奥田 碩の講演会 その9

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その9。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

しかし私どもは何が何でも勝ち残って行かなければならないわけでありまして、こういう意味で私どもは当面の目標として21世紀初頭のグローバルの販売で昨年の販売464万台、これから600万台程度に、すなわちグローバルシェアでは10%以上とこういうものを確保していきたい。というふうに思っております。

この目標は海外では約400万台、国内が200万台から250万台を目指すというものでありまして、現在の状況から判断して極めてチャレンジングなものであるとそういうふうに映ると、そういうふうに思います。

多少くどくなりますが海外について若干申し上げますと、米国は何と言っても収益あるいは販売台数の柱でありまして、我々は日本に次ぐマーケットとして育成強化をしていきたいと考えております。

あるいは場合によっては日本よりもさらに大きいトヨタにとってマーケットになる可能性もある。とそういうわけであります。昨年販売では136万台からの数字があったわけですが150万台以上の販売台数を確保して、シェアにつきましても米国の平均年間レベルアップ1500万台と言われておりますが、この10%程度を目指していきたい。というふうに考えております。

しかしこの米国の1500万台の市場というのは今後、紆余曲折ありますが確実に上方に向かって成長していくとこういうことはですね、米国の人口が今後着実に増加していること。という傾向にあるということを考えますと、非常に有望でありまして、ここに対して相当な経営資源を注ぎ込んで行く。ということが大事だとそういうふうに思います。

また欧州につきましてはフランスで2001年の現地生産立ち上がりを軸に昨年の54万台の販売から80万台程度。シェアで5%ぐらいを確保したいと考えております。

ご承知の通り欧州はフォルクスワーゲン、オペル、フォード、ルノー、フィアットどのメーカーも強者揃いで大変競争の激しいところでありまして、その中で量的な拡大あるいは質的な拡大を図っていくためには、商品・コスト・販売力の強化を始めブランドイメージの向上など、今後ヨーロッパで取り組んでいかなくてはならない課題はたくさん抱えております。

しかし私はそういう厳しい所でもまれて勝ち抜ける力を身につけてこそ、世界史上でメジャープレイヤーとして存在していける力がついてくる。とこのように思っております。

幸い欧州で本年、新たに投入いたしましたヤリスが、欧州で最も権威があります欧州カーオブザイヤーを獲得することができたということは、非常に画期的なことでありまして、これは新たに飛躍に向けたステッピングストーンとして一つ一つ着実に、そして場合によっては欧州メーカーとの戦略的な地域提携、ということも視野に入れて取り組んでいきたい。というふうに考えております。

奥田 碩の講演会 その8

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その8。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

さて足元の自動車産業というものに目を転じますと、すでに皆さんご存知のように肌で感じておられると思いますが、ダイムラークライスラーの合弁。あるいは GM いすゞすすきの提携強化。あれは日産ルノーの提携。思い切ったリストラ策の発表を始め次世代のモビリティ開発を巡って異業種を含めた戦略的な提携。

こうゆうグローバル化、地球環境問題、情報化の進展の中で自動車産業は、質量スピードあらゆる局面で今大きな転換期にあるわけであります。

こうした中で私どものトヨタグループが21世紀にも引き続き成長発展を図っていくということのためには、今何をしなければならないか。ということを真剣に考えて、速やかにそれを実行に移していかなければならないわけであります。

ご承知の通り私どもは95年に国際ビジネスプランを発表するなど、グローバル企業を目指して取り組んでおりますが、それは自動車産業がグローバルに見ればまだまだこれからの成長産業であって、グローバルに成長の活路を見出していくということがトヨタグループの21世紀の成長の道である。そういう風に思うからであります。

まあ端的にいいかえれば地球全体をトヨタのカバーする市場である。こういう風に考えることが21世紀の成長の道である。そういうふうに思います。

一部には自動車産業はすでに成熟化している。あるいは衰退産業であるとかそういう声も聞きます。

確かに自動車は日本はじめ先進国では、2人に1台以上に普及しておりますが、全世界で見ればまだ8人に1台と。こういった状態でありまして、世界人口の約80%を占めるいわゆる発展途上国の方々の多くは、まだ自動車の便利さや快適さを知らない。そういう状況であります。

仮りにこれらの地域で今後普及がどんどん進めば、膨大な潜在需要があるということでありまして、自動車産業はまだまだこれからの産業である。とそういう風に思っております。

しかし、そうだからといってこれまでと同じ対応をとっていてでは到底成長は望めないというわけでありまして、私どもの成長発展は今後問題になってくるだろう、環境あるいは安全問題の対応や高度情報化社会への適応さらに交通渋滞問題の解決などの面において、従来とは異なった画期的な技術革新によって新しい車社会を築いて、20世紀に自動車が果たしたように、世界の人々の豊かな暮らしに貢献して行けるかどうかということにかかってくると思います。

私どもはこうした社会の実現を目指して、自ら道を切り拓いていく気概が必要であると思っております。

こうした役割を担う為に私どもは21世紀の世界市場でメジャープレーヤーとして存在ある企業を目指して行かなくてはならない。

ご存じのように世界の自動車メーカーは、現在大小合わせて40社以上ございますが、このグローバルの再編の中で多分生き残れるのは4社あるいは5社とこういう風に言われております。

実際、環境・安全や情報化とこういった開発技術分野を始めグローバルな事業展開のためには今後膨大な投資が必要であります。同時に熾烈な競争に打ち勝って行かなければならない。

そういうことを考えますと企業として、技術的にもあるいは財政的にも相当な体力が必要であります。

生き残れるメーカーの数は非常に限られたものになる、というのは当然であります。

奥田 碩の講演会 その7

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その7。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

21世紀の新しい日本の創造に向けて、今申し上げた三つの課題を解決していくためには、民間企業の果たす役割は極めて、中でも私は製造業がもっともっと頑張らなくてはならないとこういう風に思っております。

申し上げるまでもなく今日までの世界経済の発展の原動力というのは、技術革新によるものでありました。

技術革新が新たな時代のブレークスルーを産んで、今日の豊かで便利な社会を築いて開けてあります。

しかし今日では情報化技術の進展と共に脱工業化とかあるいはハードからソフトの時代への転換。こういうことが当然のように語られまして、実際株式市場などにはしてもソフトウェア産業やあるいはインターネット産業に属するというだけで、その企業の株が株価収益率の数百倍の価格で取引される。とこういったバブルの再来を想起させるような現象がアメリカでも起こっているし日本でも取ります。

もちろん米国経済の活況に典型的に現れておりますように、今 Microsoft あるいはインテルさらにヤフーなど情報技術を駆使したソフトウェア産業や、あるいはインターネット産業が世界の経済を成長をリードする力を発揮するとか、

あるいはまた E コマースは電子商取引ですが、こういうものも新しいビジネスとして取引形態が次々と誕生している。こういうことも事実であると思います。

また様々なサービス産業が製造業に変わって雇用吸収して、新たな雇用増を満たしていく。とそういうことも事実であります。

しかし情報産業も新しいコンピューターというハードウェアなどの飛躍的な向上前庭として成り立つものでありまして、また色々なサービス業にしても製造業の発展なしにはありえないということであります。

