モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その10

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.1.4 日本が優位にある環境技術戦略

環境問題とエネルギー問題は、われわれ人類がその未来のためにどうしても解決しなければならない最重要の問題の1つであり、モノづくり 企業の改革にあたっても重要な観点となります。

(1) 省エネルギー技術

エネルギー自給率が 70%以上のアメリカや、100%を超えてエネル ギー輸出国となっているイギリスなどと異なり、わが国のエネルギー自 給率はわずか4%しかありません、先進諸外国の中で最もエネルギー資 源が乏しい、という厳しい制約を克服するために努力を積み重ねてきた ことで、結果的にわが国は、世界で最も優れた省エネルギー技術を達成 し、経済産業の発展を実現してきました。

わが国の産業部門におけるエネルギー消費量は、1970年代前半から 今日に至るまで、ほとんど増加しておらず、GDP あたりに換算してみ ると、1970年代前半と比較して 20%以上の効率改善となっています。 これは OECD 平均の2倍のエネルギー利用効率です。わが国は省エネ ルギー技術は、間違いなく世界最高の水準にあるといえるでしょう。現 に、燃料電池や太陽光発電といった新たな技術分野での取り組みも、世 界に先んじて進めています。

(2) 環境技術

また、環境技術と省エネルギー技術とは、重なりあう部分も大きく、 わが国において高度成長期に急速に工業化が進んだことの裏返しとして、 深刻な公害問題、環境問題に直面したことによって、この分野において も、やはり世界で最先端の技術を蓄積しているのです。

現在、地球温暖化防止に向けて、国際的な枠組みによる取り組みがはじまっていますが、すでに世界最高水準にあるわが国にとって、1990 年比で温暖化ガスの削減を求める京都議定書の目標達成は、大変高いハードルとなっています。しかし、そのハードルに挑むことが、世界最高 水準の技術を、さらに進歩させ、革新させることにもつながり、それは きわめて強力な競争力の源泉となるでしょう。

もちろん、国家的な課題としての二酸化炭素排出量の削減、京都議定 書の達成に向けての取り組みは、産業分野に限らず、あらゆる分野で進 める必要があります。わが国の場合はとくに、1990年以降排出量が増 加を続けている民生部門での取り組みを重点的に進める必要があるでしょう。とはいえ、企業においても、より一段の省エネルギー、環境対策 に取り組むことは、技術力、競争力の強化という形で、企業改革の成果 に結びつくのです。

わが国は、循環型社会への転換を国是として、地球環境との共生を可 能とする日本企業の製品、技術やビジネスモデル、あるいは日本国民の ライフスタイルを国際社会で活発に展開することで、全世界の循環型社 会への移行を後押しするというシナリオを、将来の競争力戦略としていくべきでしょう。

2001年、ヨハネスブルグで、国連環境開発会議、ヨハネスブルグ・ サミットが開催され、その場で欧州が、自分たちが優位にある再生可能 エネルギーの利用率について、一律の数値目標の設定を提案しました。 その真意は、環境改善そのものというよりは、自分たちの取り組みをグ ローバル・スタンダードにして、ビジネスチャンスを拡大しようという ところにありました。 このように、これからの時代は、環境問題はコス トではなく、むしろ新たなビジネスチャンスなのです。

(3)燃料電池

 環境について現時点で最も有望な技術のひとつとして、燃料電池があります。これは要するに水の電気分解の逆をやるという原理で、水素と 空気中の酸素を使って水をつくり、その際に発生するエネルギーを取り 出そうというもので、究極のクリーンエネルギーとして注目されていま す。 自動車に対する応用に期待と関心が集まっているようですが、自動 車に限らず非常に応用範囲の広い技術であり、すでに工場の自家発電な どでは多数の実用例もあります(図 3.5参照)。

ここで注目すべき点は、燃料電池のような画期的な技術が実用化され ると、産業や技術に大きな変動をもたらす可能性がある、ということで す。 エネルギー産業だけではなく、モノづくりへの影響も考えられます。 自動車産業はもちろんですが、アルコールを使うタイプの燃料電池は発 電効率には劣るものの小型化が可能なので、たとえば充電の必要がない 電源として、 ノートパソコンへの応用が期待されています。

技術革新の進展によっては、石炭と蒸気機関による第一次産業革命、 石油と電力による第二次産業革命に続いて、水素と燃料電池による第三 次産業革命が起きるという予想をする人もいます。 「科学技術創造立国」 の切り札のひとつとして、産業界も技術開発と実用化、商品への応用に 取り組んでいかなければなりません。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その9

