中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その3

中部地区中小製造業におけるB2Bネット取引の現状と課題 その3

第2章 e-ビジネスの分類(バイヤー発注システム事例)

 B2Be-ビジネスの類型化について概説する。まず、基本的な3類型である、バイヤー型、マーケットプレース型、セラー型を提示する。次に中部地区の現状として大手企業の主催するバイヤー型ネットワークの事例を紹介する。最後に、B2Be-ビジネスの内在する問題点と方向性への示唆を考察する。

1.B2Be-ビジネスの類型化

 B2Be-ビジネスをそのネットワークの形態として類型化する。これは買い手(バイヤー)と売り手(セラー)の関係においてどちらが主催しているネットワークなのかという視点での分類とみることもできる。本報告書では、但し書きが無い限り、情報ネットワークのための通信回線網とその運営システム(以下Netと略)をインターネット上に展開されるものと想定する。

図2.1. B2Be-ビジネスの類型

(1)バイヤー型ネットワーク

図2.1. B2Be-ビジネスの類型;

a)バイヤー型ネットワークに示すモデルは、ひとつのバイヤーと複数のセラーがNetを介して結ばれた形態である。この形態においては、おのずとバイヤーは複数のセラーが参加するに十分な購買力を保持していなくては成立しない。従って、この形態の例として、バイヤーである大手製造業とセラーである部品、材料等のサプライヤーとの形態が考えられる。Netの主催はバイヤー側である。従来のVANによる固定的なネットワークの延長線にあたるものであり、Netを利用することにより取引先の範囲を不特定多数に拡大しようとするものである。

(2)マーケットプレース型ネットワーク

図2.1. B2Be-ビジネスの類型;

b)マーケットプレース型ネットーワークに示すモデルは複数のバイヤーと複数のセラーがNetを介して結ばれた形態である。この形態においては、それぞれのバイヤー、セラーの規模は小さくても、それぞれの取引き能力に合せた規模によりネットワークが成立する。Netの主催は基本的に、バイヤー側でも、セラー側でもなく中立な立場の者が行うと考えられるが、セラー寄りあるいはバイヤー寄りのNet主催者も存在する。

(3)セラー型ネットワーク

図表2.1. B2Be-ビジネスの類型c)セラー型ネットワークに示すモデルは、ひとつのセラーと複数のバイヤーがNetを介して結ばれた形態である。この形態においては、おのずとセラーが大きな販売力を保持していなくてはならない。Netの主催はセラー側であり、セラーは大手企業でバイヤーは中小企業であることが多い。中小製造業の関与としては、大手の原材料サプライヤーと多数の中小製造業が取引きしている形態などが想定できるが、一般的には製品メーカーと卸業者間、卸業者と小売業者間といった流通分野であることが多い。今回の調査では事例は取り上げなかった。(1)バイヤー型ネットワークと同様に、従来のVANによる固定的なネットワークから、取引先の範囲を不特定多数に拡大しようとするものである。