ものづくりはいつの時代にも社会発展の原動力であることを決して忘れてはならないと思います。

元より魅力的な商品の開発ということは日本のお得意分野でありまして、この魅力あるものづくりを通じて世界に貢献してきたからこそ、今日の日本の繁栄とまた国際社会における評価があるわけであります。

21世紀にも私どもが長年培い蓄積してきたものづくりの強みというものを伸ばしまして、世界の人々が欲しがるような画期的な新技術による製品やあるいは環境エネルギー問題を解決する省エネ技術や製品を開発して、世界中の人々に喜ばれて、それによってエネルギー問題や環境問題への貢献を果たす。

ということができれば、新たな世界需要の創出にもなって、長期的には世界経済を押し上げる力になる。とそういうことになるだろうと思っております。

これこそが軍事力を現在も持たない日本ができる、最大級の国際貢献ということでありました。

こうした取り組みを通じて「21世紀の魅力ある国家の創造」ということが可能になる。とそういうふうに思います。

私どものトヨタグループも例外ではございません。

先ほど申し上げました三つの課題を自らの課題として真摯に受け止めましてスピーディーに改革を図り、日本のものづくり企業のリーダーとしての役割を果たしていく意気込みで取り組んでいく必要があると思います。

奥田 碩の講演会 その6

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その6。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

第3はいわゆる国際化への対応ということであります。

ご承知の通りグローバル化の急速な進展によりまして、企業の競争という側面ひとつとってみましても国境や産業の社会が亡くなりまして、文字通りボーダレスの競争。といいますか地球が一体となりました。

こういう競争が展開されつつあるということです。

こうした中にあって、日本もそして日本企業も単に欧米のスタンダードいるのではなくて、日本初のスタンダードこういうものをどんどん出していくようなこういう国にならなければならないと思います。

従来の日本のやり方を踏襲するのでもなく、また新しいスタンダードを世界に発信していく。そういうつもりで改革を図っていく。これが非常に重要だということです。

私はこの取り組みには国際化、情報化の進展の中で日本の強みを活かすということが大切ではないか。とこのように考えております。

例えば日本の製造業は国際競争力があると言われておりますが、これも常に新たな付加価値を創造していくことができなければたちどころにその競争力を失うということであります。

これまで日本が培ってきたものづくりの技能や様々なノウハウというのは非常に貴重な財産であります。

それに申し上げれば日本には文学や美術建築から伝統芸能などに見られるように、欧米にはない独特の優れた感性がありました。

これは今日の日本の産業の中にもたような形で活かされております。

しかしこうした日本の強みは、ひとたび国際化あるいは情報化の波に乗り遅れますと、一転して日本の新たな発展を妨げる弱みに変わりかねないというものであります。

国際化のなかで海外諸国の技術や文化と接触して融合し、時には火花を散らす。とこういった事があってこそ日本の強みがより一層進化するとこういうことであります。

でこれまでの強みに磨きをかける一方で、さらに情報化など最先端の技術やアイディアを組み込みまして、一層高度なものにしていく。ということが国際市場の中で日本初のスタンダードを発信する。とそういうことにつながっているということになると思います。

奥田 碩の講演会 その5

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その5。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

第2はご存知のように高度情報化社会への対応ということであります。

ご承知のように情報技術の急速な進歩によりましてスピード、コスト、規模もあらゆる局面で社会的な変化が急激に送っております。

既にインターネットやマルチメディアの急速な普及によりまして、新しいビジネスや産業が起こっているだけでなく情報の同時性やあるいはそのボーダレス化しておりまして、人々の価値観あるいは社会構造そのものが大きく変化する可能性があります。

現実にそれが今起こっているわけです。事実、経済は絶好調の米国については、いわゆるニューエコノミー。これをリードする要因として情報化技術の発展とその効果的な活用。そしてまたそれに伴う生産性向上。こういうことがその原因である。とこういうふうに指摘されております。

実際私どもを自動車産業におきましても情報化技術を活用して、新しい販売手法、あるいはマーケティング手法の開発、あるいはよりスピーディーな商品開発、あるいは市場変動に柔軟に対応できる生産システム。こういうものの確立等をはじめとしまして、主要な経営管理士法をグローバルにリアルタイムに把握して、迅速な意思決定につなげていく。とこういった対応が今後は当然の取り組みとなっていくわけであります。

21世紀の高度情報化社会に向けて国、産業あるは企業、個人あらゆる分野で、いかに情報技術の成果を早く取り入れて改革を図っている。とそういうことがますます重要になってくるとこういう時代であります。

奥田 碩の講演会 その4

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その4。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

21世紀の日本の発展でございますが、これに向けての課題は三つあるとそれに考えております。

その第一は社会の急速な変化の中で、今その失われつつある日本人の自信あるいや活力、こういうものを早急に回復して、日本経済の活性化を図る。とそういうふうに思います。

私個人的に見てみますと、バブル崩壊後の長引いている不況の中で、日本人が必要以上に自信を失っているのではないかと。あるいは複雑かつ激変する社会環境の中で、努力の成果が見えにくくなっておりまして、その目標を見失っているのではないかと。このように感じております。

私は日本人の持つ勤勉性、あるいは高い教育水準、技術ノウハウそして高い貯蓄率など日本経済の持つ強みは基本的には何ら変化はしていない。そういうふうに確信しております。

幸い本年に入って、ご存じのように実質経済成長率が2四半期と言いますか、1―3それから4―6ですねこれが連続してプラスに転じてきたということで、日本の国内景気もやっと明るい兆しが出始めております。

まだまだ自立回復には程遠いとこういう状況が実感であります。

直面する景気の低迷を乗り越えることができなければ、20世紀の新たな発展のための蓄積もあるいは設計もできないわけでございます。

何としても今年度こそはプラス成長への転換を図らなくてはならない。ということで政府は積極的に施策を取って頂いておりますが、景気の立ち直りは今や我々民間の努力にかかっている。とそういう風に申し上げるべきだと思います。

現在の状況を見てますと実は、橋本内閣が経済構造改革ということで、21世紀の方に向かって改革をやろうということで始めたわけですが、幸か不幸かその時に景気が悪くなりまして、どうしてもその景気の悪さを乗り越えなければいけない。とこういうのが急激な課題として出てきたわけです。

現在はそれに向かって我々は努力をしている。ということでございますが、その中でまた新たにですね構造改革という問題も入ってまいりまして、現在の状況はその景気の回復とですねそれから構造改革この二つの課題が若干を混沌として入っている。とこういう局面であると思います。

具体的には正しいその需要創造型の商品、あるいは価値創造型の商品の開発導入、あるいは新たな成長分野の開拓を図るという事によって、新しい雇用を創出して経済の自立的な再生を測って行かなければならない。ということでございます。

いくら政府が適切な施策を打ち出したとしても、それが活用されて経済の活性化につなげることができるかどうかということは、結局のところを民間の力にかかってると思います。