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.1.3 産学連携で産業の発展を

 「科学技術創造立国」に不可欠なのが、産学官の連携です、

ここ数年、国家財政がきわめて厳しい状況にあり、さまざまな財政支 出の削減が進められているなかで、科学技術関連の予算については減ら されないばかりか、むしろ増加しています。その中でもとくに重視されているのが、「産学連携」です。

その気運は一種の国民運動とでもいえるような盛り上がりを見せて おり、政府の調査によれば、1992 年度から 2002年度の10年間で、企業 と大学の共同研究は5倍近くに増加しています。大学発のベンチャーも 年間数百社のペースで誕生しています。

これはすなわち、モノづくり企業の改革において、大学との連携ということが、きわめて重要なテーマとなっているということを示すもので しょう。

ここで最も重要なのが、産学の人材交流を通じて、大学で創造された 技術を、ビジネスにつなげていくことです、これからの産学連携は、ビ ジネスとしての連携の時代に入ってくるのです。ノーベル賞の連続受賞 や、発表された論文の引用件数の多さ、また、GDPに対する研究開発 投資額や特許登録件数でも、わが国は、世界のトップクラスにあります。 しかし、これらの成果が、効率的に産業化へと結びつき、わが国の社会 生活の向上や、新産業の創出、雇用の拡大につながっているケースが少ないのがわが国の現状なのです。実際、経営開発国際研究所(IMD)に よる世界各国の競争力ランキングによれば、研究成果が事業化される水 準や、起業家精神の度合いという点で、日本は主要先進諸国の中で最も 低い水準にあります。

これはやはり、わが国にそうした人材不足や環境が整っていないこと が最大の問題点だと思われます、大学で創造された知を、わが国の企業 として、積極的に事業化することができる人材を、産学連携で育成して いかなければなりません。企業と大学との人事交流、あるいは産学共同 での技術系人材の育成などにモノづくり企業が取り組むことで、大学で 創造された知を、 ビジネスとして開花させていくことができるはずだと 考えています(図 3.4参照)。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その8

奥田 碩 さんの講演内容です。

(2)人の交流

それに加えて、資本、ビジネス以外の部分での人の交流も、重要なポ イントです。たとえば、留学生や研究者といった人たちの交流です。海 外から優秀な研究者や留学生を受け入れることは、わが国の研究のレベ ルアップに直接つながることであり、また、留学生がそのまま日本で就職してくれれば、わが国経済にとって貴重な戦力になるのです。

逆に、わが国から海外に人材を送り出すことも、同様に重要なのです。 「頭脳の空洞化」を心配する意見もあるようですが、こうした人たちに よって海外からわが国にとって非常に貴重な新しい情報、優れた技術が もたらされるメリットのほうが大きいと考えたいと思います。また、こうした人たち一人ひとりの能力が向上することにより、わが国の人材が より多彩となり、厚みを増していくのではないでしょうか。

さらに、ビジネスや研究ではない、遊びの部分での人の交流、すなわ ち観光客の呼び込みが、これからはたいへん重要な課題になります。

わが国は、四季折々に美しい豊かな自然をはじめ、文化や歴史に裏付 けられた数多くの観光資源を有しているにもかかわらず、わが国から海 外に観光に出かける人が年間 1、000万人をはるかに超えるのに対し、わ が国に観光に来る外国人は年間500万人にも満たないのが現状です。要 するに、日本人は世界中に遊びに行っているのに、日本はハード、 ソフ トの両面で、外国人に観光を楽しむ場を提供できていないのです。

外国の資本や人材を日本に呼び込もうとしたとき、その判断は、必ず しも経済的要因ばかりで行われるとは限らず、経済以外の部分で日本の ことを知っているかどうか、日本や日本人に好感をもっているかどうか といったことが、時には経済的要因と同じように重要になることもあり ます。そういう意味で、日本シンパ、日本ファンを世界に増やしていく ことが重要であり、そのためには、観光客を増やすことが、まずは入口 になるでしょう。 さまざまなインフラや環境を整備するとともに、すべての日本人が外国人観光客を心から歓迎する気持ちをもつことで、人の 交流を拡大していけば、単なる経済効果以上のものが期待できるはずで す。

2002年に開催されましたサッカーのワールドカップでは、多くの外 国人が日本を訪れ、日本に対してよい印象をもってくれた人、日本に来る前に較べて日本を好きになってくれた人も多かったと思います。このような国際的なイベントを国民をあげて成功させていくことは、世界に 日本ファンを増やすことに直結させることであり、わが国の次なる国際 的イベントである万博、「愛・地球博」も、国をあげて成功させていか なければならないのです。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その7

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.1.2 科学技術創造立国の確立と MADE “BY” JAPAN 戦略

