労災事故の損害賠リスクに関して上乗せ保険の重要性について書いていきます。 その5
次に損害賠償金の高額化傾向ですが、これは現実だということで受け取っていただきたい。
(4) 損害賠償金の高額化傾向
① 慰謝料の高額化
② 重度後遺障害が残った場合
例)後遺障害として四肢麻痺が残存した場合
→ 逸失利益(労働能力喪失率100%+生活費控除なし)
+将来介護費(四肢麻痺の場合など)+後遺障害慰謝料
→ 損害賠償金が数億円に達するケースも多い。
まず慰謝料が非常に高額化しております。
過去の裁判例を調べて、例えば昭和の時代のある判決で慰謝料みますと、1000万円とか1500万とかなっております。最近の平成の20年過ぎになりますとケースによっては3000万円近くになっている。
慰謝料が相当高くなってきてるところがあります。
重度後遺障害が残った場合というところは、なかなかイメージし難いところがあるかもしれないが、例えば構内事故によって四肢麻痺になってしまいました。頚椎損傷して四肢麻痺になってしまいました。
そうなった場合に損害賠償としては、前述した慰謝料とあと働けないから逸失利益です。
これは将来の稼働所得に対する補償の逸失利益。
後は、これからのこの被災者の日常生活を見ないといけないというところで、介護費用というのが発生してきます。
逸失利益プラス将来介護費プラス後遺障害というところは一番大きな損害賠償として出てくる重度後遺障害がポイントです。
死亡事故の場合よりも会社が負担しなければならない損害賠償金額は高いです。
これまで過去に損害賠償額で一番高かったというのが2億とか3億とかいろいろ言われるが、それは重度後遺障害が残っているケースです。若くして不幸にして四肢麻痺になってしまいました。
例えば、20歳ぐらいから亡くなるまでの介護費用を認定します。介護費用は親族だけでいつまでもできるわけじゃない。いずれご両親やご家族がいなくなってしまった場合を考えると、職業介護人にお願いをしないといけないと。そうなると日額2万円というのもあります。
実際、例として交通事故ですけれども日額1万5千円とか2万とかの介護費用が損害として認定されたという例があります。
そして逸失利益というものです。当然、体が動かない場合は全く働けません。100%賠償しなければならないということになります。
労働能力喪失率100%プラス生活費控除なし。生活費控除というのはどういうことかというと、例えば死亡事故の場合は、まあ死亡することによって生きていれば発生したであろう生活費、食費とか色々もろもろです。そういうものを定型的に引く取り扱いです。
重度後遺障害の場合は、実際生きていて、それで色々生活をしないといけないというところがあるから、こういう生活費の控除というのはされないことになります。
過去いろいろ裁判例を見ると、そうは言っても、そういう重度後遺障害の方については、ある程度福祉とかがケアしてくれるから、その部分については実際生活費はかかりません。
そういう主張した裁判、被告の訴えられた側がいるけれども。ただ、現実問題として生きていると言うところが一点ともう一つは、福祉というものは、そもそも損害賠償から引くようなものではない。前述したように特別支給金と同じような趣旨でどれだけ手厚いケアを受けていたとしても、これを損害賠償の対象から引くということはされないと言うことになっております。
こういう逸失利益や将来介護費や後遺障害慰謝。重度の後遺障害を持った場合は、前述した通り賠償金が数億円に達するというケースが結構あります。
それを実際に払いなさいと言われた場合に、それだけのお金の準備があるか?中小企業ではないと言うところがほとんどであろうと思います。
そうなった場合にどうなるんだろうか。倒産ということになります。
会社が倒産するとなると、被災者お金もらえない。被災者だけじゃなくて、そこで働いていた人たちも職を失ってしまう。
そういうことが現実問題としてあります。
今回、数億円という話しですが、実際仕事やってるとそこまで達していなくても、例えば1,000万円とか2,000万円とかでもなかなか難しい。
じゃあ会社をたたみましょうか?と今相談されるケースもあります。
そういうところを考えると保険に入っておかないといけないのかな。