そういった意味で我々自身にはこれまで培ってきた競争力の源泉をしっかりと見つめ直して、強みを伸ばして弱みを克服していくとこういう改革を着実に進めていくということが、今なによりも重要である。とそういう風にもいます。

奥田 碩の講演会 その3

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その3。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

バブル経済の崩壊以降の戦後の成長を支えてきたこれまでの仕組みが、今行き詰ってまいりまして改革が必要である。

ということはこれまで何度もなく指摘されてきたのですが、結局政府もあるいは日本の国民も問題点を今日まで先送りをしてきた。

いよいよこの先送りができなくなって、今や相当な痛みを伴ってでも非常に大掛かりな社会の変革を行わざるを得なくなってしまった。

というのが現在の日本の状況であり、あるいは世界の現状である。というふうに思っております。

そういった意味で今日本、経済は今ではかつてなかった難局を迎えている。

こういう事態の中に我々はいるんだ。そういうふうに自覚していただきたいと思います。

我々が国民一人一人が他力本願あるいは甘えではなくて、痛みを恐れずに本気で自分の力で解決しようとする強固な意志。それから実行力をもって取り組みまして、自らの道を開いていくとこういう気概をもってこの改革を実行に移していくということが非常に重要である。

私はそのことも今後10年以内に改革を断交して、しっかりとした国としての道筋を付けなければ、21世紀の日本の発展はない。とこのように私信じております。

本年5月に私は図らずも日経連会長に就任したわけでございますが、私自身はこうした危機意識をもちまして、日本にあった新しい雇用制度やあるいは経営の在り方というものについて、経団連会長として提案して改革を進めていきたいと思っております。是非皆さん方にもご支援をお願いしたいと思います。

奥田 碩の講演会 その2

奥田 碩(おくだ ひろし)さんの講演会 その2。今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。

先ほどあの〇〇さんからご紹介あずかりましたが、本日はお招きいただきましてありがとうございます。

私も実は御社の取締役の一人でありまして、あんまり貢献はしてないですが、せめてお話しすることぐらいで貢献できるかな。そういうことで参ったでございます。

今回創立30周年を迎えられたということについて、改めて心からお祝い申し上げたいと思います。

この会社は〇〇〇機の専門メーカーとして19××年トヨタグループの期待をになって創立されたということでございます。

その後、日本のモータリゼーションが急速に発展する中で、イージードライブ化の流れが一段と高まりまして、世界初の〇〇〇付き□□□□□など業界を常に世界をリードする新製品を作ってもらいました。

今日では世界ナンバーワンの〇〇〇機メーカーとして、トヨタグループのみならず日本の経済の発展を担われている。こういったことと共に新しい分野の△△△△△△これのトップメーカーとしても確固たる地位を開かれたということで敬意を表したいと思います。

皆様方の貢献なしで今日のトヨタグループの発展はありえなかったわけでありまして、改めて今日までのご尽力に対してお礼を申し上げたい。

また機会を捕まえまして創業以来、幾多の困難を起こされまして今日の繁栄を築かれました歴代の経営幹部の方々、並びに従業員の方々の絶えまぬご研鑽と努力に対しましても改めて敬意を表する次第でございます。

私どももお陰で本年10月、おかげさまで生産累計1億台というものを達成いたします。

せっかくでございますのでこの機会に、日本や日本企業が置かれている現状に触れながら、21世紀のトヨタまたトヨタグループということについて日頃私が思っておりますことをお話してみたい。そのように思います。

最近のいわゆる現状経済とか政治の認識でございますが、ご存じだと思いますが、いわゆる未来学者って言われておりますアルビン・トフラーが書いた第三の波という本が30年20年ほど前にベストセラーになったということはございます。

この本を最近改めて読み直してみたわけですが、この本の中に実に近年の世界経済の変化を予測している章が出て参ります。

トフラーによりますとその第一の波、これはすなわち農業革命。食物と土地利用に革命が起こる。

第二の波というのは産業革命。これは大量生産、標準化、あるいは均一化こういったことが起こってくる。

そして21世紀に向けては第三の波として、情報革命が起こる。ということを言いまして、情報量の増大とか情報処理の迅速化、それから社会変化の加速、卓構造のシステム化、多品種少量生産。

それから言われる第三次産業の進出、国際化、地方分権は現在我々がこの問題となっている、また当面している問題についてかなりの確度で現在起こりつつことについて的確に述べております。

特にトフラーは20世紀の後半に新たに起こってくる第三の波、これは20年から30年程度すなわち遅くともお2010年前後にはそれ以前の文化あるや文明を全く時代遅れなものにしてしまう。

とこういう予想もしておりまして、人類にとって全く新しい文明、その基盤から築くだろうと。このような予測をしているわけです。

実際これまでの経営環境の変化を見ましても、冷戦崩壊以降のいわゆるグローバル化とか、あるいは情報化。こういう急速な進展の中で世界もまた日本の社会も急激にご存じのように変化をしてきてるわけです。

その変化に合わせて最適な改革を図っていかなければ企業はもはや生き残っていけない。こういう時代になってるわけです。

これは日本だけではなくて世界全体についても言える話だと思います。

奥田 碩(おくだ ひろし)の講演会 その1

奥田 碩(おくだ ひろし)さんが、ある企業だけの為に単独の講演会を実施した資料を見つけたのでその内容を書きます。約90分の講演で、今までどこにも出てないので大変貴重ですよ。その1

20年ほど前の講演ですが、いま改めてこの講演内容を聞くと大変参考になります。すごい!

その講演会はその企業の中になるホールで実施されましたが、平日の稼働日なのに役員含め従業員が1千人以上公聴されました。「なんて余裕のある会社だ。」と当時は思いました。平日の稼働日なのに、従業員が現場から1千人抜けても問題なく回ってるなんて!

講演内容は主に次の内容です。

その1 紹介

その2 アルビン・トフラーの第三の波

その3 日本の改革の必要性

その4 21世紀の日本の発展の課題 一

その5 21世紀の日本の発展の課題 二

その6 21世紀の日本の発展の課題 三

その7 21世紀の日本の発展の課題 まとめ

その8 グローバル化

その9 販売目標:欧米欧州

その10 販売目標:発展途上国

その11 販売目標:国内

その12 課題の取り組み 技術革新:ハイブリッド

その13 課題の取り組み 技術革新:燃料電池

その14 課題の取り組み 情報他

その15 課題の取り組み コスト

その16 課題の取り組み マネジメント

その17 課題の取り組み グループ

その18 豊田綱領

では、具体的に内容を書いていきます。

ますは紹介から。

最近、日経連の会長に就任されて新聞等で色々皆さんもお見せしとるわけですけども、その他にうちの会社の役員をなさっております。

実はこの役員になっていただくように頼みに行った時に、会長忘れてるかもしれないけども、あまりいい顔を出されなくて、

「厄介なこと言ってきたぞ。」

というような顔をされたですけれど、その時に僕は

「〇〇〇会社はトヨタグループからでもこれからキーになる会社であると思っると。だからやっぱり役員になっておいて頂けるとトヨタのために良い。」

と、偉そうなこと言った経緯があります。

そういう意味じゃキーになる会社に我々もなっていかないかんわけで。そういう約束もあり我々もこれから頑張って行かなきゃいかん。

そこで日常で色々ご相談に乗っていただいたりするようなこともありまして、非常に私どもの会社としては、大変ありがたいです。

今日もそういう意味で大変お忙しいなかを快くお引き受けていただきまして、今日来ていただいてありがとうございます。

またお話が聴けるわけでございますので、でごゆっくりと聴いていただけると思います。

じゃあ奥田会長お願いします 。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その21

奥田 碩 さんの講演内容です。

おわりに

最後に、もう一度中国の話に戻ります。中国はこれから、2008年に 北京でオリンピックを、 2010年には上海で万博を開催しようとしています。その姿には、1964年に東京オリンピック、 1970年に大阪万博を 開催したころの日本の熱気と活力を、たしかに思い出させるものがあり ます。