 それでは、「MADE “BY” JAPAN」戦略とはどういうものか、考え 方としては、企業経営における連結経営の発想を、国の経済戦略にも取り入れていこうというものです(図 3.3参照)。

(1) 連結経営の発想

 現代は人、モノ、 カネ、情報がグローバルに行き交う時代であり、とりわけカネと情報については、きわめて速いスピードでボーダーレスに 移動しています。こうしたなかで、今日の日本企業は、海外子会社を含めた連結決算ベースの経営を進めることが多くなりました。また、これ とは逆に、外国企業の日本法人は、日本でビジネスを展開しつつ、外国企業の連結決算に組み込まれています。  

これを、日本の経済活動に応用してみると、日本企業の対外直接投資 が生み出す収益やライセンス料などを日本国内の経済活動に還流させて、 さらに先進的なイノベーションに結び付けていく、という考え方が出て きます。日本から新技術や新商品を発信し、それを世界の各国が作って 世界中で売り、その一部は日本にも輸入する、ということになります。 世界のフロントランナーとして、世界に発信していこうということです。

現実には、すでに日本のグローバル企業では具体的な取り組みがはじ まっています。ある程度コモディティ化した商品、労働力の豊富さや廉 価さが競争力に直結するような商品については、たとえば中国に投資を して、技術を移転し、そこで作って日本をふくむ全世界へと輸出する、 という戦略をとっている企業は数多くあります。その一方で、日本国内 においては、同じ企業が、最新技術やデザイン、あるいはブランドなど によって差異化した、日本でなければつくれない商品に特化していこうとする、などといった例です。

このような水平分業を進めるのにとどまらず、海外投資などで獲得した利益を日本国内に還流させて、それを研究開発などに投下することで、 さらなるイノベーションに結びつけていくことができれば、日本はつねに世界の一歩先を行く技術水準を実現していくことができるでしょう。 これが、今後わが国が目指すべき姿なのだろうと思います。技術やノウ ハウを積み上げて、ビジネスに生かすだけにとどまらず、それをグロー バルに展開し、さらなるイノベーションにつなげるダイナミズムをもった国をつくることが、本当の意味での「知的財産立国」ということになるのだろうと思います。

連結経営的な考え方を応用すれば、日本企業の海外進出だけではなく、 外資によるわが国への対内直接投資を増やし、それを日本国内のイノベーションにつなげていくという発想も出てきます。 このところ、金融や保険、あるいは流通などを中心に、外資の参入が 目立つようになってきました。自動車産業でも、外資が活発に参入して きています。しかし、わが国が擁する巨大な消費市場を考えれば、わが 国に対する海外からの投資は、まだまだ少ないと考えるべきでしょう。 今後は、外資が進出しやすい環境、外資を誘致しやすい環境を準備して、 資本だけでなく、外資のもつ優れた技術やノウハウを積極的に取り込んでいくことが大切です。新技術や新製品の開発についても積極的に海外 の力を生かすことは、「科学技術創造立国」を実現させるうえでも重要 な戦略になります。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その6

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.今後日本が取り組むべき3つの大きな課題

さまざまな問題を背景に、今日のわが国にとって、やらなければなら ない3つの重要で大きな課題があります。

第1に「揺るぎない技術大国日本の構築」。

第2に「日本の次世代を担う継続的な高能力人材づくり」。

第3に「未来に向って夢と生きがいがもてる日本の進路づくり」。

以上の3つに取り組まなければなりません(図 3.1 参照)。

3.1 ゆるぎない技術大国日本の構築

改革の基本方針であり、第1の大きな課題となるのが、「ゆるぎない 技術大国日本の構築」であります。今後のわが国産業のビジョンを考えるに際しては、先に述べた80年代のアメリカの考え方、すなわち、も ともとアメリカが優位性をもっていた金融分野において、さらに技術革 新を促進し、高度化を進めたという戦略に学ぶ必要があります。

3.1.1 技術革新の推進

 わが国における優位性とは、やはりモノづくりに一段と磨きをかけ、 そこから技術革新を推進することだと思います。わが国の特徴として、 技術革新が大学や研究所だけにとどまらず、日本中のさまざまな工場、 現場において、多数の現場の技術者、技能者が知恵をしぼり、工夫をこらして、無数の改善、発明を積み上げることで、大きな力を発揮してい る、ということがあげられます。こうした特徴こそがわが国の優位性で あり、これを将来戦略に生かしていくべきだと思います。

