で規定を設けています。

次に就業上の措置です。これは前述した通り就業可否を判断する。通院時間を確保する。作業の転換など業務負荷を軽減する。その他必要となる措置を実施する。

先ほどの勤務時間については半日単位の休暇制度とか時差勤務制度、短時間勤務制度、リハビリの試し出勤などを設ける。

次に休職ですが、休職については別規定がだいたい制定されていると思います。

こういった病気になると一般的には就業ができない場合は休職になると思いますが、前述したように ご本人さんが「大丈夫です。」というようなケースはあるわけです。

普通に休職となる場合は問題ないが、明らかに休職が必要だという場合は、会社が休職を命じるということもありえます。

賃金については、実際の能力とか仕事の状況によってもいろいろ検討することがあるかと思いますが、これは従業員の方との十分な話し合いが必要であります。具体的なことは個別にご相談されるのが良いと思います。

最後に前回出しました貸付といった制度もありますよということで従業員の方に安心感を抱いていただくのが良いと思います。