それに遅れること 40年、北京オリンピックも上海万博も、かつての わが国がそうだったように、開催国の力を世界に示す、国家的な大イベ ントとして、大々的に開催されると思います。それに先立って、2005 年には、大阪万博から35年を経たわが国で、ふたたび万博が開かれます。それが「愛・地球博」です。

1970年以降、わが国は悲願であった欧米へのキャッチアップをおお むね達成し、世界でも最高水準の豊かさに到達しました。 その一方で、 地球環境問題や、少子化・高齢化といった、新しい問題にも直面しています。「愛・地球博」は、中国に40年先行したわが国が、いま世界に向かって何を発信できるのか、が問われる場になるでしょう。 それはおそらく、かつての万博のように、自国の力を世界に誇るような、国威発揚 の場としてのものにはならないはずです。

「愛・地球博」のメインテーマである「自然の叡智」や、コンセプト である「地球大交流」、あるいは「市民参加」といった考え方からは、 物質的な豊かさを超えて、地球環境と共生し、多様な人々の多様な価値観を受け入れようとしていく、骨太な構想が感じられます。こうした構 想のもとに、万博という「お祭り」を企画し、世界中の人たちに集まってもらってともに楽しみ、交流しようという考え方は、まさにわが国が めざすべき将来像を先取りしたものといえないでしょうか。

「愛・地球博」の開幕もカウントダウンに入り、具体的な準備も着々 と進んでいるようです。もちろんそこには、モノづくり企業の改革とシ ンクロする新技術の紹介や応用が豊富に盛り込まれていることはいうまでもありません。

新時代に向かう日本の担い手として、ここでもモノづくり企業は活躍 しているのです。自信と確信をもって未来に歩みだしたいものです。

以上が2003年11月に奥田 碩 さんが講演した内容です。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その20

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.3.8 非営利部門の充実

今後わが国にとって、発展、充実させなければならないのは、社会的 な助け合いの担い手となる、 NPOなどの非営利部門の強化、充実です。

これまでのわが国における相互扶助のしくみは、年金や医療保険のように行政が提供するもののほかは、企業や地域社会、あるいは家族といったものがその担い手となってきました。それゆえに、多様化と個人化 が進み、こうした枠組みが風化し、空洞化してくると、それに代わる相 互扶助の担い手がきわめて不十分になっているのが現状です。

ここで期待されるのが、新しい連帯関係の担い手としての、非営利部 門の役割です。ボランティアやNPOなどの非営利部門の活動は、最近 でこそわが国でもかなり充実してきた感がありますが、欧米諸国と較べ ると、まだまだ発展の余地があります。このような、行政と家庭、個人 との間の分野の公共的な部分を強化していくことが、多様化社会を豊か なものとしていくための重要なかぎを握っているのです。

民間企業も、そのために、これまで以上の役割を果たしていくべきで しょう。そのためにも、寄付金税制の大幅な見直しなどの環境整備が急 務です。

また、非営利部門が新たな雇用の場として大きな可能性を秘めている ことも、見逃すことはできません。非営利部門と営利部門とが限られた 市場を奪い合うのではなく、互いに連携しあい補完しあうことで、経済 全体を発展、成長させていくことを可能にしていくべきだろうと思います。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その19

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.3.7 新たな住環境の整備

 今後の、新たな成長の源泉として重点的に取り上げているのが、住環 境の整備です。わが国はずいぶん豊かになり、これ以上ほしいものがなくなったのが消費不振の原因だ、という意見すらあるくらいですが、そうしたなかで、国民が強く望んでいるにもかかわらず手に入らないのが、 広くて良質な住宅をはじめとした、豊かな住環境ではないかと思います。

「家庭」という言葉は、「家」と「庭」があって「家庭」になるのだ、 という話を聞いたことがあります。たしかに、ベランダに洗濯物を干せ ばプランターのひとつも置けないというような暮らしでは、うるおいの ある家庭生活はなかなか望みにくいのではないでしょうか。貧しい住環 境に甘んずるなかでは、豊かな発想も生まれないし、国や社会の将来に ついて考えるような高い志など決して望めません。これは極論ですが、 高い天井は高い志に通じるのです。

また、わが国の住宅は、安全面でも大きな問題を抱えています。過去 に発生した地震をみても、多数の住宅が倒壊するなどの大きな被害が出ている事実があります。わが国の住宅のうち、半数近くに相当する約 2,100 万戸が、現在の住宅耐震基準が施行された1980年より以前に建築 されたものであり、その耐震性については、かなりの懸念があるのです。

また、大都市圏には木造住宅の密集区域が多く見られ、東京圏の場合、 大地震が起きた場合には、実にその80%は焼失するだろうと予測され ています。

これに対し、ヨーロッパの都市では、百年以上前に作られたような石造りの家が並んでいるのを見ることができます。これが、ヨーロッパの 豊かさの源泉のひとつではないかと思います。住宅が一種の社会資本と して蓄積されていることが、国民の住宅コストを引き下げ、結果として 生活を豊かなものにしているということは、見逃せないのではないかと 思います。

それに対し、わが国の住宅の平均耐用年数は、 20 数年しかない短さ なのです。しかも、転売しようとしても、住宅をつぶして更地にしない と売れない、というケースも多く、社会資本というよりは、むしろ耐久 消費財に近いのが実情です。これでは住宅コストが高くなるのは当然で、 これが国民生活を圧迫しているのです。

そこで求められるのが、住宅を耐久消費財ではなく、国民が将来にわ たって利用できる社会資本としてとらえなおすことです。

具体的には、まず、住宅に住む人が、「所有から利用へ」意識を転換 する必要があるでしょう。 定期借地や定期借家のしくみができたので、 持家にこだわらず借家を利用すれば、住宅コストをかなり抑制すること が可能です。若い頃は小さな家に住み、子どもが増えたら郊外の広い家 に移り、定年して夫婦だけになったらバリアフリーで便利な市街地のマ ンションに移るなど、ライフステージにあわせて適当な住宅を選択する ことも、借家なら可能なのであります。