具体的にとるべき戦略として、日本経団連は 2003年1月に発表した 総合的政策パッケージの提言である「新ビジョン」において、「MADE “BY” JAPAN」戦略を提唱しています。前に述べた、「中国との水平分 業体制の構築」も、その重要な一環として位置づけることができます。 戦後のわが国は、加工貿易によって復興と発展を果たしてきました。 これはすなわち「輸出立国」であり、いわば「MADE IN JAPAN 戦略」といえます(図 3.2 参照)。 これは、世界から技術やアイデアを導入 して、それを改善して、より安く、より品質のよいモノをつくって、それを輸出するという戦略です。

しかし、世界第二の経済大国となったわが国が、いつまでも「輸出立国」を続けることは、もはや許されない状況にあります。これからのわが国は、「輸出立国」ではなく、「交易立国」をめざしていかなければなりません。それが「MADE “BY” JAPAN」戦略です。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その5

奥田 碩 さんの講演内容です。

2.3 産業構造の転換によって復活したアメリカ

同じ時期のアメリカと比較してみると、この時期のわが国の対応がいかにまずかったかは一目瞭然です。 アメリカ経済は 1980年代に大変な 苦境に立たされ、国家戦略として、国を挙げて経済の復活に取り組みはじめました。

まずは、政府が通貨政策に取り組み、 1985年には先進5カ国が協調 してドル安、日本からみれば円高に誘導するという「プラザ合意」の成 立にこぎつけることで、通貨政策を通じて国内産業の競争力の低下に歯 止めをかけました。これで空洞化を食い止めるとともに、日本企業など の現地生産を促すことに成功したのです。さらに、おもに日本企業のベンチマークを通じて、製造業の復活に取り組みました。日本企業が TQCを取り込み、成功し、デミング賞の獲得競争が品質管理水準の向 上に大きな成果を上げていることがわかると、当時すでに80歳の高齢 だったデミング博士が再評価され、全米の品質管理運動の先頭に立たされました。また、日本のデミング賞と同様のものとして、米国は 1987 年に、時の商務長官の名前にちなんだ「マルコム・ボルドリッジ国家品 質賞」を議会が設立しました。 その他にも 、 シックス・シグマやタグチ メソッドなどの統計的品質管理手法が展開され、官民あげて日本への 「逆キャッチアップ」を推進して、製造業の復活につなげていきました。

さらに重要なポイントは、こうした従来からの供給サイドを強化する 施策だけではなく、付加価値が低下し、競争力の確保が難しくなった製 造業に代わって、より付加価値の高いIT 技術と金融技術とに産業構造の中心をシフトさせていくという、新しい成長戦略を打ち出して、その ための政策を重点的に実施していったことです。具体的にいえば、国際 的な金融自由化の推進や、当時のゴア副大統領による「情報ハイウェー」 構想といったインフラの整備を、国家戦略的に進めました。

こうして、アメリカは新しい成長のエンジンを獲得し、産業構造の転 換に成功しました。 結局のところ、日米の現実を分けたものは、1980 年代後半という、 グローバル化と IT 革命が進展した重要な時期に、国 家経済に対する危機感をもっていたかどうかという意識の問題と、それ を踏まえた国家的な産業政策の巧拙の違いであったということです。

2003年度の下半期あたりから、日本経済はかなり明るさを増してきました。いまの日本経済を引っ張っている主役のひとつがデジタル家電 で、これは電機各社がバブル崩壊後の厳しい時期、苦しいリストラに取り組みながらも、歯を食いしばるようにして研究開発を続けてきた、そ の成果が現れたものといえるでしょう、このような民間の活力が生きて いるうちに、これからの国家経済を支える新しい産業政策のビジョンづくりとその推進に強力な取り組みが求められます。そして、そのビジョ ンと戦略に沿って、モノづくり企業も改革に取り組まなければならないのです。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その4

奥田 碩 さんの講演内容です。

2.日本のモノづくり産業の実態

2.1 モノづくり産業の空洞化

日本のモノづくり産業の現状を見ると、従業員4人以上の企業を対象とした経済産業省の工業統計調査によれば、わが国の製造業の付加価値 額は、1991年の126兆円をピークとして、2002年には 97兆円にまで減少しており、従業者数を見ても、1991年の1,135万人をピークに、2002 年には832万人にまで減少しています。これはまさに、わが国製造業の空洞化を示すものです。

戦後のわが国が加工貿易路線を強力に推し進めていった結果、1980 年代に入って、わが国の巨額の貿易黒字が国際社会、とりわけ米国から きわめて強い批判を受け、その米国の貿易赤字を減らすため、1985年 には、先進5カ国がドル安に向けて協調するという、 いわゆるプラザ合 意が成立しました。

その後、円高不況の中で、日本の製造業は、生産性の向上やコストダ ウンなどに徹底して取り組み、1ドル 240円から100円にまで円高が進 んでも、利益が出せる体制をつくり上げる産業・企業も現れました。そ の一方で、自動車産業や電機産業などによる海外生産の拡大が進みはじ め、雇用調整もかなりの規模で行われました。