いまは、持家が一生の買い物、ということになるので、デザインや間 取りにも建てる人のこだわりが強すぎて、結果として建てるときには高 く、売るときには更地にしないと売れない、ということになっているの が多いのです。

これも、日本人が、住宅を「所有する」ことに執着することが、大き な要因になっているわけです。 住宅を作るにあたっても、これからは社 会資本として長期間の使用に耐えるような設計を行うことを重視する必 要があります。

具体的には、単に物理的な耐用年数が 100年、200年というだけでは なく、それだけの長い期間に、いろいろな家庭が何代にもわたって住み 継いでいけるように、内装の入れ替えやすさにも配慮した構造にすることが大切です。

こういう住宅を、スケルトン・インフィル住宅というそうですが、そ のような設計を普及させていかなければなりません。

そのためには、たとえばストックとして優れた住宅については税制面 で優遇するといったインセンティブを与えていくことが効果的です。現 状のローン減税ではなく、住宅建設を投資としてとらえた、より幅広い 政策減税の導入が必要だと思います。

また、ライフステージにあわせて住宅を住み替えたり、あるいは何代にもわたってひとつの住宅を住み継いでいくことを可能とするためには、既存の住宅をストックとして売買できるマーケットを整備することが必

要不可欠でしょう。たとえば、自動車であれば、下取りや転売、販売な どのしくみや、ある程度の値段の相場なども出来上がっています。その ため、年間約600万台程度の中古車が流通しており、ときには新車の販 売台数を上回ることすらあります。 * ところが、中古住宅の場合は、年間約 17 万戸程度しか流通しておら ず、新規着工が 100万戸を超えていることと較べると、非常に少ないも のにとどまっています。国際的にみても、先進諸国と較べて日本の中古 住宅市場は未整備です。 このような観点から、日本経団連では、資源の有効活用、廃棄物の排 出の抑制、安全の確保、さらにはライフステージに応じた住宅選択の自 由を拡大する観点から、住宅の長寿命化、耐震性能の改善、既存住宅の 流通市場の活性化、良質な賃貸住宅の供給など、「循環型住宅市場」の 形成を提言しています。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その18

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.3.6 持続可能な社会保障と財政

これからのわが国にとって最も重要な課題が、将来的にも持続可能な 社会保障制度の再構築であり、それも含めた財政の健全化であることは、 論を待ちません。

しかし、残念ながら、2004年に成立した年金改革にしても、依然と して従来の延長線上での議論に終始し、制度の本質的な問題点にまで踏 み込んだ見直しには遠くいたりませんでした。日本経団連の「新ビジョ ン」では、社会保障に関しては、少子化・高齢化に耐えうる、足腰の強い社会保障制度の再構築を提言しています。社会保障本来の役割に立ち 返って、給付の重点化を進めるとともに、抜本的な医療改革などの合理 化をあわせて実施していく必要があります。それと同時に、財源も国民 が広く薄く負担する方向、具体的には消費税へのシフトを進めるべきで あると考えます。

財政全般につきましても、公共投資の抑制や重点化などの歳出構造改 革や、民営化もふくめた特殊法人改革、あるいは民間でできることは民 間で、地方でできることは地方でやるという理念を徹底した、行政改革 の推進が最優先課題であります。経団連のビジョンでは、こうした施策 をすべて断行することを前提とすれば、消費税率を段階的に引き上げる ことで、持続可能な社会保障制度を確立するとともに、財政のプライマ リーバランスを達成できるという見通しを示しています。

すなわち、社会保障をはじめとする財政支出の徹底的な見直しを実施 しても、なおかつ財源が足りない分を消費税の引き上げでまかなうという考え方です。それにより、社会保障、ひいては国家財政を持続可能で 信頼できるものとして、国民に安心をもたらすことができるのであれば、 国民の理解と支持は必ず得られるものと考えております。 マスコミなど では、消費税大幅アップという言葉ばかりが独り歩きしてしまったきら いがあり、一部には現状を温存したままで消費税を引き上げようとしているのではないかという批判もありましたが、これは全くの誤解です。 わが国の将来をどうしていくのか、とりわけ、社会保障制度を持続可能 なものとするにはどのような方策があるのか、といった観点から、消費 税に関する議論が活発になることを期待しているのです。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その17

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.3.4 他者への共感

多様性を認め、そのダイナミズムを生かしていくことで、新しい豊かさと幸せを実現していこうとする時代には、従来の日本に往々にして見られたような、男性は男性、高齢者は高齢者、あるいは日本人は日本人 といった似たもの同士や、同じ職場や地域といった限られた身内では強く結束する一方で、ヨソモノは排除するといった、偏狭な仲間意識に凝り固まっていては、いきいきと人生を送ることはできないでしょう。

性別や国籍、年代などの違いをこえて、他者が自分と異なるものを求 め、生きているということを、共感をもって理解し、尊重する、骨太な 人間観が求められます。このような他者への「共感」を根底にもつこと によって、はじめて多様性のダイナミズムが生まれてくるのです。

3.3.5 社会への信頼の回復

 もう一つ大切なのは、いかに多様化の時代であるといっても、自分らしく生きるということは、自分勝手に生きるということではない、ということです。たしかに、多様化が進むということは、個人化が進むということに繋がっており、すでに、近年の日本の社会においては、家族や 親族、地域、あるいは職場における連帯感は弱まり、希薄化する傾向に あります。それに加えて、社会保障をはじめとする社会的な相互扶助の しくみも、より抜本的な見直しが必要なことは確実と考えられています。

これまでは、年寄りになったとき、病気になったとき、あるいは失業 したときなどに、家族や地域、あるいは行政などの手助けを期待することができましたが、それがだんだん期待できなくなってきているのです。 このような、社会や世間に対する信頼感が失われてきたことによって、 国民のなかに、将来に対する漠然とした不安感や不信感が広がっている のが現状だと思います。日本経済は長いこと悪い悪いといわれてきましたが、その一方で約 1,400兆円ともいわれている個人金融資産がある ことも、よく知られています。おカネはないわけではないのに、それを 使わないのは、頼れるのはおカネだけだ、という気持ちがあるからと思

います。

いまや国も、企業も、社会も信頼できない、信じられるのはおカネだ けだ、というのが、多くの国民の実感ではないかと思います。これが、 わが国の家計にゆがみをもたらしております。さらに、いつまで生きるかわからないから、そのおカネがいつまでも使えません。結局、一生懸 命働いてせっかく稼いだおカネを使えないままに死んでいくのです。こ のような国に、新たな活力や魅力が生まれるわけがありません。

こうした傾向を加速しているのが、「強者の論理」、たとえば、「自立 を強制する論理」の蔓延です。

たとえば、「これからは自己責任と自助努力の時代であり、国や企業 に頼らず、個人が自立しなければいけない」などといった単純な意見で す。常識的に考えて、あらゆる個人に向かって、国にも企業にも家族に も一切頼らずに、自分ひとりの力で、自分だけで生きていきなさいというのは、あまりにも無理な話です。ところが、現状を見ると、「自立は 善であり、依存は悪である」といった、きわめて短絡的でステロタイプ な暴論がまだまだ幅を利かせているのが現実ではないでしょうか。

しかし、世の中のしくみをすべて、そういった考え方で作っていこう というのは、あまりに自己中心的で、他人への関心や共感を欠いた考え 方です。

もちろん、日本経団連も、自己責任原則の貫徹を理念としていますが、 これは日本経団連の会員、すなわち企業や経済団体についてのことであ って、個人にまで求めているわけでは決してありません。これからの企 業は、国の規制や保護に頼らずに、自己責任でビジネスを展開していか なければならないことは、当然です。しかし、すべての国民、個人に対 してまで、企業と同じことを求めているわけではなく、また、求めることもできないと思います。 もちろん、かつてのような、封建的な家族制度に戻ることはできない し、戻すべきでないと思います。 大切なことは、これまでの家族や地域 といった、いわば限られた身内だけの強い連帯に代わる、社会全体での、 ゆるやかな新しい連帯を構築していくことであります。 「前に述べたように、自分らしく生きるということは、自分勝手に生きるということではありません。 一人ひとりの個人は、新しい連帯の中で、 自らに求められる役割をきちんと果たしていかなければならないのです。 多様性の社会であればこそ、なおさら、「公」、おおやけのなかでともに 生きる、あるいは公への貢献という価値観が強く求められるのです。そのような価値観のもとに、すべての人が自分の役割と責任をきちんと果 たしていくことで、互いに支え、支えられる、健全な依存関係を築いて いかなければならないのです。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その16

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.3.2 時代が変わっても、人が変わっても、ゆるぎなく繁栄し続ける日本づくり

絶えざる技術開発と、環境変化に応じてつねに構造改革が行われるモ メンタムとを組み合わせることで、「時代が変わっても、人が変わって も、ゆるぎなく繁栄し続ける日本」をつくることが可能でしょうこれ は、「ある最高の状態を作り上げれば、あとはずっとそのままでいい」 ということでは決してありません。大切なのは、つねに変わりつづけ、 進歩しつづける上向きのベクトルをもちつづけることなのです。

日本経団連は 2003年1月に、「活力と魅力溢れる日本をめざして」と いう提言、いわゆる「新ビジョン」を発表しました。これはわが国が取 り組むべき政策プログラムのパッケージを提示したものであり、財政や 社会保障を持続可能なものに改革し、民間企業と地方の活力を健全な競 争を通じて発揮できる環境を整えることで、わが国は必ず新たな成長と 発展を手にすることができると主張しています。以下、その具体的なポ イントをいくつか紹介していきます。

3.3.3 多様性のダイナミズム

 新ビジョンがこれからのわが国における活力の源泉として期待しているのが「多様性」です。より具体的には、「多様な価値観がもたらすダ イナミズムと創造」です。これが、これからのわが国が発展していくための活力、エネルギーの源泉として、非常に大切な考え方になると思い ます。

これまでの日本は、経済的な豊かさ、物質的な豊かさを追求すること を、活力やエネルギーの源泉としてきたのではないでしょうか、戦後の 50年をみても、欧米の近代的で豊かな生活にキャッチアップすること を、唯一の全国民共通の目標としてきて、いまやその目標は、かなり立 派に達成できました。

ところが、それにより、これまでわが国の原動力になってきていた、 経済的な豊かさ、 物質的な豊かさに対する欲求から生まれるエネルギー が弱まってしまったことが、景気上昇局面が訪れてもなお、わが国が長 期的な閉塞感を打破できない大きな原因ではないかと思います。要する に、テレビや電気冷蔵庫、電気洗濯機などの電化製品、あるいは自動車 など、生活の快適さや利便性が飛躍的に向上して、誰にとってもそれが 幸せに直結するような、モノの形をした具体的な目標がなくなってしま ったのです。

わが国はもはや、モノとカネがたくさんありさえすれば幸せだ、とい う価値観の国ではなくなったと言うことです。たとえば、エルメスの 100万円のスーツが欲しくないか、と聞かれれば、誰でも欲しいと答えるかもしれません。しかし、それを誰もがローンを組んでまで買いたい か、といわれれば、そうではありません。あるいは、毎日一流ホテルの レストランで高級ワインを飲み、 フランス料理を食べるために、毎日わき目もふらず、残業や休日出勤をいとわずに働くかといわれれば、そういう人は多くはないと思います。

もし、これまでのように、モノとカネの豊かさをひたすら追求していけばよいということであれば、国民のだれもがブランド品をもち、毎日 フランス料理を食べられることを国家の目標にすべきだということになります。しかし、本当にそうすべきか、といわれれば、そうではないと 考える人の方が多いと思います。

考えてみればあたりまえのことでありますが、ブランド品をもってフ ランス料理を食べることだけが幸せではないでしょう。あえてブランド 品をもたないことを幸せだと思う人もいますし、自分で野山で集めた山 菜を料理して食べることに幸福感を感じる人もいます。たくさんのモノ、 あるいは高いモノを買って、所有することだけが幸せであるという画一 的な価値観の時代から、人それぞれが自分なりの価値観をもって、自分 なりの幸せを考える時代に変わりつつあり、モノとカネの豊かさに加え て、心の豊かさ、精神的な豊かさというものを考えていく段階に入って きたのではないでしょうか。事実、すでに、これまでの画一的なライフ スタイルや価値観の枠組みに収まらない、新しい生き方、新しい幸せを 追求しようという動きが目立つようになってきているように感じられます。

たとえば、「男は仕事、女は家庭」という画一的なライフスタイルに 納得せずに、職業をもって社会に進出する女性や、定年退職後も、生き がいと働きがいを求めて働き続ける高齢者などです。高齢者の中には、 自らの技能を生かせる職場を求めて、海外に仕事を求める人もいます。 ひとくくりに「高齢者」といってすますことのできない現実がそこにあ ります。

今となっては、従来の画一的な価値観を前提にしたしくみは、国民が 自分らしく生き、自分なりの豊かさを追求しようとするエネルギーの発 揮を、かえって妨げる方向に働いてしまいかねません。心の豊かさや多 様性といったものを中心において、あらゆる政策を転換していく必要があり、それによって、国民が新しい幸せの追求に向けて、エネルギーを 発揮していけると考えています。

もちろん、これまでも多くみられたように、自分の仕事を天職と考え て、長い年月をかけてそれに打ち込み、高い技能を身に付けていくのも、

立派な生き方であることには変わりありません。従来型の価値観を一切 認めないということは、逆にいえば新たな画一性、没個性に陥ることに つながります。大切なことは、伝統的なものも革新的なものも含め、多 様な生き方や価値観を認めて、お互いに刺激しあうことではないでしょうかそれを通じて、従来型の価値観や生き方を選択した人も、周囲の 多様な価値観に刺激されることで、新しい活力を生み出していくことが できるのです。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その15