また、一部の産業・企業では国際競争力を喪失して、国内生産が成り 立たなくなる実態も現れてきて、空洞化の進展が始まりました。

2.2 周回遅れになった日本経済

結果論になりますが、今から思えば、本来ならこの時期に、海外生産 を拡大する産業、あるいは競争力を失いつつある産業に代わって、将来 の日本経済をどのような産業で支えていくのか、というビジョンを真剣 に議論すべきだったのでしょう。しかしこの当時は、日本の巨額の貿易 黒字に批判が集まっていたこともあり、ひたすら市場開放と内需拡大を 求める論調が主流でした。

そして、内需拡大のために金融緩和をやりすぎた結果、バブル経済が 引き起こされ、まさにうたかたの好景気に沸くなかで、空洞化への懸 念や、「日本の将来を担うべき新しい産業は何か」といった取り組みが おろそかになってしまったのです。 今から思えば、当時のわが国には、先進各国から批判されるほどの経 済力をもつに至ったことによる、一種の油断、あるいはおごりのような ものがあったことは、否定できないと思います。しかも、日本がバブルに浮かれている間に、世界では非常に大きな2つの動きが激しく進んで いました。それは、いうまでもなく、「経済のグローバル化」と、「情報 通信革命」であり、この2つの大きな潮流にことごとく乗り遅れたこと が、日本経済に決定的な影響を与えました。そこにバブルの崩壊が重な り、その後始末に手を焼くなかで、まさに「周回遅れ」ともいうべき状 態に陥ってしまったのです。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その3

奥田 碩 さんの講演内容です。

1.2 中国と日本の貿易の実態

中国の発展の状況は、中国と日本の貿易の実態にも表れています。 財務省が発表している貿易統計速報によれば、2002年度の中国から の輸入は約8兆円、2003年度は約9兆円で、連続して前年度比で二桁増 となっています。その結果、中国は米国を抜いて、わが国にとって最大 の輸入相手国になりました。その内容も、パソコンなどの事務用機器が 増加する一方で、繊維製品や食品の輸入は減少するなど、高度化しています。

また、日本から中国への輸出も、 2002年度が約5兆4千億円、2003 年度は約7兆円と、こちらも連続の二桁増です。一方でアメリカとの貿 易は、2002 年度、2003年度ともに、輸出入とも減少しており、日本の 貿易における中国のプレゼンスは年々高まっています。

さらに、この統計には入ってきませんが、日本から香港経由で中国に 輸出されているものも別に相当額あります。中国は、日本企業にとって 大きなマーケットに成長しつつあるのです。さらに、中国への直接投資 が活発に行われてきた結果、工作機械や電子部品などの輸出が増えています。

それに加えて、中国からの配当や利子などの経常収支も増加してきて いて、投資に見合った十分なものであるかどうかは別として、日本企業 の中国投資がリターンを生みつつあることも事実です。

すなわち、わが国と中国との経済関係は拡大しつつあり、相互依存関 係も強まっていると考えられます。水平分業も徐々に進められています から、一時期世間でしきりに取りざたされ、いまだに一部に見られるよ うな、単純な中国脅威論には賛成できません。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その2

奥田 碩 さんの講演内容です。

1. 中国の発展がもたらす日本への影響

1.1 生産技術力を身につけた中国

わが国のモノづくり産業、製造業が改革を迫られている背景には、第 一に、今日におけるめざましい中国の発展があります。

今や中国は、エアコンやテレビ、冷蔵庫といった家電製品をはじめ、 粗鋼やモーターバイクなどでも世界シェアでトップに立っています(図1.1参照)。

このような中国の急成長は、外資の技術力、とりわけ生産技術と、中国の豊富で廉価な労働力とが結びついた結果だと思われます、そのスピードはわれわれが予想したよりも、はるかに速くなっています(図1.2 参照)。

とりわけ、労働力の豊富さに関しては、圧倒的なものがあります。聞くところによれば、上海や、広州近くの東莞などでは、たとえば「20 歳から 24歳までの右利きの男性で、視力 2.0以上、座高が105cmから115cmの人を10人募集」といった張り紙を出すと、翌朝にはたちどころに 100 人くらい集まる、といった状況にあるそうです。

しかも、勤務態度はおしなべて良好であり、欠勤率は1%以下で、残 業や休日出勤なども争って働くそうです。それで賃金水準は日本の 1/20 なのです(図 1.3参照)。

こうした豊富で廉価な労働力が、欧米や日本から持ち込まれた最新鋭の生産設備、生産技術と結びついて、これを十分に使いこなして、高い品質水準を実現しています。ですから、日本国内で中国と同じモノを作 っていたのでは太刀打ちできないことは当然だと考えなければならないでしょう。