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.3 日本の未来に夢と生きがいがもてる進路づくり

第3番目の大きな課題は、「日本の未来に夢と生きがいがもてる進路 づくり」です。今日の日本には、少子化、高齢化をはじめとしてさまざまな不安材料があります。こうしたなかで、日本という国を今後どのようにしていくのか、人々の心に希望を与えるような、夢と生きがいを感 じさせられるような進路、ビジョンが求められています。

3.3.1 日本に「成長エンジンと制度インフラ」の強力な両輪づくり

国家経済を自動車にたとえれば、科学技術開発の創造が成長のエンジ ンであるとすれば、財政や税制、社会保障などといった制度インフラは、 ボディやサスペンションに当たるものだろうと思います。いくらエンジ ンが強力でも、ボディやサスペンションが弱かったり、重すぎたりした ら、長期間にわたって安心して走りつづけることはできません(図 3.6 参照)。

キャッチアップという「坂の上の雲」をめざして、 エンジンをフル回転させながら、ひたすら登り続けてきました。このような時期には、ボディやサスペンションは、大きくて無骨で、 とにかく 頑丈なものであることが求められていたと思います。

それに対し、これからは、グローバル化や少子化・高齢化といった厳しい環境変化のなかで、竹中平蔵さんの言葉を借りれば、「日本は狭く 細いナローパス、隘路を行かなければならない」のです。

しかもそれは、いわば見通しの悪い濃霧の道であり、そのうえ、環境 変化に取り残されないよう、これまで以上のスピードで走り抜けなければなりません。このような状況で、引き続き技術革新のエンジンをフル 回転させて走っていくためには、ボディもサスペンションも、強靭であるとともに、軽くて、柔軟性の高いものに整備しなおしていく必要があるでしょう。 それこそが、経済や財政、あるいは社会保障の構造改革な のです。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その14

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.2.3 人材の育成

わが国にとって、一番大切なことは、人を育てるということでありま す。

最近、長引く経済の不振のなかで企業業績が思わしくなく、企業が人 材を育成する余力がなくなっている、というようなことがいわれます。

たしかに、たいへん立派な経営者のなかにも、「もう新卒を採用して 育てているのでは間に合わないから、中途採用で即戦力を採用したい」 とか「就職するときには即戦力に育っているような教育政策、 人材育成 政策が必要だ」などという人がけっこういますが、それだけではうまく いかないと思います。即戦力になるような実力のある人なら、欲しい企業も多くあり、当然そういう人の値段は高くなるでしょうそれを、企 業内で育ててきた人と同じ賃金で採用しようというのは無理というもの です。

雇用情勢はまだまだ厳しい状況にありますが、それでも採用してすぐ に即戦力になる人は少ないのが実情です。しかも経済は上向いています から、ますます即戦力になる人材の採用は難しくなってくるでしょう。

結局のところ、「これからの日本の教育は即戦力を育てなければいけ ない」などという他人任せの態度では、人材の確保は難しいのです。む しろ、いかにして優秀な人材を育て、やる気を高めて、会社に貢献して もらうかが、企業の競争力を決定すると考えるべきです。事実、日本商 工会議所が実施した「総合的人材ニーズ調査」の分析結果が商工会議所 のホームページに掲載されていますが、それを見ると、業績が拡大し、 成長している企業ほど、人材育成に積極的に取り組んでいることが明ら かにされています。

「業績不振だから、人材を育成していられない」などという企業に未 来はありません、業績不振であればこそ、歯を食いしばってでも人材育 成に取り組み、人材の成長と業績の拡大の好循環をつくっていかなければなりません。 人材育成は、決してコストではなく、研究開発投資などと同様に、将 来の企業経営を支えるための大切な投資なのです。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その13

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.2.2 現場力の点検と再構築

 具体的には、知的熟練を蓄積した熟年層の技能者がリストラされた結 果、現場の技能の水準が低下し、それが相次ぐ工場の火災や事故などに つながっているとの指摘もあります。

そのような目で近年の事故やトラブルをみて見ると、現場の手違いや 手抜きがあり、これらは利益や業績を過剰に意識したための違反行為が 原因となっていることが多いように思います。その背後には、単なる規 律や気持ちの緩みといった問題ではなく、現場の人材の力、いわば「現 場力」といったものの低下を招く構造的な要因があるのかもしれません。

これは明白な証拠があるわけではありませんしかし、一連の事故の 大きな要因として、現場の熟練工や高度人材の減少、過度の成果指向に よる従業員へのプレッシャーが働いているのではないかという懸念は残ります。

さらにその背景として、世間に長期雇用や企業の雇用維持努力を軽視したり批判したりする風潮が広がったことを指摘する意見もあります。

一つひとつの現場の努力が国家経済の土台を支えており、その劣化を 放置しては技術革新も経済発展もありえません。私たちはこうした指摘 を謙虚に受け止め、 リストラに邁進するあまり、現場力の衰退を見過ごしてこなかったか深く反省し、再点検してみる必要があります。現場力 の維持は経営者の責任です。そして、わが国の現場力は、人間尊重と長 期的視野という、いわゆる日本的な経営によって長期間をかけて培われたものです。

これは技能に限ったことではありません。先端技術の分野においても、 長期間打ち込むことで身につく能力というものがたくさんあり、足元の 業績に気をとられ、将来的な技術力を失わないよう、注意が必要です。 今後、団塊の世代の人たちが大量に定年をむかえる時にきており、そう した人たちの培ってきたノウハウ技術を次の世代に、伝承させていくこ とも重要です。これらのことは、手遅れになる前に、その原点に立ち戻 って、PDCA サイクルが回っているか、 ノウハウ、技術の伝承がしっかりと、されているか、今一度検証してみる必要があると思います。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その12

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.2 日本の次世代を担う強靭で高能力な人材づくり

第2番目の大きな課題は、「日本の次世代を担う高能力な人材づくり」です。

3.2.1 失われつつある日本のモノづくりカ

 今後、科学技術創造立国を目指すうえにおいて、技術者をはじめとし て、高能力な人材を多数輩出していくことがきわめて重要です。

気をつけなければいけないのは、科学技術創造立国を目指しているの は、日本に限った話ではなく、世界中のあらゆる国が「技術立国」を目 指している、という現実です。そのなかでわが国が先行していくためには、並大抵の人材育成では覚束ないものと考えなければなりません。

高能力な人材は、経済・社会のあらゆる場面で必要ですが、ここでは 特に、いわゆる「現場」で技能労働に従事する人に重点をおいて考えて みたいと思います。なぜなら、これまでのわが国では、高度な技能をもつ数多くの現場の技能者たちがモノづくりの国際競争力の強化と維持に 貢献してきており、これは世界各国と比較しても特色と優位性のあるわが国の強みだからです。

当然、こうした強みは、今後とも科学技術創造立国のためには欠かすことのできないものです。ところが、このところこうした技能の力が著 しく弱体化しているのではないかと懸念されています。

たとえば、国際技能競技大会、いわゆる技能五輪の成績を見てみると、 わが国は 1962年の第11回大会から参加しており、その後 1971年の第 21回大会までの10年間で金メダル獲得数第1位が6回、2位が4回という輝かしい戦績を収めてきました。