すでに言い尽くされたことではありますが、これからは、コモディティ化した製品、標準化された大量生産の商品に関しては、中国と競争することは難しいと考えざるを得ないと思われます(図 1.4参照)。

中国が経済開放政策を取り続けるかぎり、こうした方向性は変わらないものと思われます。そうした中では、わが国は先端技術やブランドなどで差異化した、付加価値の高いブランド商品を中心として、中国の大 量生産のスタンダード商品と住み分ける、いわゆる「水平分業」を戦略としていくべきだと思います(図1.5参照)。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その1

奥田 碩 さんが2003年11月に講演した内容を書きます。

奥田 碩 さんは元トヨタ自動車株式会社会長でかつ元日本経済団体連合会会長でした。

内容は以下目次です。

1. 中国の発展がもたらす日本への影響

1.1 生産技術力を身につけた中国

 1.2 中国と日本の貿易の実態

2.日本のモノづくり産業の実態

2.1 モノづくり産業の空洞化

2.2 周回遅れになった日本経済

2.3 産業構造の転換によって復活したアメリカ

3.今後日本が取り組むべき3つの大きな課題

3.1 ゆるぎない技術大国日本の構築

 3.1.1 技術革新の推進

3.1.2 科学技術創造立国の確立と MADE “BY” JAPAN 戦略

(1) 連結経営の発想/(2)人の交流

3.1.3 産学連携で産業の発展を

 3.1.3 産学連携で産業の発展を

3.1.4 日本が優位にある環境技術戦略

    (1) 省エネルギー技術/(2) 環境技術/(3)燃料電池

3.2.1 失われつつある日本のモノづくり力

3.2 日本の次世代を担う強靭で高能力な人材づくり

3.2.1 失われつつある日本のモノづくりカ

 3.2.2 現場力の点検と再構築

 3.2.3 人材の育成

3.3 日本の未来に夢と生きがいがもてる進路づくり

3.3.1 日本に「成長エンジンと制度インフラ」の強力な両輪づくり

 3.3.2 時代が変わっても、人が変わっても,ゆるぎなく繁栄し続ける日本づくり

3.3.3 多様性のダイナミズム

 3.3.4 他者への共感

3.3.5 社会への信頼の回復

3.3.7 新たな住環境の整備

3.3.8 非営利部門の充実

おわりに

次はその公演の内容を具体的に書きます。20回程度になります。

負荷はちょっとオーバーするぐらいがちょうど良い。

人の負荷はちょっとオーバーフローするぐらいがちょうど良いです。

人は忙しいと、自然と自ら工夫して効率的に仕事をこなそうとします。

逆に、手あまり/定時割れになると、

余った時間に合わせスピードを遅くしたり、余分な作業を入れ、暇ではないようにします。

つまり、いつも定時に仕事が完了しているのは手あまりな状態です。実際は定時割れしている。

したがって、少し/ときどき残業の状態が、ほぼ定時の負荷に近く、

いつも残業や多時間残業は負荷がオーバーフローし何とか効率的にできなかと模索、取り組んでいる状態です。

更に超多残業となると、惰性で残業してしまい、逆に効率が悪くなる。

 ※昔の私でした。毎月100h/月オーバー。周りの皆も同じで当り前だと思っていました。

管理者は、いかに自部署のメンバーをフル活動させるか工夫が必要です。

 ※陥りやすい間違いは、「管理者がフルに動くので、見習って周りのメンバーも頑張れ。」

  →管理者のフォローが行き届かなく非効率に陥りやすい。

トヨタ生産方式は人を中心に考えている

トヨタ生産方式は人を中心に考えている。それはどうい事か以下書いていきます。

よく中小企業などで見るのが、人の手待ちが発生しても設備をフルに動かすようにしている。

設備をフルに動かすために人が張り付き、加工が止まるとワークを直ぐに脱着させるように人が機械の前で待って作業をしている。

機械がフルに動いているといいと考えている。人は止まっていても機械が動いていれば良いと思っている。

これは中小企業は資金がなく機械に余分な投資が出来ずケチってしまうのと、人をうまくフルに動かすノウハウがないからだと思う。

トヨタはコストがかかるのは機械より人の方が高いと見ている。機械の金額にもよるが、人件費は実際に給与で支払う以上に社会保険料や福利厚生費や研修費や採用費などかかり高くつくものとみている。

だからトヨタは設備能力を十分にあるように投資し、人をフル稼働させている。設備能力は十分に余っているので、量が変動した時、人を追加すれば量の変動に直ぐに対応できる。逆に数量が減った時は人員を間引きすれば良い。