ところがそれ以降、わが国は韓国や台湾の後塵を拝することが多くな り、 第22回大会以降は、昨年の第 37 回大会にいたるまで16回連続で、 なんと一回たりとも韓国を上回る成績を残せていないばかりか、ベスト スリーにも入れなかった大会が7回もあるという残念な結果に終わっています。

これはもちろん、韓国や台湾がめざましい工業化を遂げたことがその 背景にあるのですが、その一方で、わが国におけるモノづくり技能者の 社会的地位の低下を反映したものであるという見方もあります。

技能五輪は、22歳以下の若者が参加するものです。決められた課題 を、より速く、より正確にこなしていくという意味では、22歳の若者 でも相当のレベルに達することができるでしょう。しかし、本当の意味 での高度な技能は、さらに長い時間をかけて形成されるものです。

とりわけ、最も高度かつ重要な技能である、予期しない変化や不確実 性に対応するノウハウ、いわゆる「知的熟練」は、長期にわたって、現 場の仕事を通じて生きた経験を蓄積することが唯一の育成方法だといわれています。したがって、モノづくり現場の仕事にじっくり取り組もう という若者が減ってくることは、わが国モノづくりの競争力に重大な悪 影響を及ぼしかねる事態であると考えなければなりません。

世間では昨今、バブル経済の頃に「3K」などといわれた影響もあり、 モノづくりの現場でまじめにコツコツと働くことが何となく格好悪いと か、長年かけて手に職をつけることよりも、他人を出し抜いて金を儲けることがもてはやされたりするような傾向があるように感じられます。 これは、大変危険な兆候であり、モノづくりにまじめに取り組む人たちが、もっと社会的に認知され、尊敬されるように、官民あげて啓発をはかっていく必要があるでしょう。

また、長期間をかけて高度な技能を蓄積させていくためには、長期雇 用のしくみが必要不可欠であることは論を待ちません。一時期、足元の 業績に目を奪われ、短期的な見方に傾き過ぎて、長期雇用のもっている、 いわば人材への投資とか、あるいは人材の育成とかいった側面を見逃が したり、軽視したりする傾向があまりに強くなりすぎていた時期がある と思います。最近、それに対する反省も広がっているようですが、こう した部分がおろそかになると、長期的に見た企業の発展を阻害しかねないばかりか、産業全体の競争力の低下を招くことになります。

モノづくり企業の改革の必然性とその戦略 その11

奥田 碩 さんの講演内容です。

3.1.5 技術ノウハウの保護・権利化と防衛

 科学技術創造立国戦略において、知的財産戦略は非常に重要であり、 モノづくり企業の改革も、これを抜きにしては考えられません。

(1)保護、権利化

前に述べたように、アメリカ産業の復活にあたっては、米国政府は、 自国の産業構造高度化のビジョンを描き、それを実現させるための環境

を整えたのですが、その環境整備のなかでも、もっとも重要なものの1 つが、知的財産の保護、いわゆるプロパテント政策です。

その結果、アメリカにおける特許出願件数は 1990年度の約16万4千 件から、2002年度には約33万4千件と、2倍以上に増加したといいま す。また、アメリカにおける知的財産関連の収入は、1990年には 150 億ドル(約1兆6,000億円)程度であったのが、2000年には実に 1,300 億 ドル(約 14 兆円)を超える規模にまで増加したという調査結果もあるそ うです。これは、タイやフィンランドといった国のGDPに匹敵する規 模であり、こうした数字を見れば、知的財産戦略を国家をあげて推進していく必要があることは、一目瞭然でしょう。 ・ 一方、わが国の実態は、国民一人あたり特許件数は世界一であり、決 して他国に劣るものではありません。しかし、国際収支統計における特 許等使用料の収支は恒常的に赤字であり、2003年にようやく黒字に転換したものの、そのおもな要因は製造業の海外現地生産の拡大によるも のだと思われます。今後、官民をあげて知的財産戦略をさらに強力に推進する必要があることは論を待ちません。政府においても、知的財産戦 略本部が中心となって諸般の施策が進められており、2004年に入って 以降も、特許法の改正や知的財産推進計画 2004 の策定などが実施され ました。ここでは2点、今後の具体的な課題を指摘しておきたいと思います。

(2) 著作権侵害への対策

第1は、特許審査の迅速化です。わが国の特許審査は、平均で2年5 カ月もの長期を要しています。ところが、このうち実質的に審査に要しているのは、実は5カ月間に過ぎず、残りの2年間は、単なる待ち時間 となっているのが現実だといわれます。常時数十万件という多数の出願 が審査待ちとなっているといわれ、2008年にはこれが 80万件に達する と見込まれていることから、待ち期間の短縮は、とりわけ喫緊の課題です。

わが国の特許出願件数は、年間 40万件を上回り、 アメリカの 33 万件、 ヨーロッパの11万件を大きく上回っているにもかかわらず、審査官の 人数は、欧米ではそれぞれ 3,000 人程度となっているのに対し、わが国 では約3分の1の1,000 人強にとどまってきました。今般、審査の迅速 化をめざした特許法改正が行われ、 2013年には世界で最速の審査体制 をめざすとの方針も掲げられましたが、審査の迅速化は、ベンチャービ ジネスの育成の観点からも重要であり、ぜひとも実効につなげてほしい ものです。

第2は、模倣品、海賊版対策です。模倣品や海賊版は、企業や著作権 者などのもつ無体財産権を盗み取るに等しいもので、 とうてい許しがたいものです。しかし、残念ながら、中国をはじめとするアジア諸国を中 心に、こうした権利意識が不十分な実態があります。こうした地域が急 速に工業化したことにともない、模倣品や海賊版の被害も急増しており、 関係団体の推計によれば、中国におけるわが国コンテンツの権利侵害の 被害額は、年間約2兆円にも達しているということであり、これはもはや放置することはできない段階となっています。

これに関しては、われわれ民間企業が、あらゆる模倣品や海賊版に対 して、それを許さないという強い姿勢をもって対処していくことが、な により必要であり、たとえば、キャラクター商品大手の「サンリオ」は、 同社のキャラクターを無断で使用していた商品を生産していた工場の摘 発と、被害品の押収に成功しています。

また、官民をあげての知的財産外交も、強力に推進していく必要があります。一昨年末には、国際知的財産保護フォーラムの座長であり、当 時経団連の副会長も務めていた松下電器産業の森下会長を代表に、当時 の西川経済産業省副大臣を政府代表に加えて、知的財産保護に関する官民合同のミッションが一週間にわたって中国各地を訪問し、模倣品の現 物を示しながら抗議するとともに、事態の改善を要請するといった取り 組みも行われました。

知的財産推進計画 2004には、模倣品・海賊版対策の強化も盛り込まれています。各国において知的財産の管理体制が確立され、権利が適正 に保護されることは、中長期的には各国自身の経済発展にも資するもの ですから、国際協力という見地もふくめ、強力な施策の推進をお願いしたいと思います。