これが「フレキシブルな生産対応」である。

分かっていてもなかなかできない。

それは人を手待ちがないくフルに動かすことが出来ない。人の動きに対しての分析や活用のノウハウがなく進めれない。

それよりも安易に設備を止めない工夫に力点を置いてしまい、さらに設備中心のレイアウトにしてしまいどうしようもなくなってしまう。なかなか抜け出せれない。

これが中小企業の現実である。

品質宣教師 おしまい

品質宣教師 おしまい

・他社の良い事例を真似してください。

・改善活動がストップしたら衰退です。

・日々、地道に継続すること。

・品質改善に特効薬はありません。

  『決める、守る(教える)、確かめる!』

実践してこそ、知識は活かされる

長々と『品質宣教師』について書いてきました。おしまい。

なるほど・ザ・QC

なるほど・ザ・QC

1、QC七つ道具

2、新QC七つ道具

3、QC的問題解決法

4、問題解決の進め方と事例

5、QCサークル活動の基本

6、QCサークル活動の運営

7、QCサークル活動の活性化

二宮金次郎とQC的問題解決法

手順1テーマの選定
・問題点をつかむ
・テーマを決める

・生活が苦しい、年貢が払えない
・村を豊にする

手順2現状の把握と目標の設定
現状の把握
 ・事実を集める
 ・攻撃対象をを決める
目標の設定
 ・目標(目標値と期限)を決める

現状の把握
 ・過去10年間の米の出来高を調べる
 ・耕作地の面積及び住人の数・質を調べる
目標の設定
 ・目標(年貢)を決める

手順3活動の計画
・実施事項を決める
・日程/役割分担などを決める

・未開墾地を増やす
・河をつくる ・人を集める

手順4要因の解析
・特性値の現状を調べる
・要因をあげる
・要因を解析する
・対策項目を決める

・出来高と場所を分析する
・人の数と質(働き者と怠け者)を分ける
・要因を解析する
・対策項目を決める

手順5対策の検討と実施
対策の検討
・対策のアイデアを出す
・対策の具現化を検討する
対策の実施

対策の検討
・未開墾地の優遇制度
・貸し出し制度(道具)

手順6効果の確認
・対策結果の確認をする
・目標値と比較する・成果をつかむ

・米の出来高を把握する
・個人別・エリア別の集約

手順7標準化と管理の定着
標準化
・標準を制定・改訂する
・管理の方法を決める
管理の定着・・・教育をする。維持の確認をする

標準化
・年貢の見直し
・優遇制度の見直し
管理の定着・出来高をあげる方法を教える

再発防止対策書とは

再発防止対策書とは

・報告書の書き方&考え方・・・別紙

不具合発生状況

ポイント
・状況を出来るだけ細かく書く(品名、品番、個数、処置など)
・解ったことは全て書く(時系列、など)

要因の解析

ポイント
・不具合品をよく観察する
・規格に対してはどうか
・相手物に対してはどうか
・4Mの変化も合わせて考える
・発生のメカニズムも考える

現状の把握(工程の概要)

ポイント
・工程のどこが発生、流出か
・工程で何を決めていたのか
・どのように守られていたか
  具体的に解り易く書く   (どの様に)

なぜなぜ分析

ポイント
・なぜなぜ分析をする(だれ、いつ)
・現場で検証し関連を確認する
・システムの悪さも考える
*再現したらそれが真因、具体的に書く   (どの様に)

必ず守る『職場の10ヶ条』

1、異常処置

2、手直し品

3、作業中断

4、作業台 5、不良品

6、端数品

7、ポカヨケ

8、3点照合

9、指差呼称

10、識別

この部品は実車の何処

この部品は実車の何処

表彰で意識の向上

(減点方式より加点方式)

日本電産の人事考課

『頑張ったね!』→『ささやかな動機付け』→『目標』→『計画』→『努力』→『行動』→『成果』→『反省』→『向上』→『目標』

みつけたよ!ありがとう

達人の技

不具合流出“0”者に学ぶ

段取りマンの育成

段取りマンの育成

成形の段取りマンのスキル向上の項目の事例

①不良対策成形条件と調整

②型替後の確認初物チェック

③取り出し機の調整

④テスターの取り扱い方

⑤型締め力の調整

⑥金型のメンテの仕方

スキル表と人員配置

個人別教育記録

スキル評価

教育&コミュニケーション

終礼で意見の吸い上げ

挨拶運動当番表毎朝2人で!

不具合を画像で教育

朝礼勉強会

公開作業でレベルアップ

公開作業でレベルアップ

訓練計画

成形部署にて、出荷部署にて、検査部署にて、材料受入部署にて

日頃の訓練が生死の分岐

津波に襲われた宮城県東松島市で、生死を分けた2本の道。左奥の道に逃げた避難者は助かったが、右奥の道に行った人たちは津波に流された(宮城県東松島市)

「ここで右に行った人は駄目だったが、左に曲がった人は助かった。」
大震災で津波被害の大きかった宮城県東松島市新東名に明暗を分けた道がある。助かった道沿いに住む高橋正子さんは「とっさの判断が全てだった」と振り返った。

1秒の判断が全て

高橋さんは震災当時、新東名の隣の地区にある養殖カキの作業所にいた。強い揺れに、作業者全員に「津波が来る。ここから早く逃げて」と指示。
これまでの経験から、当地区は東寄りにある同県女川町に津波が到着してから2十分は余裕があると踏み、車に作業者や荷物を乗せ、作業所と自宅を2往復した。

途中、作業所の近くで、体の不自由なお年寄りを助けようと苦戦している女性を見つけ、近くに止めてあった作業所の保冷車を貸した。お年寄りは密閉性の高い保冷車の中に車いすのまま入れられ、流されずに済んだと思う。作業員も全員無事だった。

最後は、間近に押し寄せて来る津波から間一髪で逃れた。JR東名駅のすぐ脇を通る道から駅の海側を見下ろすと、黒い塊がみるみる押し寄せてきた。自宅に向かう最後の角を左に曲がり、何とか助かった。

左側は小高い丘に向かう道で、真っすぐは平たんな道が続いていた。
助からなかったのは、真っすぐに進んだ人たち。
「何台も車ごとざ~と流されていった。こっちに来れば助かったのに、、、」。
生死を分けた最後の瞬間を思い起こし、「あの時はみんな一秒の判断が全てだった」と言い切った。

警察官の日頃の訓練 40人全員救出!

仕事のカキクケコ

仕事のカキクケコ

カ かくにん(確認)する。

キ きろく(記録)する。メモする

ク くふう(工夫)する。

ケ けいかく(計画)たてる。(5W1H)

コ こうどう(行動)する。率先垂範

(5W1H) Who(誰)When(何時)What(何)Where(何処)Why(何故)How(どのように)

イタリアの石切り場の職人の話

イヤイヤ こんなつらい仕事は,本当いやなんだ。

 他に仕事がないから仕方がないんだ。まあクビにならないように,ほどほどにやるさ。

一生懸命 大切な家族を養わないといけないからね。もっと給料が上がるように頑張っているんだ。家族のためだと思えば,つらくないよ。

イキイキ!この石で,あの丘の上に教会を作るんだ。ずっと前から町のみんなの願いだったんだ。神父さんに来てもらって,毎週みんな集まってお祈りをするのさ。この石で教会ができれば,どんなにみんな喜ぶだろう。それを思えば,つらい仕事も楽しく働けるよ。

モノづくりは人づくり

T社流「最強の社員」はこう育つ W著より

1、「もっと働かなければ」でなく、「もっと省かなければ」と発想せよ。

2、「知識のある人」より、「知恵の出る人」になれ。

3、まずは「いい案」より、「多い案」に値打ちがある。

4、成功を「これで良い」ではなく、「もっと良く」の出発点とせよ。

5、「できない」百の理由より、「できる」1つの可能性を探せ。

6、「時間が掛かるからやめる」のではなく、「時間を掛けても達成する」

1、『なぜ?』を口ぐせにせよ!

2、決められたのか、決めたのか!

3、『痛み』から知恵が生まれる!

4、これでいいと思ったら終わりだ!

5、『評論家』にならない為に、代案なしに反対するな!

6、病気になって『病院へ行く人』になるな!

海外(インド)で品質保証の 概念を伝えた事例

海外(インド)で品質保証の概念を伝えた事例

1)品質は会社の命・・・PETボトル

   ・ブランドイメージ=会社に対する信頼の保証

  ・検査とは:良し悪しのジャッジ  ・品質保証とは:よいことの証を保つこと

)『あるべき品質保証の概念』・・・川の流れ(車)

  ・不良品(ごみと故障車)とルール

3)ひとづくりのポイント

   ①思い込みを排除して平等・公平に接する

  ②現地スタッフのレベルに合わせる

  ③「なぜなぜ」を徹底的に行う

  ④良かったらその場でほめる

  ⑤ダメなら人格を尊重しつつ改善を促した

4)具体的実施

   ①ベクトル合わせ(なでしこジャパン)

  ②先入先出しとは?

  ③モチベーションアップ

  ④個人別ノートに変化点の記録

  ⑤朝市・夕市活動

変わるステップ   意識→習慣→行動